ルクエド



「これでいいのかよ」

 布面積の少なさに、思わず不安になる。俺は今、ルークに手渡された女性用の下着を着させられていた。
 白地にフリフリの赤いレースがついたそれは、着ているのが男でなければ確かにかわいいと言えるだろう。下は後ろが紐のようになっていて、もはや何も隠せていない。
 どうしてこうなったのか。
 最初はファイトで負けたほうが勝ったやつの言う事を聞くって話だったはずだ。認めたくはないが、その後ボロ負けをして、気付けばこんなことになっていた。
 家に呼ばれた時点で警戒すべきだったんだ。
 腕で心許ない胸と股間を隠しながら、満面の笑みの恋人を睨む。
 
「いいじゃん。これ見かけた時絶対着せたいって思ったんだよなぁ」

「こんなの……変態じゃねぇか」

 うんうんと頷くあいつに吐き捨てるように言う。
 どうしても、股間の布の面積が足りなくて隙間から玉がこぼれ落ちそうになる。それが気になってしょうがない。
 ゆっくり近付いてくるあいつに、思わず後ずさりをする。だって、どう考えてもこのままヤる流れじゃないか。まだ昼間だぞ、なんて思いつつどう逃げるか考えるが、もうほとんど詰みの状態だった。

「まだ、昼間っ」

「そうだな。真っ昼間から恋人の家でえろい格好してるとか、もうそんなのベッド直行だろ」

 それはそうだ。それは俺でもわかる。でも、心の準備が出来てない。それにこんな格好で犯されでもしたらきっと可笑しくなる。なんとか逃れようとするが、そのままソファに追い詰められて覆いかぶさられた。
 首筋を伝う汗を舐め取られ、ぞわぞわと鳥肌が立つ。

「なぁ、抱いてもいいか?」
 
「っ、!」

 良い声でそう囁かれ、思わず身体が強張った。顔がかぁっと熱くなって、何も考えられなくなる。
 嫌ではない。求められて嬉しくない訳ないし、気持ちのいいことには興味はある。ただこの前の時のように、何もかもわからなくなってしまうのが怖いのだ。
 黙ったままでいると、あいつのバキバキに勃ち上がった陰茎をズボン越しに股にごりごり押し当てられ、もうとっくに逃げられないのを思い知った。

「優しく、してくれるなら」

「当たり前だろ?」

 ちゅっと音を立てて唇を吸われる。目を閉じ恐る恐る口を開くと、そのままぶ厚い舌が侵入してきた。逃げ腰の舌を絡め取られ、身体がビクつく。何度も何度も角度を変えて口内を貪られる。息が保てず苦しくて目に涙が浮かんだ。
 
「ん、ふぅっ……ぅ、んんっ!」

「ちゅっ、……はは、キス気持ち良いな」

 耳元でそう囁かれて背筋がぞくぞくする。怖いという気持ちと、もっと触れて欲しいと言う気持ちの間で揺れていた。
 すっ、とあいつの太い指が下着越しに胸の突起をかりかりと擦り、じんわりとした気持ちよさに蕩けそうになる。
 刺激に弱いそこがすぐ勃ち上がるのがわかって、思わず顔を手で隠した。

「っ、んぅ!はぁっ、……っ!」

「可愛い」

「かわいくなんかねぇっ!んぁっ、あうっ!」

 布越しに突起にぱくりと吸い付かれ、また違った感覚に身体が震える。溶けそうなくらい気持ちが良い。ぎゅっとあいつの服を掴み耐えようとするが、油断すると快感に流されてしまいそうで怖かった。

「んあっ、うぅ……、っ……ああっ!」

 勃ち上がった突起を指で摘まれてこりこり潰されると、もう駄目だった。
 逃げたくって身動ぎをするが、逃がしてもらえるわけもなく、そのまま指先で扱かれる。
 
「やっ、だ……っ、!そこばっか!うぅっ」

「でも好きだろ?」

「ぁっ、別にっ!すきじゃ、ねぇっ!」

「そうだったか?その割にはここ、ガチガチだぞ」

「ひっ、!」

 あいつが下着からこぼれそうになっている陰茎に触れる。耳元で「はは、ぐしょぐしょだ」と囁かれ、羞恥から顔がかっと熱くなった。

「う、るせっ!あぁっ、うぅ……、っ」

 そのまま下着をずらすと、陰茎をぐちぐちと水音を立てて扱かれ、目に涙が浮かぶ。人に触られたことなんてないそこは、少し触られただけで簡単に芯を持った。だって、好きな奴に触られてるだけでいっぱいいっぱいなのに、こんなの耐えられるわけがない。

「はぁ、えっろ……」

「ああっ、やぁっ……駄目……っ、ばかぁ、止まれっ!」

「余裕なさそうな声可愛くていいな。ほら、出しちまえよ」

「くぅっ!」

 足の指先をぎゅっと丸め、びゅくびゅくと吐き出した白濁が腹を汚しているのを眺めた。その間も陰茎を扱かれ、過ぎた快感に頭が溶ける。止まってほしくて手を伸ばすが、簡単に捕まって頭の上に縫い付けられてしまった。

