ルクエド



「はー、食いすぎた」

「珍しいな。エドがあんなに食うの」

 秋の訪れを知らせるように、緩やかに頬を撫でる風に心地よさを感じながら、俺の家へ向かって歩く。
 何度目かもわからない、デートとも呼びきれない逢瀬。それを嬉しいと思い始めたのはいつからだろうか。あいつも嬉しく思っていたらいいな、なんて思いつつ、横を歩くエドの方を見る。たまたま目線があって、ふいっと逸らされた。

「飯、美味かったな」

「おう」

 夜でも明るい街を歩く。そこの角を曲がれば、家までもう少しだ。
 エドは今日、うちに泊まるんだろうか。それともそのまま解散するんだろうか。出来れば一緒にいたいな、なんて思う。でもまあ、結局は彼の気分次第なんだよな、と笑いつつ、家の鍵を取り出しながら問いかけた。

「んで、今日はどうする?」

「……泊まる」

 エドはちょっとの間の後そう答えると、人の気配がないからかそっとすり寄ってきた。可愛い奴だと口に出さないように心の中で思いながら頭を撫でる。こう言うところ、猫みたいだ。
 
「そっか、ちなみに明日のご予定は?」

「……特に何も無い」

 じゃなきゃ来てねぇよ、なんて続けて呟くもんだから、堪らなくなって思わずぎゅうっと抱き締める。自分から擦り寄って来たのに、抱き締めたくらいで顔を赤くするなよ。そう言うところが初心で可愛いんだよなぁなんて思いつつ、きりがないので腕を掴んで家路を急いだ。

「おいっ!」

 驚いたように声を上げるあいつをそのままに、ポケットから家の鍵を取り出し、扉を開ける。
 力任せに玄関の壁へ身体を押し付けると、何か言いたげなあいつの唇を塞いだ。
 走ったせいか、じっとり湿ったあいつの肌を撫でる。口を開けるよう舌で促せば、一瞬の躊躇いの後ゆっくり開かれた唇の隙間に舌を差し込んだ。咄嗟に逃げようとする舌を絡め取り、擦り付けるように刺激してやれば、強張った身体から力が抜けていく。

「ふっ、んんっ、ぅ、……んっ!」

 足の隙間に足を割り込ませ股を刺激してやれば、上擦った声が漏れる。それにすら逃さず、時を忘れて貪れば、唇を離す頃にはすっかり出来上がったあいつがいた。
 欲に濡れた瞳でこちらを見つめながら縋り付いてくる彼に、思わず理性が飛びかけるがぐっと我慢して抱きかかえる。

「はーっ、はーっ……てめぇ……」

「文句は後で聞いてやるから、な?」

 そのままベッドルームまで連れて行くと、ベッドの縁に座らせあいつの靴を脱がす。その時間さえ惜しいくらい興奮しているが、後で小言を貰いたくはないのでこれも我慢だ。
 俺もグローブを外し、靴を脱いで適当に放り投げる。そのままシーツの海にあいつを押し倒すと、さっきの続きと言わんばかりにキスを落とした。

「んうっ、……盛ってんじゃ、ねぇっ」

「エドは嫌か?」

「それっ、ズルいんだよばぁか……!」

 口ではそんなことを言うが、抵抗らしい抵抗を見せないエドに、思わず頬が緩くなる。ホントに可愛い奴。お前も興奮している癖に、なんて思いながら唇に吸い付く。
 良く鍛えられた腹筋を撫でれば、胃の辺りがいつもよりぽっこり膨れていた。結構食べてたもんな、と思いながら撫で回せば、あいつは上擦った声を上げる。

「んんっ、……なんだよ」

「いや、生きてるんだなって思って」

「はぁ?何言ってんだてめぇ」

 そんなやり取りをしながら、肌を撫でる手をゆっくり上げていく。胸の突起へ辿り着くと、既に甘く勃ち上がったそれをなぞる様に撫でる。

「っ、ぁ……んっ、」

「はは、可愛い」

「う、るせっ、んんっ」

 まだ撫でただけなのに顔を耳まで赤く染めながら喘ぐエドに、とにかく煽られる。焦りを悟られないように、耳に直接吹き込むように可愛いと何度も囁けば、両手で顔を押し退けられたのでその指にしゃぶりついた。
 驚いたように目を丸くしてこちらを見てくるので微笑みかけながら、見せ付けるように舐る。

「っ、!」

「指も感じるのかよ。全身性感帯か?」

「んっ、違ぇっ!ばか、舐めんな」

「嗚呼、こっちの方が良かったか」

「ひゃあっ!」

 そう呟きながら胸の突起に舌を這わせれば、あいつは身体を大袈裟に跳ねさせ可愛らしい声を上げた。思わず頬を緩ませながら、硬くなった突起を指でくりくりと捏ね回す。

「っ、んあ……っ、うっ、ぁ」

「ふふ、気持ちいいな」

「ちがっ、あぅ!」

 あいつは首を横に振りなんとか否定しようとするが、蕩けだした表情が全てを物語っていた。
 素直に感じ入ってくれるのも可愛くて良いが、頑なに認めたがらないのを少しずつ崩していくのも良い。そこは俺の技量次第か。なんて思いつつ、じゅっと音を立てて突起に吸い付く。

