スタレ
現パロ
ぶーちゃんがえっちな配信者
ずっと気になっている人がいる。
PC画面の中でしか見たことのないその人は、何処か懐かしい感覚がして……そう、長い時を過ごした友のような、大切な人のような。とにかくそんな感覚を思い起こさせる。現実で会ったわけじゃないのにだ。
その人は俗に言う配信者だ。……それも性的な方の。
ネットの片隅で不定期に配信されるそれは、主にアダルトな商品のレビューで、現代社会でささくれた心を癒してくれる。
『今日はこれ、タコ足のディルド。吸盤の形すげぇなこれ』
マスクで顔は良く見えないが、興奮からもうすでに目がとろりと蕩けている。それを、僕達リスナーはただ見ることしか出来ない。
悪戯にふっと目を細めた彼の、目元のほくろがセクシーで好ましく思う。お団子に結わえてある、先端の黒い白髪が散らばる様も美しく、まるでアメ細工の様だった。
『アンタ達、こう言うの好きだろ?』
マスクを上にずらし、口を出した状態でそれを舐めあげる様があまりに卑猥で目眩がする。最低限の物しか映らないようにされているバスルームの中、ディルドを床に固定すると、彼はマスクを戻してからそれにローションをこれでもかと言うくらい振り掛けた。にちにちと卑猥な音を立てて、わざとカメラに見せ付けるように扱かれるそれから目が離せない。
『ははっ、ぬるぬるしててホントにタコの足みてぇだ』
そうしてくつくつ笑う声が好きで、殆ど無意識に画面越しの彼の輪郭をなぞる。
『ははっ、奥まで届きそう♡』
そのまま彼はディルドを太ももで挟み込み、ゆるゆると腰を振った。彼の勃ち上がった陰茎がディルドの吸盤に引っ掛かって気持ちいいのか、時折媚びるような嬌声を漏らしながら腰を揺らす。
その姿が可愛らしくて、思わず口角が上がる。
『あっ、んんっ!♡これ、結構やべぇかもっ♡はぁっ、きもちいっ♡』
彼の掠れた声が腰に響いて、ずくっと重くなる。コメント欄は彼への投げ銭で溢れ、始まってすぐなのに多数の人が見ているのが伺える。
彼は配信者として人気があるのだ。容姿が良いからきっと目立つんだろう。
『はぁっ、あっ♡タコに犯されてるみてぇで♡んんっ、アンタらみたいな変態は興奮すんだろ?』
心の中を言い当てられたみたいで思わずドキッとする。変態、なんて言われて興奮するなんて、僕は何をしているんだろうと思うが気持ちは止められなかった。
配信者にそんな気持ちを抱くなんて不毛だと言うことはわかっている。それでも僕は彼に恋をしていた。
『あ?オレも変態だろって?ぎゃははっ、それもそうか』
そう言いながら彼は笑う。きっと投げ銭のコメントを拾い上げたんだろう。今なら彼にコメントが届くかもしれない。そう思って、ありったけの額を入力する。コメントをするなんて初めてで、勝手がわからない。でも、何て言おうかなんて悩んでいる時間はなくて思いの丈をつらつらと書き連ねる。
見てくれなくても構わない。彼の人生の助けにさえなれはそれでいい。そんな気持ちで送信ボタンを押した。
『ん、純美の騎士?なんだよ、すげぇ名前だな』
「っ!」
彼が僕のコメントを見てくれた。それだけで嬉しくって思わず舞い上がる。
『ははっ、ありがとな……助かるわ。そんなアンタにサービスしてやるよ♡』
彼はそう言うと後孔を見せ付けるように足をがばっと開いた。性器のようなそこがローションでテラテラ光っていて、思わず生唾を飲む。
『よぉく見とけよ?』
舌舐りをしながら呟くと、彼はゆっくり腰を落としていく。吸盤で凸凹したディルドがじわじわとナカに飲み込まれていって、時折びくりと彼の身体が跳ねる。
結構大きいモノを受け入れていると言うのに随分と気持ち良さそうだ、と思った。
『お゛っ、あ♡はーっ、あっ♡吸盤でっ、前立腺潰れるっ♡♡』
