ヤイバ
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季節は冬。
良い子のところにサンタクロースがプレゼントを届けてくれるという、クリスマスが近づいていた。
そんな中、拙者はロムから悲しい事実と共に、クリスマス当日の夜に、クロウやアイオーンにプレゼントを届けるという、ここ数年ロムが拙者達へやってくれていたサンタの役を頼まれたのだ。
そして無事プレゼントを届け終えたクリスマス当日。
街には右にも左にも闊歩する男女のつがい。
拙者はといえばロムに大人の男と認められたというのに……はっ!拙者は修行中の身ゆえ、そんなものには興味はない!無しったら無しっ!故にっ……!
「何してるんですか?ヤイバさん」
声の主はロムの会社の後輩、名前殿だった。
ひとり自問自答しているところを見られていたらしい。
「せ、拙者は、とある大役を終え家路の途中……お主は……?」
「私もです。お仕事なかなか終わらなくて……クリスマスくらい定時であがりたかったけど、ロム先輩は出張で頑張ってますし、私も頑張らないといけませんからね」
彼女はロムを社会人として尊敬しているのだと、以前聞いた。
そしてそれは拙者も同じだ。
「うむ。仲間が頑張っている姿は励みになる。故に拙者もロムから任された大役をめげずに最後まで遂げられたというもの」
「何か頼まれ事でもあったんですか?」
彼女の疑問に事の経緯を説明しようと話し始めたところ、突然彼女が声を上げた。
「そうだ!ヤイバさん、これから時間ありますか?」
「ふへ?……よっ、予定など、とっ、特にないが……?」
質問した本人が話を遮る意外に思わず変な声が出てしまい、された質問に妙に緊張してしまってスムーズに返事ができない。
クリスマスの夜にこれから時間があるかなどと聞かれたら、拙者でなくともドキドキな展開を期待をしてしまうのではなかろうか?
「良かったぁ。そこのコンビニでケーキ買って一緒に食べません?今のコンビニスイーツはなかなか侮れないクオリティですよ!確か近くに公園があったはずだし……」
一緒に近くのコンビニに入ると、スイーツ売り場を見つけた彼女は瞳をキラキラとさせている。
かと思うと、今度は真剣な表情に……。
どうやら苺のショートケーキとスフレチーズケーキとで迷っているようだ。
両方買うという選択肢はないのだろうか……?
スイーツ売り場の一角で真剣な眼差しでケーキを吟味する名前殿の様子に、なかなか声がかけづらい……
そんな事を思っていると、彼女の方から質問してくれた。
「うーん……これは究極の選択……ヤイバさんはどれがいいですか?」
「お主の好きなものを両方選ぶのはどうだろうか……?」
「!そうですよね!いつもと違って2人で食べるんだから、2つ選んじゃってもいいですよね!私いつもどの1つにしようかすっごく迷っちゃうから、ついその癖で……」
彼女は少し恥ずかしそうにそう言った。
さっきの真剣な様子は、スイーツを選ぶいつもの彼女の様子なのだろう。
彼女がスイーツが大好きなのだという事がよくわかった。
「……でも、いいんですか?私の好きなものばかり選んでしまって……」
「拙者はハイカラなものには無頓着。故に、お主の好きなものを選ぶがいい」
「えへへ……ありがとうございます。ではお言葉に甘えて、私が選んじゃいますね!」
ケーキの会計はもちろん拙者が。……男としての面目を保てて良かった……!
