夷澤凍也
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今日はバレンタインデー。
バレンタインデーに想いを伝えるなんてするつもりはないが、夷澤くんとお話するきっかけ作りの為に、私はチョコレートを用意した。
こんな事でもしないと、彼と学年も部活も違う私にはお話しできる機会が少ないのだ。
先輩の作ったものなんて信用できない、なんて言われそうな予感がビンビンなので、チョコレートは市販のものだ。
「え!?夷澤くん、生意気で可愛くないからバレンタインにチョコ渡す人なんていないと思ってた!」
放課後、寮に向かう夷澤くんに運良く会えた私は、予想に反した光景に驚き、本音が思わず口から出てしまった。
数こそ少ないが、女子からもらったであろうチョコレートを手に持っている夷澤くん。
「生意気で可愛くないなら俺に構わないでくださいよ。まあ、よく知りもしない他人から貰ったチョコレートなんて、持ち帰っても食べるつもりないですけど……わざわざ呼び止めて、俺に何か用ですか?まさか嫌味を言う為だけに呼び止めたわけじゃないですよね?」
「えぇとぉ〜……」
咄嗟にチョコレートを後ろ手に隠した私。
もらったチョコを食べないと聞いた後にチョコを差し出すなんてできない。
でも他に用事がなければ、私はわざわざ嫌味を言う為だけに夷澤くんを呼び止めた嫌な奴になってしまう。
けれどうまい言葉が見つからない私は誤魔化しの笑いしか出てこない。
「……用がないなら俺もう行きますよ」
らしくなく言葉に詰まっている私を見て不思議そうな顔をしているが、夷澤くんが行ってしまう。
違うんだよぉ、嫌味を言う為に話しかけたわけじゃないんだよぉ……
どうしたらいいか分からず内心慌ててしまっている私は、夷澤くんに渡そうと思っていたチョコレートを地面に落としてしまった。
夷澤くんは落ちた箱を見て、中身はチョコレートだと察したようだ。
「先輩にも誰かにチョコレートを渡すなんて乙女なところがあったんですね。俺なんかに構ってないで早く行ったらどうです?」
いつもの1.5倍くらいトゲのある態度で言われ、勘違いされたくない私は箱を拾いながら正直に言った。
「これは夷澤くんに渡そうと思って……けど予想外に夷澤くんがチョコレート貰ってたから出すに出せなくて……でもいいの!私甘いもの好きだし、食べたいなーと思って選んだから!それにさっき食べないって言ってたし!」
何だか言い訳をしている気がして、本当は受け取ってもらいたいくせに痩せ我慢してるみたいな……そう思うとだんだんと早口になってしまって、これじゃあ逆に、本音はそうじゃない事がバレバレだ。
恥ずかしー!と思いながら夷澤くんの顔を恐る恐る確かめてみる。
眼鏡を上げる仕草をしながら目を逸らす夷澤くんは沈黙している。
これ以上何を言ったらいいのか分からなくなった私も沈黙してしまい、ほんのひと時だったと思うけど、妙な時間が流れた。
「……先輩のは食べます」
「へ?」
夷澤くんの意外な一言に反応しきれなかった私は間抜けな声を出してしまう。
「だから、チョコレート、食べるって言ったんです。そもそもチョコが嫌いなわけじゃないんです。それに、こんなに必死に説明されたら、食べないわけにいかないでしょ?別に深い意味はないんで、勘違いしないでくださいね?先輩だって、そういうつもりじゃないでしょ」
「あはは……えへへ……」
もう照れ笑いするしかなかった。
これ以上受け取らなくてもいいと抵抗するのは野暮ったいと感じた私は、素直に受け取ってもらう事にする。
一度落としてしまったが、チョコレートの入った箱を差し出すと夷澤くんは受け取ってくれた。
「……これから時間あります?先輩、食べたいって言ってたでしょ?一緒に食べます?」
一緒に食べようだなんて、そんな事を言ってもらえると思っていなかった私は、満面の笑みで、食べる!と答えた。