慣らすように何度か出し入れを繰り返した後、意を決したかのように一気に奥まで差し込んだ。
『お゛~~~~っ!♡♡♡』
瞬間、とろとろと先走りを溢していた陰茎から精が勢い良く吐き出される。彼は倒れそうになる身体をがくがく震わせながらなんとか耐えると、カメラに向かってへにゃりと笑った。とろりと瞳から涙がこぼれ落ちる。
『はぁっ♡♡はーっ……ほら、腹ン中、膨らんでる♡♡』
薄い腹を撫でながら震える画面内の彼に、文字通り釘付けになった。美味しそうな身体には所々傷痕があって、それがまた興奮を駆り立てる。
彼は普段どんな生活を送っているのだろうか?ちゃんとご飯は食べられているのだろうか?様々な心配が頭を過るが、それよりも性欲の方が勝っていた。
『ふっ、♡♡あ゛っ、♡♡♡きっ、つ♡♡これ、吸盤がぷにぷにしてるから出すときやべぇな』
少し落ち着いたのか、彼がディルドのレビューを始めた。浅いところを抜き差しするのが良いのか、ゆるゆると腰を振りながら時折喘ぐ姿に、此方も息が上がる。
『はっ、あっ♡♡ん゛お゛っ♡♡』
「っ、ああ、」
イケナイコトだと知りながらも、すでに勃ち上がった陰茎に手を伸ばし、ゆっくりと扱いた。
画面の中の彼と同じように息を荒くしながら、彼を乱しているのが自分であると錯覚する。
『はぁっ、♡♡ほら、アンタもそろそろキツいだろ?イッちまえよ♡』
耳元で聞こえる彼の掠れた声に、彼も限界が近いのだと察した。じゅぷじゅぷとわざとらしく音を立ててディルドを奥まで咥え込むと、何度も出し入れを繰り返す。
『あん、♡♡ん゛、♡♡ぐあっ♡♡いくっ、でかいのくるっ♡♡ん~~~~っ!♡♡』
「っく、ぁ!」
彼はぷしゃっと陰茎から潮を吐き出すと、かくんと身体から力が抜ける。それと殆ど同時に手の中に射精をすると、テーブルの上のティッシュに手を伸ばした。
『あーーー、これやべぇわ、癖になる……んんっ♡♡ふーっ……まだ腹ン中ぞわぞわするわ』
んじゃ、またな。お決まりの文句を言うと、配信がオフラインになる。また彼で抜いてしまった。後悔が押し寄せてきて、精液を拭いたティッシュをゴミ箱に捨てる。
また、配信してくれるのだろうか。そう思いながら立ち上がり、ベッドへと向かう。見慣れた天井を眺めながら、明日からは部屋の荷造りをしないといけないなと考えつつ眠りに就いた。
それから約一週間、仕事の合間になんとか部屋を片付け、引っ越しに向け準備をする。まさか本社勤務になるとは思わなかったが、きっと喜ぶべき事なのだろう。
住むところは会社から少し遠くになってしまったが、住みやすそうでいいマンションを見付けた。
荷物を一通り送り終え、がらんとした部屋を眺めながら思う。この一週間、気がかりだった彼の配信はなく、きっと忙しいのだろうと勝手に思うことにした。配信で不特定多数に彼の痴態を見せるのは、一視聴者でしかない僕が言えたことではないのはわかっていても、腹立たしいものがある。
「ふふ、不毛だ」
そう呟きながら、住み慣れた部屋を後にする。今日は有給を貰っているから、出来る限り部屋を片付けたい。
ああ、周りの部屋の住人に挨拶をするのを忘れないようにしないと。道中の百貨店で菓子折りでも買っていこうと思い立ち、桜の舞う街路を歩きだした。
新しく住む部屋の周りの住人は、皆良い人そうだった。下の階と上の階、片方のお隣は挨拶が終わり、後はもう片方のお隣さんだけだ。
「そちらの方も良い隣人であればいいのですが……」
そう呟きながらインターホンを押す。足音がして、中から人が出てきた。
「おう、誰だよアンタ」
その姿に、思わず思考が止まる。
「あっ、」
見間違うはずない。特徴的な泣きぼくろに、毛先の黒い、長く伸ばされた白髪。何処か気だるそうなしゃべり方。
間違いなく、憧れのあの人だった。