「あぁっ!っ、……はぁっ、んっ」

 最初の頃よりも明らかに大きく育ったそこを、指先でかりかりと引っ掻くように刺激してやる。その度にびくびくと身体を跳ねさせるのが可愛くて、いつもついやり過ぎてしまうので程々にしつつ、窮屈そうなスキニーを下ろした。

「否定する割にはここ、すごい事になってる」

「っ、言うなぁ……!」

 そのまま脱がしきると、ベッドの上に放り投げる。既に勃ち上がったそれは先走りを垂れ流し、ボクサーパンツに染みを作っていた。
 布の上から先端を撫でれば、くちくちと湿った音がする。ちゃんと感じてくれているのが嬉しくて、頬にキスを落とした。

「いっ、あぁっ!んっ、うあっ」

「このまま下着も脱ごうな」

 ゆっくり脱がせると、これも放り投げた。後で怒られるかもだが、もう考える余裕なんてこっちもあまり無い。心の中で謝りつつ、先走りを手に絡め陰茎を扱く。あいつは一際高く鳴くと、喉を晒すように反り返った。興奮で荒くなる息をなんとか落ち着かせながら、思わず舌舐めずりをする。

「あぁっ、やぁっ、ん、うっ!」

 晒された白い喉に噛み付き、追い詰めるように手を早めた。あいつはびくびくと身体を跳ねさせると、限界なのかしがみついてくる。

「まっ、あぁっ!イクっ、いっ!っん~~〜〜!」

 あいつは気持ちよさそうに目を細めると、びゅくびゅくと陰茎から白濁とした精を吐き出した。可愛い、そう囁きながら、サイドチェストへ手を伸ばす。中から使いかけのローションを取り出すと、手に垂らした。
 それを物欲しげな表情で眺めているあいつの唇にキスを落とし、口を開けるよう舌でノックする。薄く開かれた隙間に舌を挿し込み、そのまま舌を絡め取った。
 
「ふ、んっ、……んんっ、」

「はーっ、……っ」

 ちゅっと音を立てて口内を貪りながら、ローションを絡めた指を後孔に這わせる。ぴくりと身体を揺らし反応したあいつに思わず頬が緩む。
 声を聞こうと唇から離れると、足りなかったのかあいつの方からキスをされ、自分の中で何かが弾けた。差し出された舌にしゃぶりつき甘噛をする。
 ゆっくり後孔に指を埋めていくと、ナカが誘うようにきゅうきゅう蠢いた。縁を拡げるように動かしながら、口内を蹂躙する。

「んー!んんっ、ふぁっ」

 文句も唾液も嬌声さえも、全部全部俺のだ。誰にもくれてやるかと飲み込む勢いで貪っていると、息苦しくなったのか胸を叩かれた。

「っはーっ!はーっ!」

 酸欠で息の荒いあいつに睨まれるが、強請っだのはそっちの方だろ、と特に気にせず、指を増やし後孔を拡げるのに専念する。焦らすようにわざと前立腺を避けて動かせば、切ないのか腰を揺らして良いところに当てようとしたので、ふふっと微笑み、お望み通り前立腺を押し潰した。

「あ゛あ゛っ!ぅ〜〜〜〜っ!」

「あ、今出さずにイケた?」

「知ら、ねっ!」

 見ればあいつの陰茎からは、透明な先走りが溢れるばかりで精は吐き出せていなかった。しこりだった前立腺をこりこり刺激する。

「ん゛あ゛っ!まっ、イってる、イってるか、ら!」

 可哀想に、顔をいろんな液まみれにしながら泣き叫ぶあいつを片手で押さえつけ、指を容赦なく出し入れをした。

「〜〜〜〜っ!まっ、しぬっ!しんじまう!」

「はは、死なせねぇよ」

 溢れ出た生理的な涙を舐め取りながら指を引き抜くと、チャックを下ろし自身の陰茎を取り出す。先走りに濡れたそれを後孔に押し付けると、ちゅうちゅうとしゃぶりついた。エロい身体してるよ、本当に。

「挿入れんぞ……」

「っ♡」

 ゆっくりと先端が飲み込まれていく。奥へ奥へと誘うように蠢くナカに、持っていかれそうになるのをなんとか耐えながら、カリ首で前立腺を押し潰せば、一際高く鳴いた後、ぶしゅっと音を立てて潮を吹き出した。

