サガ
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・直接描写はないが匂わせ
・爪磨きする男いいよね(お察しください)なネタ
ーーーーーー
ピンク。水色。白。黄色。
色とりどりの小さな小瓶をローテーブルに並べて、彼女は首を傾げた。同時に金糸がさらさらと肩から流れ落ちる。
自身の爪にヤスリをかけながら、サガはチラとそんな恋人の様子を見遣った。
今日はいつもの特等席ではなく、ラグの上に置いたクッションに腰を落ち着けている。まるでソファーが背凭れのようだが、テーブルの高さを考えるとその場所が都合良いのだろう。
「サガ、何色がいいと思う?」
「……なに、と言われても……」
何色でも似合うだろう、としか甲斐性のない男には言えないのだが、彼女はよくそのような問いを投げかけてくる。
そして返答に困る恋人を見て、ほんのりと色付いた頬を膨らますのだ。
「サガの好きな色言ってくれていいのに」
もっと気楽にレスポンスを返して欲しいと言うが、下手な答えで損ねた機嫌を取るのは誰だと思っているのか。……そんな言葉が口をついて出てしまいそうになる。流石にそれを口にして良い訳がないことは、いくら朴念仁とはいえ理解していた。
根本的に自分は恋愛に向いていないのだろう、とサガは思う。女性らしい女性というのは昔から苦手だった。それでも彼女の傍らに、と願うのは惚れた弱みということに違いない。
「……緑はないのだな」
「あー……色自体は好きだけど、ネイルだとあんまりなのよね……」
むう、と唇を尖らせた後、はっとした様子で麗子は此方を向いた。鮮やかな翠玉の瞳が不思議そうにサガを見つめる。
「サガ、みどり色好きだった? 青じゃなくて?」
何故かそれまでよりもキラキラとした表情で彼女は恋人の返答を待った。
一度手元に視線を落とし、男は考える。右手に持っていたヤスリを目の細かいものに持ち替える間も、左半身に圧を感じた。
急かしてはこないが、期待して待ち続けている姿が容易に想像出来る。手は休めず、一度ゆっくりと息を吐き出し、戸惑いがちにサガは言葉を紡いでいった。
「……青が好きというわけではない。ただ、落ち着くだけだ。黄色も、似た感覚だな……」
答えに目を瞬かせる麗子の顔には、それを好きというのでは、と書いてあった。
その感覚も分からなくはない。しかし、サガとしては、好きと言うには少し足りないのだった。
「白の方が、好きではある。だが、怖いとも思わなくはない」
闇の象徴たる黒のような嫌悪感はない。それでも、穢れなき色に対して多少の抵抗は否めなかった。
「……着ない方がいい……?」
ソファーが僅かに軋み、左肩に重みが加わる。
サガの両手が塞がっているからだろう。凭れ掛かるだけに留めた麗子は自分の膝に手を置いている。
その身を包むのは白。肌触りが良いのだと自慢していた部屋着はパーカータイプの上着と揃いのショートパンツ。
「……そういうことじゃない。イメージ的な話であって色そのものをどうとは思っていない」
「……ほんとに……?」
不安そうに揺れる瞳が真っ直ぐサガを捉えた。
無理をしていないかと、隠された心の底を見透かそうとするように、穏やかに輝いている。
「大丈夫だから好きな色を纏いなさい」
意識的に笑みを浮かべるのと対照に、手が無意識に麗子の頬へ伸びた。
そっと触れると、嬉しそうに顔を綻ばせて自身の手を重ねてくる。このまま甘やかしてやりたいのは山々だが、いかんせん作業の途中だ。中途半端に放り出してしまう訳にはいかない。
サガは終わるまで待つように言って、恋人の頭を軽く撫でるに留めた。
「しょうがないから待っててあげるわ」
ふふ、と軽やかな笑い声を上げ、麗子は小瓶の中から幾つかの色を選び取った。そのまま元の位置に戻るのかと思いきや、サガの隣――いつもの定位置に座り指にペタペタとテープを貼っていく。十指全てに貼り終わると、爪に薄い水色の液体を塗り始めた。
今日はその色に決めたのかと認識したサガは己の手元に意識を戻す。そしてマニキュアが乾くまでには作業を終えよう。そう心に誓った。