「ん、何?セールス……じゃあ無さそうだな」
「あ、いや、僕は隣に越してきた者です!ご挨拶をと思いまして!」
「ふーん、そういや隣空き部屋になったんだったな。わざわざ挨拶ありがとな」
そう言ってにっと笑いながら菓子折りを浮けとる彼に、二度目の一目惚れをする。何と言って良いのかわからなくなって言葉に困っていると、彼は少し考えた後菓子折りを靴棚の上に置き手を引っ張ってきた。
そんなことされるなんて思わなかったが故に、そのまま部屋に引き込まれる。
部屋の扉が音を立てて閉まり、成人男性が二人入るには少し狭苦しい玄関の壁に詰め寄られる。
「アンタ、リスナーだろ」
「っ、!」
「なんでバレたんだって言う顔してんな。他人の顔見た瞬間あんな顔してたら流石にわかるぜ?それとも、アンタそんななりして誰彼構わず引っ掻けるタイプな訳?」
矢継ぎ早に言葉を投げられ、困惑していると彼はその場にしゃがみこみ、カチャカチャと僕のベルトを緩め始めた。
「なっ、何を」
「あ?口で抜いてやるから周りに黙っててくれよ。ここバ先に近いから揉めて越したくねぇの」
「そんな!僕、誰にも言わないです!」
「やっぱリスナーじゃねぇか。たく、運がねぇな」
ま、アンタ顔は良いから、特別な。そう言うと、彼は下着の中に手を滑り込ませた。
「うわっ、でけぇな。ウチにあるヤツよりでけぇんじゃねぇの?」
「こんなことっ、やめてください!」
「そのわりにゃ勃たせてんのな。面白いヤツ」
ちろっと赤い舌が見えたかと思えば、先端にちゅっとキスをされ、先端にしゃぶりつかれた。夢にまで見た景色に、頭が混乱してただされるがままになる。
「はぁっ、んっ」
「ちゅっ、ははっ、良さそうな顔」
なんとか声を出さないように手で口を塞ぎながらぎりぎりのところで耐える。熱い舌が裏筋をチロチロ刺激してびくりと身体が跳ねた。
「っ、うぅ」
「アンタ可愛い顔してんな」
限界まで咥え込み、入りきらない所は唾液を絡めて指で刺激され、すぐにでも追い込まれる。これは経験の少ない僕でもわかる。慣れていると。
「はぁっ、あっ」
じゅぽじゅぽとわざとらしく音を立てて啜られ、気持ち良くて思わず彼の両肩を掴む。駄目だ、このままじゃすぐにでもイッてしまう。
「はなして、ください!もっ、出てしまいますっ!」
「ふっ、いいぜ?出しちまえよっ♡」
そう色っぽく言うと、仕上げと言わんばかりに強く吸われ、彼の口内にびゅくびゅくと精を吐き出した。
「あぁっ、くっ……」
尿道に残った精液も啜られ、びくりと身体が跳ねる。夢にまで見た彼の口の中は、それはもう天国のようだった。
「んんっ、ごちそうさん」
ねばつく精液をなんとか飲み下すと、彼は悪戯に笑った。そこでようやくはっとする。
「……はっ、すみません!僕は何てことを……大丈夫ですか!?」
どうして良いかわからずただただ慌てていると、崩れた衣服を戻しながら彼が何時ものように笑った。
「ぎゃははっ、アンタ面白ぇな。で、名前は?」
「アルジェンティとお呼びください」
「アルジェンティ……キコクシジョ?ってヤツ?」
「貴方のことはなんと呼べばいいですか?」
さっきまでのいやらしい雰囲気など何処かにいってしまったかのような会話に、これは都合のいい夢では?何て思い頬をつねるが痛みはあった。……夢じゃない。
「オレか?ブートヒルとでも呼んでくれ」
それだけ言うと、扉がそのまま閉まっていく。彼が見えなくなる瞬間にぃっと微笑むと、口パクで「内緒な」と言われ、思わず見惚れてしまう。
「……ブートヒルさん、」
閉じきった扉に向かって呟く。とんでもない体験をしてしまったが、嫌悪感は全くと言って良いほど無かった。それどころか、頭の中は先程の彼でいっぱいで……。
「ああ、僕は恋をしてしまったようです」
日が落ちて薄暗い廊下で、ぽつりと呟いた。