「ほんとに抱いていいんだよな?」

「んやっ、まって……!」

「これ以上は待てねぇよ」

 耳元で掠れた声で囁かれ、ずくっと腹の奥が疼く。
 ああ、このまま食われるんだ。なんてぼんやり思った。
 あいつはポケットからローションを取り出すと、手のひらに広げ、指に絡める。下着がズレて、もはや剥き出しの後孔に這わせると、ひとつひとつ皺を伸ばすように撫でた。

「っ、」

 思わず息を飲む。ぞわぞわと鳥肌が立って、居心地が悪くて身動ぎをした。待てねぇと言う割に焦らすみたいな動きに、翻弄される。
 俺の口から"抱いてほしい"とでも言わせたいんだろう。そういうことなら絶対に言ってやらねぇ。

「指、挿入れるぞ」

「はぁっ、早くしろよ、」

 自分ばかりが余裕がないのが恥ずかしくて、なるべく余裕ぶってそう返した。
 あいつの太い指がゆっくり挿入ってきて、思わずきゅっと締め付ける。異物感に耐えていると、頬にキスを落とされた。

「大丈夫か?」

「別に、これくらい平気だっ」

 強がってそう言うとふっと微笑まれ、そのまま唇を奪われる。ちゅっと音を立てて何度も吸われ、かっと顔が熱くなった。口を薄く開ければ、啄むようなキスから舌と舌を絡める深いものへと変わっていく。

「ふぁっ、んん……ちゅ、んうっ」

 口の隙間から濡れた吐息が漏れる。夢中で舌を味わっていると、指がある場所を掠め身体が跳ねた。あの、前回見つけられてしまった気持ち良いところだ。

「ひっ、!」

「ここだな」

 あいつが至近距離で微笑む。嫌だ、と言う前に膨らんだそこを押し潰され、目の前がチカチカ明滅した。一瞬何が起こったのかわからないくらいの快感に、ただただ喘ぐしか出来ない。

「あ゛あ゛ぁ〜〜〜〜っ!♡まっ、つよいぃっ♡♡」

「すげぇ乱れるじゃん」

「や゛ぁ!♡♡そこばっかっ♡♡溶けるっ♡」

 じゅぷじゅぷかき混ぜられる度、そこに指が当たって背筋に電流が走る。気持ちがいい。気持ちが良すぎてこのままじゃ死んでしまう。
 指から逃れたくてじたじたと暴れるが、体重を掛けて押さえつけられてはどうしようもなかった。

「はぁ♡♡やだぁ!♡♡こわいっ♡♡」

「なにも怖くないから、大丈夫。落ち着けって」

 頬を涙が伝う。それさえ舐め取られて小さく震えた。優しくするって言ったのに、と思いながらただただ蹂躙される。
 
「っ、可愛いな。気持ちいいか?」

「あ゛ぁ♡♡」

 熱っぽい声で問いかけられ、必死で頷く。太い指がまだまだ狭いナカを拡げるように動いて、ああ、準備されていると思った瞬間、身体が喜んだ。
 緩んだそこに、2本目の指が挿入される。痛みはなく、ローションの滑りを借りてするすると挿入っていくそれに恐怖を覚えた。

「お゛っ♡♡まって゛♡♡あ゛ぁ〜〜〜〜っ!♡♡イッちゃう、♡♡♡イッちゃうからぁ♡♡♡」

 気持ちいいところを押し潰され、喘ぎながらうわ言のように繰り返す。こんなの知らない。おかしくなってしまう。後孔を強く締め付けながら、わけもわからず果てた。白濁がとろとろとこぼれていくのを見て、壊されてしまった。と涙が頬を伝う。

「うあっ♡♡るーくぅ……、♡♡るーく♡♡」

 ぼんやりした頭で、あいつの名前を呼ぶ。掴まれていた腕を離されたので背中に回しながら、甘えるように擦り寄れば、余裕のない声で「辛いか?」と聞かれた。

「っ♡♡ばぁか♡♡やめる気なんか、ねぇくせにっ!くそっ、早く抱けよぉ……♡♡」

 自分から脚を開いて腰を動かしあいつを誘う。これで誘えているかどうかはわからないが、驚いたように目を丸くしたのでまぁ効果はあったんだろう。

「あんま煽るなよ。抱き潰したくなるだろ」

 耳元でそう囁かれ、言うことを聞かない身体が震えた。心の底から抱き潰されたいと思ってしまった辺り、もう相当毒されている。
 ゆっくり指を引き抜かれ、寂しげに後孔がひくつくのがわかってかっと顔が熱くなった。
 じっとチャックを下ろす音が聞こえて、後孔に熱いものが押し付けられる。

「はぁ、エド……好きだ」

「あ゛っ、ん♡♡」

 それだけで思わず甘イキするくらいぐでぐでな俺のナカに、バカでかいあいつの陰茎が入り込んでくる。ゆっくり大きさに慣らすように動かされ、背中に爪を立てた。

「おれもすきっ♡♡るーくぅ……すきぃ♡♡」

「だから煽るなって!」

 時間を掛けて陰茎が最奥に到達すると、余裕のなくなったあいつが首筋に噛みついてきた。じゅっと強く吸われ、ぴりぴりと肌が痛む。馴染むのを待ってからゆっくり引き抜かれ、ああ始まる。なんてぼんやり思った。
 
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