――これで問題ないだろう、と仕上げの研きに移る際。塗り終わって乾くのを待っていた筈の麗子が再び小瓶を手に取っているのが見えた。それも先程とは違う黄色と濃い青の二つを。
「……終わったのでは無かったのか?」
「ええ。せっかくだから」
何が折角なのかは分からないが、綺麗に塗れたら褒めて、と楽しそうに言われては仕方ない。
分かった、と相槌を打ち、自分の作業を続けながらサガは恋人の手許を眺める。
何に使うのかと思っていたスポンジのようなものに、麗子は小瓶から液体を取り出して塗っていく。色が混ざっているが良いのだろうか、と思ったが口には出さずに済んだ。続けて、量や色を調整したのだろうそのスポンジで、麗子は爪を叩くようして色を付けている。
その様子になるほど、ネイルは付属のブラシで色を乗せるだけではないらしいと合点がいった。叩き終わった指を彩る模様は確かにブラシでは作れないだろう。
色を出して、染み込ませ、叩くように塗る。それを順にそれぞれの指へと数度繰り返す。麗子が満足いくまで塗り重ねた頃にはサガの作業はすっかり終わっていた。
「結構良い感じじゃない?」
あとは乾くのを待ち、テープを剥がすだけだと言う指先は黄色と青のグラデーションで彩られている。
「……私が落ち着く、と言ったからか?」
「んー……まあ、それもなくはないんだけど」
自らの爪を見つめ、麗子は言い淀んだ。
そして疑問符を浮かべたサガを上目遣いに見上げるが、直ぐに視線は彷徨ってしまう。口を開くか開くまいか思案するように。ほんのりと頬を染め、徐々に俯いていく顔をサガは覗き込んだ。そうすると観念したのか、麗子ははにかんで言った。
互いの髪の色だから、と。
――――どうしてくれよう、とサガは思った。溜息を吐き、一先ず膝の上へ恋人を抱き寄せる。とうの麗子は驚いた風もなく、大人しく恋人の膝に乗った。
乾いていないネイルポリッシュが付かぬよう両手を前に出しているので、されるがままという状態でもある。
サガが腹の前に腕を回し、支えるよう抱き締めると、力を抜いて完全に背中を預けてきた。
しかし何やらご不満だったらしい。身体を起こして腕を退けさせると、麗子はソファーに脚をあげ、横向きに座り直す。
そうして位置に満足すると、今度こそ半身をぴたりと密着させた。
やれやれ、と内心大きな溜息を吐いたサガは片手を麗子の腰にやり、もう一方の手で髪を梳く。腕の中の暖かな重みに自然と口角は上がった。
だらしのないだろう顔を誤魔化す為、一房すくった髪へ口付けを贈ると、その様子を見ていた麗子が手を伸ばし、サガの指に触れる。
「サガ、ちゃんとお手入れしてるから綺麗な爪してるわよね……指も長いし、いいなぁ……」
陶酔したような声を発しつつ、麗子は真剣にサガの手を見る。裏返してみたり、角度を変えてみたり。別段痛くも何ともないが、少々落ち着かない。
子供から玩具を取り上げるように、弄ばれていた方の手を上に掲げる。向けられていた視線は後を追い、その先にあるサガの顔へ辿り着いた。
刹那、良いことを思い付いた、と言わんばかりに麗子は笑みを深める。
「ねえ。ネイルしてみない?」
――サガの心情としては、いくら愛し子に期待を込めた目で言われても、である。
「しない」
「即答は酷くない? じゃあ何で整えてるの?」
ネイルの乾き具合を確認しながら、麗子は不服そうな声を上げた。
「……手入れしておかなければ、お前が痛いだろう」
きょとん、と目を丸くし麗子は首を傾げる。
やがて言葉の意味するところを理解したのか、じわじわと顔色が赤く染まっていった。
見事な変化にクツクツと笑い、サガは麗子を横抱きにして立ち上がる。
「あとは寝室で良いだろう? ……綺麗に塗れたら褒めろとも言っていたな?」
明日 は休みだ。お望み通り満足させてやるとも。
意識的に声を低くし耳許で囁くと、麗子は声にならない悲鳴を上げた。
そのまま、ぼすりと音が鳴りそうな勢いで肩に重みが乗る。かと思えば、首の後ろに両腕が回された。