ぶーちゃんがえっちな配信者
ずっと気になっている人がいる。
PC画面の中でしか見たことのないその人は、何処か懐かしい感覚がして……そう、長い時を過ごした友のような、大切な人のような。とにかくそんな感覚を思い起こさせる。現実で会ったわけじゃないのにだ。
その人は俗に言う配信者だ。……それも性的な方の。
ネットの片隅で不定期に配信されるそれは、主にアダルトな商品のレビューで、現代社会でささくれた心を癒してくれる。
『今日はこれ、タコ足のディルド。吸盤の形すげぇなこれ』
マスクで顔は良く見えないが、興奮からもうすでに目がとろりと蕩けている。それを、僕達リスナーはただ見ることしか出来ない。
悪戯にふっと目を細めた彼の、目元のほくろがセクシーで好ましく思う。お団子に結わえてある、先端の黒い白髪が散らばる様も美しく、まるでアメ細工の様だった。
『アンタ達、こう言うの好きだろ?』
マスクを上にずらし、口を出した状態でそれを舐めあげる様があまりに卑猥で目眩がする。最低限の物しか映らないようにされているバスルームの中、ディルドを床に固定すると、彼はマスクを戻してからそれにローションをこれでもかと言うくらい振り掛けた。にちにちと卑猥な音を立てて、わざとカメラに見せ付けるように扱かれるそれから目が離せない。
『ははっ、ぬるぬるしててホントにタコの足みてぇだ』
そうしてくつくつ笑う声が好きで、殆ど無意識に画面越しの彼の輪郭をなぞる。
『ははっ、奥まで届きそう♡』
そのまま彼はディルドを太ももで挟み込み、ゆるゆると腰を振った。彼の勃ち上がった陰茎がディルドの吸盤に引っ掛かって気持ちいいのか、時折媚びるような嬌声を漏らしながら腰を揺らす。
その姿が可愛らしくて、思わず口角が上がる。
『あっ、んんっ!♡これ、結構やべぇかもっ♡はぁっ、きもちいっ♡』
彼の掠れた声が腰に響いて、ずくっと重くなる。コメント欄は彼への投げ銭で溢れ、始まってすぐなのに多数の人が見ているのが伺える。
彼は配信者として人気があるのだ。容姿が良いからきっと目立つんだろう。
『はぁっ、あっ♡タコに犯されてるみてぇで♡んんっ、アンタらみたいな変態は興奮すんだろ?』
心の中を言い当てられたみたいで思わずドキッとする。変態、なんて言われて興奮するなんて、僕は何をしているんだろうと思うが気持ちは止められなかった。
配信者にそんな気持ちを抱くなんて不毛だと言うことはわかっている。それでも僕は彼に恋をしていた。
『あ?オレも変態だろって?ぎゃははっ、それもそうか』
そう言いながら彼は笑う。きっと投げ銭のコメントを拾い上げたんだろう。今なら彼にコメントが届くかもしれない。そう思って、ありったけの額を入力する。コメントをするなんて初めてで、勝手がわからない。でも、何て言おうかなんて悩んでいる時間はなくて思いの丈をつらつらと書き連ねる。
見てくれなくても構わない。彼の人生の助けにさえなれはそれでいい。そんな気持ちで送信ボタンを押した。
『ん、純美の騎士?なんだよ、すげぇ名前だな』
「っ!」
彼が僕のコメントを見てくれた。それだけで嬉しくって思わず舞い上がる。
『ははっ、ありがとな……助かるわ。そんなアンタにサービスしてやるよ♡』
彼はそう言うと後孔を見せ付けるように足をがばっと開いた。性器のようなそこがローションでテラテラ光っていて、思わず生唾を飲む。
『よぉく見とけよ?』
舌舐りをしながら呟くと、彼はゆっくり腰を落としていく。吸盤で凸凹したディルドがじわじわとナカに飲み込まれていって、時折びくりと彼の身体が跳ねる。
結構大きいモノを受け入れていると言うのに随分と気持ち良さそうだ、と思った。
『お゛っ、あ♡はーっ、あっ♡吸盤でっ、前立腺潰れるっ♡♡』