「〜〜〜っ!♡ん、はぁっ♡あ゛っ、♡♡」

「はーっ……エロっ」

 興奮し過ぎて鼻血でも出そうだった。きゅうきゅう締め付けてくるナカを押しのけて、奥まで辿り着くとあいつがうぷっ、と嘔吐いた。

「っ、はぁっ、やべぇっ、かも」

「大丈夫か?」

「てめぇのがでけぇから、っ腹圧迫されてんだよ!」

「でも今日沢山食べたのはエドだろ?」

 ぜえぜえと肩で息をしているあいつを気遣いながら、それでも陰茎を抜けずにいると「慣れるまで待って」と言われた。
 そんなの苦行だろ、なんて思いながらも、エドには苦しい思いはして欲しくない。その一心でなんとか耐える

「一番奥まで挿入しなければ大丈夫、かも……」

「オーケー、奥に欲しがんなよ?」

「誰が欲しがるかよ、ばぁか」

 落ち着いたのか、言葉の増えるエドに頬を緩ませながら、ゆっくり引き抜く。なるべく加減してやらねえと、俺の我慢の見せ所か?なんて思いながらゆるゆると腰を振れば、すぐ余裕の無くなったあいつがしがみついてきた。

「はぁ、あっ♡♡ん゛、ぅ♡」

「フーッ、……締め付け凄いな」

「しら、ねぇっ♡♡あ゛、いいとこつぶれちゃ♡♡」

「ここだろ?」

 先程と同じようにカリ首で前立腺をごりごりと押し潰すと、舌を出して善がる様に更に興奮する。奥まで乱暴に突っ込んで揺さぶりたい欲をぐっと我慢して、あいつの陰茎を扱くとぴゅくっと精が溢れ出た。前立腺を突く度、壊れたように吹き出すもんだから思わず広角が上がる。

「あ゛ぁ〜〜っ!♡♡そっちもは、♡♡だ、めっ♡♡あっ、んあっ♡♡」

「気持ちいいか?」

「う、んっ♡♡気持ちいい♡♡」

 うんって……素直すぎて可愛いな。こうなりゃ、後はもう乱れるだけだ。心の中でガッツポーズをしながら、きゅうきゅうと陰茎を締め付け離さない後孔を苛める。
 
「ん゛あ゛っ、ぅ、♡♡またいく♡♡いっちゃ、あ゛〜〜〜っ!♡♡」

「おら、イけよ!」

「ん゛〜〜〜〜っ!!♡♡」

 前立腺を強く抉るように刺激した瞬間、あいつはがくがくと全身を震わせながら達したようだった。精を搾り取るようにナカが蠢き、危うく出かける。
 まだ、あいつの身体を堪能していたい。

「エド、大丈夫か?」

「っ、はぁ♡♡もっと♡♡ちょうだい♡♡」

 掠れた声でそう言われ、危うく理性が飛ぶところだったのをなんとか耐える。俺、偉いな。なんて自画自賛をしつつ、ゆるゆると腰を揺らした。

「はーっ、エドっ、もうちょい奥まで挿入れてもいいか?」

 意識を飛ばしかけているあいつに、熱の籠った声音で囁く。てっきり断られると思ったが、うわ言のように「奥、寂しい」なんて言われたもんだから、つい奥に先走りをマーキングするように押し付ける。

「ぐっ、ぅ♡♡きっつい、」

「我慢出来るか?」

「ん、出来る、するから♡♡奥にっ、♡あぁっ!おくにたねつけして♡♡」

 はー、それは反則だろ、と思う。加減をしてやろうとしていた俺は今の言葉で何処かに行ってしまった。あいつの腰を両手で掴むと、ギリギリまで引き抜き奥に強く叩きつける。

「〜〜〜〜っ!!♡♡♡」

 それだけでイったのか、あいつは陰茎から潮を吹き出しながら反り返った。いつの間にか背中に回された手が、がりがりと爪を立てる。じわじわとした痛みと、多幸感に包まれながら何度も奥に腰を打ち付けていると、結腸が開いて来たのか先端をちゅうちゅう吸われた。

「あ゛、♡♡ん゛お゛っ♡♡」

「フーッ、お前、奥欲しがってんじゃねえか。吸い付いてくるぞ」

「っ、♡♡ほしいっおく、はいってきて♡♡」

 もうきっと理由もわからなくなっているであろうあいつが、至近距離で訴えてくる。そう言われちゃ、耐えられねぇよ。勢いを付けて腰を動かすと、さっきまでちゅうちゅうと吸い付いていた結腸にぐぽっと嫌な音を立てて先端が食い込んだ。

「お゛〜〜〜〜っ!♡♡♡」

「ぐっ、きっつ」
 
 何度も結腸を苛めるように腰を打ち付ける。結腸に先端が入り込む度にイっているのか、悲鳴に近い声を上げながらあいつがよがり狂っていた。
 晒された喉にもう一度噛み付くと、ラストスパートと言わんばかりに最奥に叩きつけると、きゅうきゅう締め付けてくる結腸にびゅくびゅくと精を吐き出した。
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