スタレ
「ローションガーゼ?とはなんですか?」
「……は?」
急に言われた言葉の意味がわからなすぎて思わずアルジェンティの方を見る。なに言ってんだ、ローションガーゼ?あの、やべぇって噂の?その単語がアルジェンティの口から出たっての、なんか面白いな。
「ブートヒルさんはご存知ですか?」
「いやそりゃ、知ってはいるけどよ……」
「なら教えていただけませんか?」
「教えてって……そのまんまだろ」
「?」
わかっていってんのか?いや、わかってないから言ってんのか。そうだよな、知ってるわけねぇよな。
「オレはやられんのは御免だぜ?いや、そもそもねぇし」
「何がないんですか?」
「……アンタ、マジかよ」
……そんな話をしたのがついさっき。酒も回ってきていい気分になっている時にそんなことを言われたら、そりゃあ酔いも覚めるってモンだ。
「で、マジでやっていいのか?」
「なんでも天にも昇るようだとか。本当はブートヒルさんにやって差し上げたかったのですが……」
「だからねぇんだって」
ベッドの上で、目の前で下半身丸出しの純美の騎士に、笑っていいのかどうかわからなくなる。自分が今から何をされるかなんてまったくわかってない様子だったから、再三確認したのち人肌に温めたローションとガーゼを用意したが、本当にやっていいのだろうか。
「どうなっても文句言うなよ?」
「ええ、貴方に全て任せます」
本当に、肝が座っていると言うかなんというか。とんでもねぇヤツだな。
まぁ、本人がやれと言うのだからやるしかないか。
「じゃあ、始めんぞ」
温かいローションを染み込ませたガーゼを、期待からか既にゆるく勃っているバカみたいにデカい陰茎に当てる。ゆっくり、力加減に気を付けながら先端を磨くように動かせば、アイツから聞いたこともない声が漏れた。
「はっ、あぁっ!」
やべぇ、ちょっと楽しいかも。普段あれだけ喘がされてるんだからちょっとぐらいいいか、とすりすりとガーゼを動かせば、アイツは面白いくらい身体を跳ねさせた。
「うぁ゛っ、ぐっ!ん゛っ、」
まともに喋れねぇくらいイイんだ……。いつになく余裕がなさげに喘ぐアルジェンティを見て、やっぱ噂通りやべぇなローションガーゼ、となる。本当にイチモツが無くて良かった。あったら人間として終わってたとさえ思う。
「ブートヒルさ、ああっ!っ、う゛っ!」
「ははっ、すげぇ声。どうよ、気持ちいいか?」
こくんと素直に頷くアイツに、思わず口角が上がる。こんな風に主導権を握れるなんてそう滅多にないからな。存分に楽しもうじゃないか。
「可愛いヤツ。変なことに興味持つからこうなるんだぜ?」
力任せに肩を掴まれ、ぎぎっと嫌な音を立てる。ま、流石にいつもみたいな力は出てないから壊される事はないだろう。
一度ガーゼをローションに浸し直し、再度先端を擦れば、アルジェンティはあっという間にびゅくびゅくと精を吐き出した。
「あぁっ、!うっ、ふーっ、ふーっ……」
「そんなにやべぇんだ。でも、まだまだここからだろ?」
潮を吹かせるまでがローションガーゼだろ?にんまり微笑みながら日頃の恨みも込めて、ガーゼを陰茎に巻き付け全体を扱く。
「あ゛っ!ぁ、ブートヒルさん!」
「はは、顔真っ赤。可愛い」
「ひゃっ、う!ん゛あ゛っ、!」
アイツの声が頭の中に響く。それに興奮しているのをなんとか押し隠し、ひたすら手を動かす。
「なにか、あっ……、何か出そうです!手を、っ
、離してくださいっ」
なんとか言葉を紡ぎ出したアイツが、悲鳴混じりに言う。余裕なんて全くない、今まで見たことのない表情でだ。ははっ、可愛いじゃん。
ちゅっと音を立てて唇に吸い付けば、耐える間もなくぷしゃっと音を立てて潮を吹き出した。
「~~~~っ!」
「はいお疲れさん。これがローションガーゼ、わかったか?」
ガーゼをローションの入った桶の中に投げ捨て、とりあえず溢さないように床に置く。ぶっちゃけ、めちゃくちゃ楽しかった。珍しい物も見れたし、満足だ。
「ははっ、これに懲りたら変なことに興味持つんじゃねぇぞ?」
