ちっちゃくなっちゃった!
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…ガキの体力をナメていた。
かくれんぼから始まり、影ふみに鬼ごっこ、色鬼に氷鬼…最終的にかくれ氷鬼になった。意味がわかんねぇ。
…しかも何故か俺まで強制参加だった。
夕食の時間になり、食堂へ戻ると一つだけやたらと目を引く食事が用意されていた。
『わぁ!!おこさまらんち!!』
…所謂“お子様ランチ”と呼ばれるそれは、ペンギンが作ったらしい。
そういや、桜が食事作りを手伝うようになってからペンギンの料理の腕も上がったってシャチが言ってたような…。
『これ、わたしたべていいの?』
「…俺が食うような人間に見えるか?」
「勿論、桜の為に作ったんだ。」
『ありがとうぺんぎん!!だいすき!!』
「…………。」
「…船長、今の桜は子どもですからね。」
わかってはいるがどうも面白くない。
こんなガキの言う事に一々腹立てたって仕方ねぇのに。
『ローおにいちゃんどうしたの?』
「ローお兄ちゃんはね、桜が俺の事を好きだって言ったからヤキモチ妬いちゃったんだよ。」
「…ペンギン、てめぇ…!」
『やきもち?おもち?』
「気にすんな。」
「ローお兄ちゃんは桜の一番じゃなきゃ嫌なんだって。」
「……そうかペンギン、てめぇそんなにバラされてぇのか。」
“ROOM”と呟こうとしたその時だった。
ぎゅっ
「…あ?」
柔らかく、小さな手が俺の手を掴んだ。
『ローおにいちゃん!』
「…なんだ?」
『あのね、わたしローおにいちゃんがいちばんすきだよ!!』
「!」
ニコニコと笑う桜に軽く目眩がした。それと同時にこんな事で簡単に機嫌が直る自分自身に内心苦笑する。
…やべえなこいつ。可愛すぎんだろ。
『ローおにいちゃんは?』
「は?」
『ローおにいちゃんはわたしのことすき?』
「……。」
伺うように俺を見上げるこいつに思わず固まっていた俺の背中に、クルー全員の視線が突き刺さる。
…桜のこの目は見た事があった。不安で不安で仕方ねぇ時の目。
…この歳のガキには似合わない目だ。
少し震えている桜の手を握ったまま、その小さな身体を抱き上げる。
『わ、』
「…俺も好きだ。」
『ほんと??』
「あぁ。」
『…えへへ、ローおにいちゃんだいすき!!』
小さくて短い腕を精一杯俺の首に回して、幸せそうに笑う桜の笑顔は年相応の笑顔だった。