サガ

ぐるんと視界が回った。
足が地面から離れ、身体が宙に浮く感覚に背筋が凍る。
これはどうにもならない。
諦めて目を瞑り、衝撃に備えた。
体感では数秒あったが実際には一瞬のことだろう。身体全体に重力がかかり、体勢が安定する。
受け身も取れずに石畳に投げ出されれば、身体のあちこちが痛みを訴える。それが普通だ。
「……大丈夫か?」
驚くほど近くから声が聞こえ、反射的に視線を上げる。そこにあったのは神の化身と呼ばれる美丈夫の顔だった。
「……どこか痛むか?」
心配そうに覗き込んでくる男の顔が近い。近過ぎる。
何より身体に痛みがない。不自然さに身じろぎしたところで己の手が触れている場所が石畳ではないことに気付いた。そればかりか足が地面についていない。
転ぶ寸前でサガに助けられたこと、そして抱き抱えられたままでいると理解して声にならない悲鳴をあげた。
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