スタレ
アイツの手が、壊れ物に触れるみたいに装甲の上をはい回る。確かに、治ったら抱かせてやるとは言ったけども。昨日の今日なんて、そんな早急な。でも、約束は約束だからなんて思考を回していると、それが気にくわないのかアルジェンティはオレの顎をくいっと持ち上げると、瞳を覗き込む。
「ブートヒルさん」
「なんだよ……」
「駄目、ですか?」
アンタ、逃がす気なんてねぇくせに。しおらしくしやがって。
「言い出したのはオレだ。一応もう一度確認しとくが、本当に治ったんだな?」
「はい!ブートヒルさんにいただいた薬が効いたんだと思います」
アルジェンティはそう言うと、嬉しそうに微笑む。額に手を当てるが、確かに熱もなさそうだ。なら、オレが取る行動は一つ。
無防備な唇にキスをして、微笑んだ。
「なら良し」
「!」
別に抱かれたい訳じゃねえけど、その、求めてないかと言えば嘘になる。そりゃ、わざわざ一人で抜くくらいには人肌恋しい。素直には絶対なれないけれど、でも、ちょっとくらいなら許されるんじゃないか。
ちゅ、と何度もキスを落とされ、脳チップに余計な負荷がかかる。その、ある種の心地よさにも似た感覚に酔いしれていると、隙間に舌を差し込まれた。
「ちゅ、……ふっ、んんっ」
隙間から湿った音が漏れる。なんだか恥ずかしくてかぁっと顔が熱くなった。
「はぁ……、ブートヒルさん」
アルジェンティがオレの名前を呼ぶ。それだけで、回路の処理速度が上がってしまう。
どうしようもないくらい好きだった。
装甲を撫で回す手も、その暖かさも、全てが心地よくて。
「んんっ、アルジェンティ」
呼応するように彼の名を口にすれば、ぱっとバラの花弁が散る。その一つを手にとって、愛おしげにキスをすれば、アルジェンティは小さく呻いた。
「……煽らないで」
止まれなくなってしまうから。小さく囁かれた言葉に、加減をする気があったのかと驚く。だって、普段あんな激しく抱く癖に。そんな、加減もなにもないだろ。
首筋に噛み付くように吸い付かれて、跡も残らない人工の皮膚を少し恨む。
「っ、はぁ……」
熱い息を吐いて、自分からキスを強請るようにすりよれば、望んだそれは与えられた。
目を閉じて、巧みに動く舌になんとか着いていこうとすれば合わせてくれて。気遣いになんだか心が温かくなった。
「ちゅ、ぅっ……んっ」
身体を撫でていた手がゆっくり股間に伸ばされて、かちゃかちゃと音を立ててベルトを緩めるとそのままするりと中に入ってきた。ぬかるんだそこを指が撫でて、ぴくりと身体が跳ねる。
「んあ、……はぁ」
「ふふ、とろとろ」
「言うなっ」
緩く勃ち上がった陰核を指の腹で優しく擽られて、思わず息を飲む。そこが気持ちいいところだと、散々教えられた身体が疼いてしょうがない。
ほとんど無意識に腰をへこへこと揺らしながら、アイツの手に翻弄される。
「ひぁっ、あぁ……♡」
媚びきった声が口から漏れた。恥ずかしいけど、声を聞かせるとアルジェンティが喜ぶから仕方なく、だ。
「あ、んっ♡」
「可愛らしい……。綺麗です、とても」
ちゅっと頬にキスを落とされて、それがもっと欲しくてすり寄る。出来ることならずっとくっついていたい。望み通り落とされたキスに、うっそりと微笑む。
「あるじぇんてぃ、すき♡」
「っ!」
理性なんかもうとろとろに溶けていて、すで正常な頭ではなかった。ぎゅうっと強く抱き付いて、自分からもキスをする。
指がゆっくり挿入ってきて、身体がびくんと跳ねた。きゅうきゅうナカを締め付けながら、必死に舌を絡ませる。
「ちゅっ、はぁ……!あるっ、……うぅっ♡」
気持ち良くて、ふわふわ浮いているような感覚に身を任せる。ベッドにオレの髪とアイツの髪が散らばって、混ざりあっていた。それがなんだか嬉しくって、頬を水が流れていく。
「泣いているんですか?」