ローションを片付けようと立ち上がると、息もまだ整ってないアルジェンティに力任せに手を引かれてベッドに転がされる。
「は?」
一瞬何が起こったのかわからずポカンとしていると、そのまま唇を重ねられた。何度も何度も確かめるようなキスに、中途半端に高められた身体が熱を孕む。恐る恐る口を開ければ、溶けそうなくらい熱い舌が差し込まれ、口内を蹂躙した。
「んくっ、はぁっ」
拒否しようにも、体重を掛けて押さえ付けられていてどうにもならない。そも、オレだって恋人の乱れる様を見て興奮していないと言えば嘘になる。
そんな気持ちを見抜いているのかは知らないが、ズボンに手を滑り込まされてびくんと身体が跳ねた。
「……はぁっ、ふふ、濡れている。僕を苛めて興奮しましたか?」
「ぁっ、アンタが言い始めたんだろっ!」
耳元で囁かれ、かぁっと顔が熱くなる。うるせぇな、生理現象だっての。そう続けようとしたが、陰核を容赦なく押し潰されてそれは叶わなかった。
「あっ、んんっ!」
「貴方は陰茎がないから出来ないとおっしゃっていましたが、ここがあるじゃないですか」
そのままズボンを膝まで下ろされ、半ば無理やり脚を開かされる。いつの間にかアイツの手にはローション濡れのガーゼが握られていて……あ、これやべぇかも。
「アルジェンティ、悪かったって」
「何故謝るのです?」
「アンタ怒ってんだろっ、」
「そんなわけないじゃないですか。大丈夫、僕に任せてください」
アイツはふっといつものように微笑み、ガーゼを指に巻いてそっと陰核を撫でた。
「ひあ゛っ!」
「ふふ、可愛らしい声」
敏感なそこを繊維がぞりぞり削っていくようで、思わずデカい声が漏れる。気持ちいいとか言う次元じゃねぇ、完全にキャパオーバーの刺激に、目の前がチカチカ明滅する。
「あ、あっ!ま゛っ、それダメだっ、」
「貴方の駄目はもっと、でしょう?」
「ん゛ああっ!やだっ、イくっ!」
勃ち上がったそこを指で挟み込み、容赦なく扱かれあまりの刺激に背を反らして果てた。がくがくと身体が震え、アイツの背中に爪を立てる。
ヤバい、これ変なイキ方してる。
「あ゛あ゛っ!あるじぇんてぃ、とめて!」
「ふふ、止めません♡」
「このっ、キューティーがっ!ああっん、」
媚びきった声が止められない。ぞり、と擦られる度、自分が削られていくような感覚に涙をぼろぼろ溢しなす術もなくイキ散らす。
「ひゅっ、やばっ、あ゛あ゛っ……とけるっ!」
「ちゃんとありますよ。ほら、こんなに健気に主張して……」
見たこともないようなエラーを吐きながら、意識が飛びかける。でもその度新たな刺激に揺さぶり起こされ、快感に思考がどんどん溶けていく。まるでずっとイッてしまっているようだった。こんなの、気持ち良すぎて狂う。
「あああっ!いく、イッてるのに!あ゛~~~っ!」
それでもアイツは手を止めない。何かが出そうな感覚に思わず脚を閉じようとするが、まぁ当たり前だがびくともしなかった。
「うっ、あ゛っ!出ちまうっ、やあっ、ぐぅ~~~~っ!」
ぷしゃっと音を立てて潮が吹き出す。それは己では止めることは出来ず、ただただ真新しいシーツを汚していく。気持ち良すぎて頭がおかしくなりそうだった。
「ふふ、これでお揃いですね」
「はぁっ、はぁっ!」
息を整えるので精一杯になっていると、ようやくアイツが手を止めた。余韻にびくびくと身体を震わせながら、力無くベッドに身を沈めるが、今度は触られていないはずの腹の奥が疼き始める。
「あるじぇんてぃ、」
「どうしました?」
「はぁっ、腹の奥、ほしくてっ♡」
自分からそこを手で拡げ、腰を揺らす。アイツは一瞬躊躇ったが、すぐにごくりと生唾を飲み込んだ。
「ここっ、さみしいから♡アンタのがほしい♡」
「っ!」
もう、恥もなにもない。全てぐずぐずに溶けてしまっていた。たがが外れてしまったオレの身体を、アイツが強く抱き締める。
こんなはずじゃなかったのに、そう思いながらも、唇を重ねられそれを受け入れた。