慣らすように何度か出し入れを繰り返した後、意を決したかのように一気に奥まで差し込んだ。
『お゛~~~~っ!♡♡♡』
瞬間、とろとろと先走りを溢していた陰茎から精が勢い良く吐き出される。彼は倒れそうになる身体をがくがく震わせながらなんとか耐えると、カメラに向かってへにゃりと笑った。とろりと瞳から涙がこぼれ落ちる。
『はぁっ♡♡はーっ……ほら、腹ン中、膨らんでる♡♡』
薄い腹を撫でながら震える画面内の彼に、文字通り釘付けになった。美味しそうな身体には所々傷痕があって、それがまた興奮を駆り立てる。
彼は普段どんな生活を送っているのだろうか?ちゃんとご飯は食べられているのだろうか?様々な心配が頭を過るが、それよりも性欲の方が勝っていた。
『ふっ、♡♡あ゛っ、♡♡♡きっ、つ♡♡これ、吸盤がぷにぷにしてるから出すときやべぇな』
少し落ち着いたのか、彼がディルドのレビューを始めた。浅いところを抜き差しするのが良いのか、ゆるゆると腰を振りながら時折喘ぐ姿に、此方も息が上がる。
『はっ、あっ♡♡ん゛お゛っ♡♡』
「っ、ああ、」
イケナイコトだと知りながらも、すでに勃ち上がった陰茎に手を伸ばし、ゆっくりと扱いた。
画面の中の彼と同じように息を荒くしながら、彼を乱しているのが自分であると錯覚する。
『はぁっ、♡♡ほら、アンタもそろそろキツいだろ?イッちまえよ♡』
耳元で聞こえる彼の掠れた声に、彼も限界が近いのだと察した。じゅぷじゅぷとわざとらしく音を立ててディルドを奥まで咥え込むと、何度も出し入れを繰り返す。
『あん、♡♡ん゛、♡♡ぐあっ♡♡いくっ、でかいのくるっ♡♡ん~~~~っ!♡♡』
「っく、ぁ!」
彼はぷしゃっと陰茎から潮を吐き出すと、かくんと身体から力が抜ける。それと殆ど同時に手の中に射精をすると、テーブルの上のティッシュに手を伸ばした。
『あーーー、これやべぇわ、癖になる……んんっ♡♡ふーっ……まだ腹ン中ぞわぞわするわ』
んじゃ、またな。お決まりの文句を言うと、配信がオフラインになる。また彼で抜いてしまった。後悔が押し寄せてきて、精液を拭いたティッシュをゴミ箱に捨てる。
また、配信してくれるのだろうか。そう思いながら立ち上がり、ベッドへと向かう。見慣れた天井を眺めながら、明日からは部屋の荷造りをしないといけないなと考えつつ眠りに就いた。
それから約一週間、仕事の合間になんとか部屋を片付け、引っ越しに向け準備をする。まさか本社勤務になるとは思わなかったが、きっと喜ぶべき事なのだろう。
住むところは会社から少し遠くになってしまったが、住みやすそうでいいマンションを見付けた。
荷物を一通り送り終え、がらんとした部屋を眺めながら思う。この一週間、気がかりだった彼の配信はなく、きっと忙しいのだろうと勝手に思うことにした。配信で不特定多数に彼の痴態を見せるのは、一視聴者でしかない僕が言えたことではないのはわかっていても、腹立たしいものがある。
「ふふ、不毛だ」
そう呟きながら、住み慣れた部屋を後にする。今日は有給を貰っているから、出来る限り部屋を片付けたい。
ああ、周りの部屋の住人に挨拶をするのを忘れないようにしないと。道中の百貨店で菓子折りでも買っていこうと思い立ち、桜の舞う街路を歩きだした。
新しく住む部屋の周りの住人は、皆良い人そうだった。下の階と上の階、片方のお隣は挨拶が終わり、後はもう片方のお隣さんだけだ。
「そちらの方も良い隣人であればいいのですが……」
そう呟きながらインターホンを押す。足音がして、中から人が出てきた。
「おう、誰だよアンタ」
その姿に、思わず思考が止まる。
「あっ、」
見間違うはずない。特徴的な泣きぼくろに、毛先の黒い、長く伸ばされた白髪。何処か気だるそうなしゃべり方。
間違いなく、憧れのあの人だった。
「ん、何?セールス……じゃあ無さそうだな」