「さっきの話、改めて聞かせてくれませんか?」
先程コンビニで仕入れたケーキを食べようと、2人で公園までやって来た。
ベンチに腰掛けながら彼女が言うさっきの話とは、ロムからの頼まれ事の話だろう。
出張中のロムに代わって、このクリスマスの日に保育所や数軒の個人宅、クロウやアイオーンの自宅にもこっそりとプレゼントを届けてきた事を説明した。
「ロム先輩、クリスマスにそんな素敵な事をしてたなんて……改めて尊敬です。ヤイバさんもお疲れ様でした。クロウくんとアイオーンくんが喜ぶ顔が楽しみですね!」
「喜んでもらえれば拙者もサンタクロースへ扮した甲斐があるというもの。故に、明日が楽しみだ」
人ふたりがゆったり座れる程の大きさのベンチで、話をしながら2人の真ん中に広げたケーキを味わう。
ケーキを食べる彼女は幸せそのものといった表情をしている。
その様子が可愛いと感じると、なんとも言えない照れくささが込み上げて来て、途端に目を合わせられなくなる。
気持ちを悟られまいと、ケーキを口に運び、自分もケーキに夢中であるというフリをした。
「クリスマスにはやっぱりケーキが食べたくて……でも1人で食べるのは寂しいし……ヤイバさんが食べるのに付き合ってくれて良かった」
別れ際、彼女が拙者に言った言葉。
何と解釈しようか……悪い気はしなかった。
男として言わないわけにはいかない、夜道は危ないから送るという文句を遠慮がちに言ってみたのだが……帰り道が一緒のところまでという彼女の返事で、今日はここでお別れだった。
しつこくして気持ち悪いと思われたくない拙者は、彼女の言葉に素直に従う事にしたのだが……彼女が夜道をひとり歩く事が心配なのも本心だった。
それが表情に出てしまっていたのだろう、家に着いたら連絡をくれるという事で連絡先を交換する事となった。
「心配しないでください!おうちに着いたらちゃんと連絡しますから。ヤイバさんも気をつけて」
別れの挨拶に手を振る彼女に合わせて拙者も手を振り返した。
彼女とサヨナラをした後、心配しながらまだかまだかと連絡を待っていた。
部屋に響く携帯の着信音。
機敏に反応した拙者はすぐに携帯画面を確認する。
彼女からのメールだった。
何事もなく自宅に着いたとの文章を見てひと安心。
それから、今日はありがとうございましたというひと言と……
それに対し、当たり障りのない文章で返した。
そして自分の今の気持ちが一体何なのか考えてみた。
彼女が拙者にクリスマスの夜という時間を割いてくれた事が嬉しかった。
連絡先を交換しようと提案してくれたのが嬉しかった。
ロムを尊敬するという彼女の言葉で少なからず嫉妬も感じている。自分自身も同様にロムを尊敬しているし、今の拙者では敵わない事は充分わかっているのだが……
彼女が気になり仕方なくなってしまった拙者は、実は自分自身が寂しがり屋である事を自覚している。
故に、拙者はクリスマスという日に夢を見過ぎなのだろうか……?
良い子のところにサンタクロースがプレゼントを届けてくれるという、クリスマスが近づいていた。
そんな中、拙者はロムから悲しい事実と共に、クリスマス当日の夜に、クロウやアイオーンにプレゼントを届けるという、ここ数年ロムが拙者達へやってくれていたサンタの役を頼まれたのだ。
そして無事プレゼントを届け終えたクリスマス当日。
街には右にも左にも闊歩する男女のつがい。
拙者はといえばロムに大人の男と認められたというのに……はっ!拙者は修行中の身ゆえ、そんなものには興味はない!無しったら無しっ!故にっ……!
「何してるんですか?ヤイバさん」
声の主はロムの会社の後輩、名前殿だった。
ひとり自問自答しているところを見られていたらしい。
「せ、拙者は、とある大役を終え家路の途中……お主は……?」
「私もです。お仕事なかなか終わらなくて……クリスマスくらい定時であがりたかったけど、ロム先輩は出張で頑張ってますし、私も頑張らないといけませんからね」
彼女はロムを社会人として尊敬しているのだと、以前聞いた。
そしてそれは拙者も同じだ。
「うむ。仲間が頑張っている姿は励みになる。故に拙者もロムから任された大役をめげずに最後まで遂げられたというもの」
「何か頼まれ事でもあったんですか?」
彼女の疑問に事の経緯を説明しようと話し始めたところ、突然彼女が声を上げた。
「そうだ!ヤイバさん、これから時間ありますか?」
「ふへ?……よっ、予定など、とっ、特にないが……?」
質問した本人が話を遮る意外に思わず変な声が出てしまい、された質問に妙に緊張してしまってスムーズに返事ができない。
クリスマスの夜にこれから時間があるかなどと聞かれたら、拙者でなくともドキドキな展開を期待をしてしまうのではなかろうか?
「良かったぁ。そこのコンビニでケーキ買って一緒に食べません?今のコンビニスイーツはなかなか侮れないクオリティですよ!確か近くに公園があったはずだし……」
一緒に近くのコンビニに入ると、スイーツ売り場を見つけた彼女は瞳をキラキラとさせている。
かと思うと、今度は真剣な表情に……。
どうやら苺のショートケーキとスフレチーズケーキとで迷っているようだ。
両方買うという選択肢はないのだろうか……?