「あぇ?なんで……」
なんで泣いているんだろう。別に痛くもないのに。
ちゅ、とわざとらしく音を立てて吸い取られる。驚いて目を丸めれば、ふっと優しく微笑まれて。
「ブートヒルさん、愛しています」
「っ、」
「ふふ、今ナカが締まりましたね。……可愛い」
嬉しくて、こんな幸せでいいのかと思う。好きだ、好きで好きでしょうがないんだ。
「アルジェンティ、もっ、いいから♡いれてほしい♡」
「でも……」
「昨日、その……ひとりでしてたから……大丈夫だと思う」
言う気なんてなかったのに、思っていたことがするりと口からこぼれ出してしまった。そんな、こんなの変態みてぇじゃん。
「う、……煽らないでください」
「煽ってな、い……っ!」
指を引き抜かれて、そのまま熱いものがそこに当てられる。この先を想像して、思わずごくりと息を飲んだ。
「んっ♡」
「ブートヒルさん」
「アルジェンティ」
名前を呼び合いながらキスをする。そうしてずるずると陰茎が挿入ってきて。熱い。ぐつぐつぐらぐら。溶けそうなくらいだ。
可愛くて格好いい、オレの、オレだけの恋人。
「あ゛っ♡♡」
気持ちいいところを先端で抉るように刺激されて、思わず声が漏れる。ばちばちと電気が流れたみたいな快感に、脳チップがいかれたかと思った。
「はぁっ、ぁっ……気持ちいいです!」
「ん、おれもっ♡♡いい♡いくっ♡♡」
口がもう回らない。喋ることすらままならなくって、アイツの背中をがりがりと引っ掻く。
奥が苛めて欲しくてきゅんきゅん疼いた。ああ、イく。大きいの、来る♡
「ぐ、ぅ♡♡~~~~っ!♡♡♡」
びくんと大きく身体が跳ねて絶頂する。目の前がチカチカ明滅して、どうしようもない快感に突き落とされていく。
ほとんど無意識に、じりじりと逃げる腰を捕まえられて、そのままばちんと腰を打ち付けられた。
「あ゛~~~~っ!♡♡♡ぐう、いってる!♡♡いってるからぁ!♡♡♡」
「っ、はあ……もっと僕を求めてください」
「ぐぅ♡♡もっ、たすけてぇっ♡♡♡」
容赦なく腰を打ち付けられて、何度も絶頂する。壊れたようにぷしゅっと潮を吹いて、気絶しかけては起きを繰り返す。気持ちいい、こんなの狂う。
「あるっ、♡♡やらぁっ♡♡~~~~っ!♡♡♡」
「ブートヒルさん、逃げないで」
逃げないでってアンタ、こんな容赦なく責めといてなに言ってんだ。でも、文句を言おうと開けた口からは喘ぎ声しかでなくて。
「ん゛、あ~~~っ!♡♡♡だめっ、だめぇ!♡♡」
ごちゅっと奥にはまりこむように先端を押し込まれて、思わず泣きじゃくる。
ぎゅっとナカを締め付けて果てれば、アルジェンティが小さく呻いて、ナカにびゅくびゅくと精を吐き出される。
「っ、!」
「んぎぃ~~~~っ!♡♡♡」
ばちん、と大きな音がして、目の前が真っ暗になる。そうして次の瞬間には、心配そうにこちらを覗き込むアルジェンティの顔がドアップで映りこんだ。
「ブートヒルさん!?」
「あ……わりぃ……意識飛んでた」
「ああ、良かった……すみません。激しくしすぎましたね」
気だるい身体をなんとか起こして、反省しきった様子のアルジェンティの頬に触れる
「別にこんぐらい、大丈夫だぜ?」
「でも……」
「それよりも、なあ……もっと抱いてくれよ」
「っ、!」
こんなんじゃ、足りねぇだろ?
首を傾げてそう問えば、やる気に満ち溢れたアルジェンティがのし掛かってきて。
「言いましたね?」
「だって、まだ満足してねぇだろ?」
そのままキスを落とされて、奥まで一気に串刺しにされる。がくがくと身体が壊れたように震え、涙がぼろぼろ溢れていく。
「アルジェンティ、すき♡♡」
ぎゅうっと抱き付いて、その欲を受け入れたのだった。
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