バレンタインデーに想いを伝えるなんてするつもりはないが、夷澤くんとお話するきっかけ作りの為に、私はチョコレートを用意した。
こんな事でもしないと、彼と学年も部活も違う私にはお話しできる機会が少ないのだ。
先輩の作ったものなんて信用できない、なんて言われそうな予感がビンビンなので、チョコレートは市販のものだ。
「え!?夷澤くん、生意気で可愛くないからバレンタインにチョコ渡す人なんていないと思ってた!」
放課後、寮に向かう夷澤くんに運良く会えた私は、予想に反した光景に驚き、本音が思わず口から出てしまった。
数こそ少ないが、女子からもらったであろうチョコレートを手に持っている夷澤くん。
「生意気で可愛くないなら俺に構わないでくださいよ。まあ、よく知りもしない他人から貰ったチョコレートなんて、持ち帰っても食べるつもりないですけど……わざわざ呼び止めて、俺に何か用ですか?まさか嫌味を言う為だけに呼び止めたわけじゃないですよね?」
「えぇとぉ〜……」
咄嗟にチョコレートを後ろ手に隠した私。
もらったチョコを食べないと聞いた後にチョコを差し出すなんてできない。
でも他に用事がなければ、私はわざわざ嫌味を言う為だけに夷澤くんを呼び止めた嫌な奴になってしまう。
けれどうまい言葉が見つからない私は誤魔化しの笑いしか出てこない。
「……用がないなら俺もう行きますよ」
らしくなく言葉に詰まっている私を見て不思議そうな顔をしているが、夷澤くんが行ってしまう。
違うんだよぉ、嫌味を言う為に話しかけたわけじゃないんだよぉ……
どうしたらいいか分からず内心慌ててしまっている私は、夷澤くんに渡そうと思っていたチョコレートを地面に落としてしまった。
夷澤くんは落ちた箱を見て、中身はチョコレートだと察したようだ。
「先輩にも誰かにチョコレートを渡すなんて乙女なところがあったんですね。俺なんかに構ってないで早く行ったらどうです?」
いつもの1.5倍くらいトゲのある態度で言われ、勘違いされたくない私は箱を拾いながら正直に言った。
「これは夷澤くんに渡そうと思って……けど予想外に夷澤くんがチョコレート貰ってたから出すに出せなくて……でもいいの!私甘いもの好きだし、食べたいなーと思って選んだから!それにさっき食べないって言ってたし!」
何だか言い訳をしている気がして、本当は受け取ってもらいたいくせに痩せ我慢してるみたいな……そう思うとだんだんと早口になってしまって、これじゃあ逆に、本音はそうじゃない事がバレバレだ。
恥ずかしー!と思いながら夷澤くんの顔を恐る恐る確かめてみる。
眼鏡を上げる仕草をしながら目を逸らす夷澤くんは沈黙している。
これ以上何を言ったらいいのか分からなくなった私も沈黙してしまい、ほんのひと時だったと思うけど、妙な時間が流れた。
「……先輩のは食べます」
「へ?」
夷澤くんの意外な一言に反応しきれなかった私は間抜けな声を出してしまう。
「だから、チョコレート、食べるって言ったんです。そもそもチョコが嫌いなわけじゃないんです。それに、こんなに必死に説明されたら、食べないわけにいかないでしょ?別に深い意味はないんで、勘違いしないでくださいね?先輩だって、そういうつもりじゃないでしょ」
「あはは……えへへ……」
もう照れ笑いするしかなかった。
これ以上受け取らなくてもいいと抵抗するのは野暮ったいと感じた私は、素直に受け取ってもらう事にする。
一度落としてしまったが、チョコレートの入った箱を差し出すと夷澤くんは受け取ってくれた。
「……これから時間あります?先輩、食べたいって言ってたでしょ?一緒に食べます?」
一緒に食べようだなんて、そんな事を言ってもらえると思っていなかった私は、満面の笑みで、食べる!と答えた。
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