スイーツ売り場の一角で真剣な眼差しでケーキを吟味する名前殿の様子に、なかなか声がかけづらい……
そんな事を思っていると、彼女の方から質問してくれた。
「うーん……これは究極の選択……ヤイバさんはどれがいいですか?」
「お主の好きなものを両方選ぶのはどうだろうか……?」
「!そうですよね!いつもと違って2人で食べるんだから、2つ選んじゃってもいいですよね!私いつもどの1つにしようかすっごく迷っちゃうから、ついその癖で……」
彼女は少し恥ずかしそうにそう言った。
さっきの真剣な様子は、スイーツを選ぶいつもの彼女の様子なのだろう。
彼女がスイーツが大好きなのだという事がよくわかった。
「……でも、いいんですか?私の好きなものばかり選んでしまって……」
「拙者はハイカラなものには無頓着。故に、お主の好きなものを選ぶがいい」
「えへへ……ありがとうございます。ではお言葉に甘えて、私が選んじゃいますね!」
ケーキの会計はもちろん拙者が。……男としての面目を保てて良かった……!
「さっきの話、改めて聞かせてくれませんか?」
先程コンビニで仕入れたケーキを食べようと、2人で公園までやって来た。
ベンチに腰掛けながら彼女が言うさっきの話とは、ロムからの頼まれ事の話だろう。
出張中のロムに代わって、このクリスマスの日に保育所や数軒の個人宅、クロウやアイオーンの自宅にもこっそりとプレゼントを届けてきた事を説明した。
「ロム先輩、クリスマスにそんな素敵な事をしてたなんて……改めて尊敬です。ヤイバさんもお疲れ様でした。クロウくんとアイオーンくんが喜ぶ顔が楽しみですね!」
「喜んでもらえれば拙者もサンタクロースへ扮した甲斐があるというもの。故に、明日が楽しみだ」
人ふたりがゆったり座れる程の大きさのベンチで、話をしながら2人の真ん中に広げたケーキを味わう。
ケーキを食べる彼女は幸せそのものといった表情をしている。
その様子が可愛いと感じると、なんとも言えない照れくささが込み上げて来て、途端に目を合わせられなくなる。
気持ちを悟られまいと、ケーキを口に運び、自分もケーキに夢中であるというフリをした。
「クリスマスにはやっぱりケーキが食べたくて……でも1人で食べるのは寂しいし……ヤイバさんが食べるのに付き合ってくれて良かった」
別れ際、彼女が拙者に言った言葉。
何と解釈しようか……悪い気はしなかった。
男として言わないわけにはいかない、夜道は危ないから送るという文句を遠慮がちに言ってみたのだが……帰り道が一緒のところまでという彼女の返事で、今日はここでお別れだった。
しつこくして気持ち悪いと思われたくない拙者は、彼女の言葉に素直に従う事にしたのだが……彼女が夜道をひとり歩く事が心配なのも本心だった。
それが表情に出てしまっていたのだろう、家に着いたら連絡をくれるという事で連絡先を交換する事となった。
「心配しないでください!おうちに着いたらちゃんと連絡しますから。ヤイバさんも気をつけて」
別れの挨拶に手を振る彼女に合わせて拙者も手を振り返した。
彼女とサヨナラをした後、心配しながらまだかまだかと連絡を待っていた。
部屋に響く携帯の着信音。
機敏に反応した拙者はすぐに携帯画面を確認する。
彼女からのメールだった。
何事もなく自宅に着いたとの文章を見てひと安心。
それから、今日はありがとうございましたというひと言と……
それに対し、当たり障りのない文章で返した。
そして自分の今の気持ちが一体何なのか考えてみた。
彼女が拙者にクリスマスの夜という時間を割いてくれた事が嬉しかった。
連絡先を交換しようと提案してくれたのが嬉しかった。
ロムを尊敬するという彼女の言葉で少なからず嫉妬も感じている。自分自身も同様にロムを尊敬しているし、今の拙者では敵わない事は充分わかっているのだが……
彼女が気になり仕方なくなってしまった拙者は、実は自分自身が寂しがり屋である事を自覚している。
故に、拙者はクリスマスという日に夢を見過ぎなのだろうか……?
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