「あ、いや、僕は隣に越してきた者です!ご挨拶をと思いまして!」
「ふーん、そういや隣空き部屋になったんだったな。わざわざ挨拶ありがとな」
そう言ってにっと笑いながら菓子折りを浮けとる彼に、二度目の一目惚れをする。何と言って良いのかわからなくなって言葉に困っていると、彼は少し考えた後菓子折りを靴棚の上に置き手を引っ張ってきた。
そんなことされるなんて思わなかったが故に、そのまま部屋に引き込まれる。
部屋の扉が音を立てて閉まり、成人男性が二人入るには少し狭苦しい玄関の壁に詰め寄られる。
「アンタ、リスナーだろ」
「っ、!」
「なんでバレたんだって言う顔してんな。他人の顔見た瞬間あんな顔してたら流石にわかるぜ?それとも、アンタそんななりして誰彼構わず引っ掻けるタイプな訳?」
矢継ぎ早に言葉を投げられ、困惑していると彼はその場にしゃがみこみ、カチャカチャと僕のベルトを緩め始めた。
「なっ、何を」
「あ?口で抜いてやるから周りに黙っててくれよ。ここバ先に近いから揉めて越したくねぇの」
「そんな!僕、誰にも言わないです!」
「やっぱリスナーじゃねぇか。たく、運がねぇな」
ま、アンタ顔は良いから、特別な。そう言うと、彼は下着の中に手を滑り込ませた。
「うわっ、でけぇな。ウチにあるヤツよりでけぇんじゃねぇの?」
「こんなことっ、やめてください!」
「そのわりにゃ勃たせてんのな。面白いヤツ」
ちろっと赤い舌が見えたかと思えば、先端にちゅっとキスをされ、先端にしゃぶりつかれた。夢にまで見た景色に、頭が混乱してただされるがままになる。
「はぁっ、んっ」
「ちゅっ、ははっ、良さそうな顔」
なんとか声を出さないように手で口を塞ぎながらぎりぎりのところで耐える。熱い舌が裏筋をチロチロ刺激してびくりと身体が跳ねた。
「っ、うぅ」
「アンタ可愛い顔してんな」
限界まで咥え込み、入りきらない所は唾液を絡めて指で刺激され、すぐにでも追い込まれる。これは経験の少ない僕でもわかる。慣れていると。
「はぁっ、あっ」
じゅぽじゅぽとわざとらしく音を立てて啜られ、気持ち良くて思わず彼の両肩を掴む。駄目だ、このままじゃすぐにでもイッてしまう。
「はなして、ください!もっ、出てしまいますっ!」
「ふっ、いいぜ?出しちまえよっ♡」
そう色っぽく言うと、仕上げと言わんばかりに強く吸われ、彼の口内にびゅくびゅくと精を吐き出した。
「あぁっ、くっ……」
尿道に残った精液も啜られ、びくりと身体が跳ねる。夢にまで見た彼の口の中は、それはもう天国のようだった。
「んんっ、ごちそうさん」
ねばつく精液をなんとか飲み下すと、彼は悪戯に笑った。そこでようやくはっとする。
「……はっ、すみません!僕は何てことを……大丈夫ですか!?」
どうして良いかわからずただただ慌てていると、崩れた衣服を戻しながら彼が何時ものように笑った。
「ぎゃははっ、アンタ面白ぇな。で、名前は?」
「アルジェンティとお呼びください」
「アルジェンティ……キコクシジョ?ってヤツ?」
「貴方のことはなんと呼べばいいですか?」
さっきまでのいやらしい雰囲気など何処かにいってしまったかのような会話に、これは都合のいい夢では?何て思い頬をつねるが痛みはあった。……夢じゃない。
「オレか?ブートヒルとでも呼んでくれ」
それだけ言うと、扉がそのまま閉まっていく。彼が見えなくなる瞬間にぃっと微笑むと、口パクで「内緒な」と言われ、思わず見惚れてしまう。
「……ブートヒルさん、」
閉じきった扉に向かって呟く。とんでもない体験をしてしまったが、嫌悪感は全くと言って良いほど無かった。それどころか、頭の中は先程の彼でいっぱいで……。
「ああ、僕は恋をしてしまったようです」
日が落ちて薄暗い廊下で、ぽつりと呟いた。