無言は肯定だと微笑み、サガは部屋の明かりを落として扉を閉めた。
・爪磨きする男いいよね(お察しください)なネタ
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ピンク。水色。白。黄色。
色とりどりの小さな小瓶をローテーブルに並べて、彼女は首を傾げた。同時に金糸がさらさらと肩から流れ落ちる。
自身の爪にヤスリをかけながら、サガはチラとそんな恋人の様子を見遣った。
今日はいつもの特等席ではなく、ラグの上に置いたクッションに腰を落ち着けている。まるでソファーが背凭れのようだが、テーブルの高さを考えるとその場所が都合良いのだろう。
「サガ、何色がいいと思う?」
「……なに、と言われても……」
何色でも似合うだろう、としか甲斐性のない男には言えないのだが、彼女はよくそのような問いを投げかけてくる。
そして返答に困る恋人を見て、ほんのりと色付いた頬を膨らますのだ。
「サガの好きな色言ってくれていいのに」
もっと気楽にレスポンスを返して欲しいと言うが、下手な答えで損ねた機嫌を取るのは誰だと思っているのか。……そんな言葉が口をついて出てしまいそうになる。流石にそれを口にして良い訳がないことは、いくら朴念仁とはいえ理解していた。
根本的に自分は恋愛に向いていないのだろう、とサガは思う。女性らしい女性というのは昔から苦手だった。それでも彼女の傍らに、と願うのは惚れた弱みということに違いない。
「……緑はないのだな」
「あー……色自体は好きだけど、ネイルだとあんまりなのよね……」
むう、と唇を尖らせた後、はっとした様子で麗子は此方を向いた。鮮やかな翠玉の瞳が不思議そうにサガを見つめる。
「サガ、みどり色好きだった? 青じゃなくて?」
何故かそれまでよりもキラキラとした表情で彼女は恋人の返答を待った。
一度手元に視線を落とし、男は考える。右手に持っていたヤスリを目の細かいものに持ち替える間も、左半身に圧を感じた。
急かしてはこないが、期待して待ち続けている姿が容易に想像出来る。手は休めず、一度ゆっくりと息を吐き出し、戸惑いがちにサガは言葉を紡いでいった。
「……青が好きというわけではない。ただ、落ち着くだけだ。黄色も、似た感覚だな……」
答えに目を瞬かせる麗子の顔には、それを好きというのでは、と書いてあった。
その感覚も分からなくはない。しかし、サガとしては、好きと言うには少し足りないのだった。
「白の方が、好きではある。だが、怖いとも思わなくはない」
闇の象徴たる黒のような嫌悪感はない。それでも、穢れなき色に対して多少の抵抗は否めなかった。
「……着ない方がいい……?」
ソファーが僅かに軋み、左肩に重みが加わる。
サガの両手が塞がっているからだろう。凭れ掛かるだけに留めた麗子は自分の膝に手を置いている。
その身を包むのは白。肌触りが良いのだと自慢していた部屋着はパーカータイプの上着と揃いのショートパンツ。
「……そういうことじゃない。イメージ的な話であって色そのものをどうとは思っていない」
「……ほんとに……?」
不安そうに揺れる瞳が真っ直ぐサガを捉えた。
無理をしていないかと、隠された心の底を見透かそうとするように、穏やかに輝いている。
「大丈夫だから好きな色を纏いなさい」
意識的に笑みを浮かべるのと対照に、手が無意識に麗子の頬へ伸びた。
そっと触れると、嬉しそうに顔を綻ばせて自身の手を重ねてくる。このまま甘やかしてやりたいのは山々だが、いかんせん作業の途中だ。中途半端に放り出してしまう訳にはいかない。
サガは終わるまで待つように言って、恋人の頭を軽く撫でるに留めた。
「しょうがないから待っててあげるわ」
ふふ、と軽やかな笑い声を上げ、麗子は小瓶の中から幾つかの色を選び取った。そのまま元の位置に戻るのかと思いきや、サガの隣――いつもの定位置に座り指にペタペタとテープを貼っていく。十指全てに貼り終わると、爪に薄い水色の液体を塗り始めた。
今日はその色に決めたのかと認識したサガは己の手元に意識を戻す。そしてマニキュアが乾くまでには作業を終えよう。そう心に誓った。
