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喧騒が遠くに聞こえた。
今もまだ争いは続いている。この場を立ち去り、味方の加勢に行かねば。
守るために、騎士たるに相応しい行動を取らねば。
……そうは思えども、震える身体に鞭打って立ち上がることは出来なかった。
互いの白い軍服が紅黒く染まっていく。
今にも星の輝きが消えてしまいそうな愛しい人を抱いて、男は肩を震わせた。
なんと惨い結果だろう。
いや、分かっていたはずだ。物語のような幸福な結末は有り得ない。それでも共に在りたいと願ったのは男自身だった。
だというのに、流れる涙を止めることが出来ない。
慟哭に苛まれながら、自分はなんと愚かな存在だったのだろうと唾棄する。
どれほど悔いたとて、男の腕の中で眠りに就こうとしている騎士を癒すことはできない。
開戦に至った経緯がどのようなものだとしても、王の名において火蓋は切られた。敵国の戦士となってしまった以上――ましてや既に失われた命がある以上は――個人的な感情を持ち込むことは許されない。
か細い身体をキツく抱き締め、ただ名を呼ぶ。
苦しみと哀しみに溢れた声は、騎士に最後の力を振り絞らせるに充分だった。
「……ごめん、なさい…………ゆるして、なんて……いわない…………けど……。」
もし、生まれ変わることが許されるなら……その時は同じ星 生まれたいわ……
命の灯火が消えようとしている中、戦士は穏やかな目で男を見た。
もう力の入らない手を動かそうとしているのを理解して、男はしかと手を握り返す。
「ああ。その時は必ずお前を見つけよう。きっと星は巡る……たとえそうでなくとも……私は永遠にお前を愛し続けよう。」
微かに弧を描いた唇が、ありがとう、と形を作った。
美しかった金糸が血糊で汚れている。
星が海へと還る刹那を見届け、男は立ち上がった。
愛した人の最期の姿を目に焼き付け、麗しき月の女神が放つ光の元へと走った。
女神 の願いにより星は流転した。
時の牢獄に男を残して、運命は先を進む。
男の手の届かぬ場所で星たちは目覚め、再び散っていった。
それを見ていることしか出来ない男は心を殺して、冷徹に努める。荒ぶる仲間を諫め、人知れず哀しみに身を委ねた。
そうして更に時は巡り、待ち侘びた再会の時。
覚えていなくとも構わない。ただ近くにあれるだけで。
愛しい人が生きて笑っていてくれるならそれでいいと。
星に願いが届いたのか、宿命 であったのか、2人は同じ記憶を持つことが出来た。
しかし幸いに酔いしれたのは僅かな一刻 。
再び切られた火蓋に戦士たちは剣を取った。
……そして、青い星を守る騎士はその身を散らす。
「約束、して。……また、あたしを見つけてくれるって」
戦火の収束と共に、死の女神の鎌が振り下ろされた。
今度は総ての星が、宇宙が新たな生を巡る。
今もまだ争いは続いている。この場を立ち去り、味方の加勢に行かねば。
守るために、騎士たるに相応しい行動を取らねば。
……そうは思えども、震える身体に鞭打って立ち上がることは出来なかった。
互いの白い軍服が紅黒く染まっていく。
今にも星の輝きが消えてしまいそうな愛しい人を抱いて、男は肩を震わせた。
なんと惨い結果だろう。
いや、分かっていたはずだ。物語のような幸福な結末は有り得ない。それでも共に在りたいと願ったのは男自身だった。
だというのに、流れる涙を止めることが出来ない。
慟哭に苛まれながら、自分はなんと愚かな存在だったのだろうと唾棄する。
どれほど悔いたとて、男の腕の中で眠りに就こうとしている騎士を癒すことはできない。
開戦に至った経緯がどのようなものだとしても、王の名において火蓋は切られた。敵国の戦士となってしまった以上――ましてや既に失われた命がある以上は――個人的な感情を持ち込むことは許されない。
か細い身体をキツく抱き締め、ただ名を呼ぶ。
苦しみと哀しみに溢れた声は、騎士に最後の力を振り絞らせるに充分だった。
「……ごめん、なさい…………ゆるして、なんて……いわない…………けど……。」
もし、生まれ変わることが許されるなら……その時は同じ
命の灯火が消えようとしている中、戦士は穏やかな目で男を見た。
もう力の入らない手を動かそうとしているのを理解して、男はしかと手を握り返す。
「ああ。その時は必ずお前を見つけよう。きっと星は巡る……たとえそうでなくとも……私は永遠にお前を愛し続けよう。」
微かに弧を描いた唇が、ありがとう、と形を作った。
美しかった金糸が血糊で汚れている。
星が海へと還る刹那を見届け、男は立ち上がった。
愛した人の最期の姿を目に焼き付け、麗しき月の女神が放つ光の元へと走った。
時の牢獄に男を残して、運命は先を進む。
男の手の届かぬ場所で星たちは目覚め、再び散っていった。
それを見ていることしか出来ない男は心を殺して、冷徹に努める。荒ぶる仲間を諫め、人知れず哀しみに身を委ねた。
そうして更に時は巡り、待ち侘びた再会の時。
覚えていなくとも構わない。ただ近くにあれるだけで。
愛しい人が生きて笑っていてくれるならそれでいいと。
星に願いが届いたのか、
しかし幸いに酔いしれたのは僅かな
再び切られた火蓋に戦士たちは剣を取った。
……そして、青い星を守る騎士はその身を散らす。
「約束、して。……また、あたしを見つけてくれるって」
戦火の収束と共に、死の女神の鎌が振り下ろされた。
今度は総ての星が、宇宙が新たな生を巡る。