――これで問題ないだろう、と仕上げの研きに移る際。塗り終わって乾くのを待っていた筈の麗子が再び小瓶を手に取っているのが見えた。それも先程とは違う黄色と濃い青の二つを。
「……終わったのでは無かったのか?」
「ええ。せっかくだから」
何が折角なのかは分からないが、綺麗に塗れたら褒めて、と楽しそうに言われては仕方ない。
分かった、と相槌を打ち、自分の作業を続けながらサガは恋人の手許を眺める。
何に使うのかと思っていたスポンジのようなものに、麗子は小瓶から液体を取り出して塗っていく。色が混ざっているが良いのだろうか、と思ったが口には出さずに済んだ。続けて、量や色を調整したのだろうそのスポンジで、麗子は爪を叩くようして色を付けている。
その様子になるほど、ネイルは付属のブラシで色を乗せるだけではないらしいと合点がいった。叩き終わった指を彩る模様は確かにブラシでは作れないだろう。
色を出して、染み込ませ、叩くように塗る。それを順にそれぞれの指へと数度繰り返す。麗子が満足いくまで塗り重ねた頃にはサガの作業はすっかり終わっていた。
「結構良い感じじゃない?」
あとは乾くのを待ち、テープを剥がすだけだと言う指先は黄色と青のグラデーションで彩られている。
「……私が落ち着く、と言ったからか?」
「んー……まあ、それもなくはないんだけど」
自らの爪を見つめ、麗子は言い淀んだ。
そして疑問符を浮かべたサガを上目遣いに見上げるが、直ぐに視線は彷徨ってしまう。口を開くか開くまいか思案するように。ほんのりと頬を染め、徐々に俯いていく顔をサガは覗き込んだ。そうすると観念したのか、麗子ははにかんで言った。
互いの髪の色だから、と。
――――どうしてくれよう、とサガは思った。溜息を吐き、一先ず膝の上へ恋人を抱き寄せる。とうの麗子は驚いた風もなく、大人しく恋人の膝に乗った。
乾いていないネイルポリッシュが付かぬよう両手を前に出しているので、されるがままという状態でもある。
サガが腹の前に腕を回し、支えるよう抱き締めると、力を抜いて完全に背中を預けてきた。
しかし何やらご不満だったらしい。身体を起こして腕を退けさせると、麗子はソファーに脚をあげ、横向きに座り直す。
そうして位置に満足すると、今度こそ半身をぴたりと密着させた。
やれやれ、と内心大きな溜息を吐いたサガは片手を麗子の腰にやり、もう一方の手で髪を梳く。腕の中の暖かな重みに自然と口角は上がった。
だらしのないだろう顔を誤魔化す為、一房すくった髪へ口付けを贈ると、その様子を見ていた麗子が手を伸ばし、サガの指に触れる。
「サガ、ちゃんとお手入れしてるから綺麗な爪してるわよね……指も長いし、いいなぁ……」
陶酔したような声を発しつつ、麗子は真剣にサガの手を見る。裏返してみたり、角度を変えてみたり。別段痛くも何ともないが、少々落ち着かない。
子供から玩具を取り上げるように、弄ばれていた方の手を上に掲げる。向けられていた視線は後を追い、その先にあるサガの顔へ辿り着いた。
刹那、良いことを思い付いた、と言わんばかりに麗子は笑みを深める。
「ねえ。ネイルしてみない?」
――サガの心情としては、いくら愛し子に期待を込めた目で言われても、である。
「しない」
「即答は酷くない? じゃあ何で整えてるの?」
ネイルの乾き具合を確認しながら、麗子は不服そうな声を上げた。
「……手入れしておかなければ、お前が痛いだろう」
きょとん、と目を丸くし麗子は首を傾げる。
やがて言葉の意味するところを理解したのか、じわじわと顔色が赤く染まっていった。
見事な変化にクツクツと笑い、サガは麗子を横抱きにして立ち上がる。
「あとは寝室で良いだろう? ……綺麗に塗れたら褒めろとも言っていたな?」
意識的に声を低くし耳許で囁くと、麗子は声にならない悲鳴を上げた。
そのまま、ぼすりと音が鳴りそうな勢いで肩に重みが乗る。かと思えば、首の後ろに両腕が回された。
無言は肯定だと微笑み、サガは部屋の明かりを落として扉を閉めた。
