アークナイツ

※ヘミペニスネタ


 珍しく部屋から出てきた彼を、周りに人がいないタイミングで呼び止める。理由は簡単、自分の単純な興味だ。
「ウァン、この後空いているかい?」
「ドクターか。空いているが……何か入り用か?」
「うん、貴方にしか頼れない事」
 そうやって言うと、彼はほんの少し嬉しそうにすると、すぐに表情を戻し咳払いをする。最近、彼は少しずつではあるが感情を表情に出すようになってきた。それが信頼されているようで嬉しい。
「じゃあさ、このまま部屋に行ってもいい?」
「構わない」
「良かった。じゃあ着いていくよ」
 彼はこれからされることを知らない。もし、嫌がられたら止めたらいい。そう言い聞かせながら彼の後を追う。
 そうして部屋に着くと、彼の腕に抱かれていた雲獣はその腕から飛び降りて、定位置であるソファに飛び乗ると丸まり眠り始めた。
「で、頼れない事とは?」
「あのさ、陰茎を見せて欲しいんだ」
 言い淀む事無く、直球に物を言う。流石に予想外だったのだろう。彼は信じられないという顔で小さく「……は?」と言った。
 そりゃあそうだ。端から見たら意味がわからないとしか言いようがない。でも、興味があるのだから仕方がなかった。
「駄目?」
「……いや、駄目ではないが。なんでまた……」
 駄目じゃないんだ。呆れたように眉間に皺を寄せながら彼は此方を向く。近付いて、至近距離で囁いてやった。
「うーん、興味があるから、かな?」
「それが他の者には頼れない事か?」
「だって、そうでしょう?」
 そも、かなりの好感度がなければこんな事言いなんかしない。流石にそのくらいの分別はつく。こちらが折れない事を悟ったのか、彼は溜め息をひとつ吐くと上着を脱いでベルトを寛げるとベッドの縁へ腰掛けた。
「良いだろう」
「勿論悪いようにはしないからさ」
「……」
 返事は無い。拒絶されないのを良いことに近付いて、そのまま前を寛げると下着を下ろした。
「やっぱり」
 そこに人間のようなそれはない。変わりに深い溝が走っているのみである。
 例えるなら蛇……いや、縦であるからスリット構造に近いのだろうか。エーギルにあるらしいというのは聞いたことがある。俄然興味が湧く。
「触ってみても?」
「……構わん」
 お許しが出たのでその割れ目をなぞる。すると、ふるりと彼の身体が震えた。敏感な場所を触っているのだから当たり前なのだけれど、弱点をさらけ出してくれていることが嬉しい。
「総排泄腔みたいな形なのかな。嗚呼、でも後門は人間のそれだね」
「ドクター」
 矢継ぎ早に思った事を口にする。ふにふにと柔らかいそこを刺激すれば、上の方が盛り上がってきた。ピンと来て、更にそこを押し込むように刺激してやる。彼は血色の悪い顔を朱に染めて、何かを耐えているようですらあった。
「ウァン、我慢しないで」
「っ」
 彼が息を飲んで、ぶるりと震える。すると、めきめきと彼の陰茎が姿を現した。
 人間の様な形をしているけれど、尿道はない。スリット内に埋没しているのだろうか。何より、トゲの様なものが生えている。触ってみればぷにぷにと思ったより柔らかい。尿道は無いけれど溝が走っており、やはり構造は蛇寄りであることがわかる。一番特徴的なのは、それが2本あるということだろう。
「わお、やっぱりヘミペニスなんだ」
「……恐らく一般的なそれとは違う構造だろうな」
「うん、初めて見た」
 資料で見たことはある。フィディアの一部はこのような構造が特徴として出る場合があると言うが、代理人もそうなのか。彼だけがそうなのか、はたまた他の代理人達もそうなのかは分からない。聞いてみようとも思ったけど、流石に怒られそうだからやめた。
「見せてくれてありがとう」
「……何事にも興味があるのは良いことだが、もう少し考えて行動をしろ。次はない」
 そう言って陰茎をしまおうとする彼を止めて、ウインクする。理解出来ないと言わんばかりの彼をそのままに、脈打つ剛直に触れた。
「これはそのお礼」
「なっ!」
 そうして、グロテスクなそれに舌を這わせる。彼は驚いたように目を見開いた後、舌打ちをした。他人のそれを舐めたことは無いけれど、気持ちいいところは人と大差ないだろうと言う仮定のもと、それを咥え込む。
 口に入らない方は手で刺激してやれば、彼はぐるぐると喉を鳴らした。どうやら気持ちいいらしい。一安心して、精液を運ぶ役割をする溝をなぞるように舌を動かしてみる。
「っ、ぐっ……」
 彼が快感に呻く度、嬉しくなって稚拙ながらも奉仕を繰り返す。嫌がらないからと、調子に乗って奥まで咥え込めばトゲが喉を刺激した。反射的に吐きそうになりながらも、嗚咽さえ飲み込んでしまう。
「はぁ、きもちい?」
「そこで喋るなっ」
 余裕の無い彼の声が鼓膜を揺さぶる。それに酷く興奮した。先程より更に大きくなった気がするこれを腹に納められたら、どれだけ気持ちがいいんだろう。興味はあるけれど、これはあくまでも処理だ。彼の為なのだからと見ないフリを決め込んで奉仕を続けた。
「ドクターっ」
 彼の手が、控え目に私の頭を掴む。限界が近いのだろうか。こんな稚拙なものでも感じてくれたのなら嬉しいと、スリットを優しく撫でればその時は来た。
「っ!」
 溝を伝ってとぷりと粘度のある液体が雪崩れ込んでくる。苦くてしょっぱい、なんとも言えない味が口内に広がって、飲みきれずに口の端からこぼれ落ちていく。溺れそうなくらい量が多い。
 ずるりと引き抜けば、そのまま顔に掛かってしまった。
「んぐっ」
「っ、ドクター、すまない」
「だい、じょぶ」
 タオルを差し出されたのでありがたく受け取って、それで顔を拭く。腹の中が熱い。炎が燻っているかのように。
「……、蛇の精子って長生きらしいよ。まあ胃酸で死んでしまうだろうけども。もしかしたら貴方のはとっても長生きかもね」
「ドクター」
「ん?なあに?」
「お前のも見せろ」
「……へ?」
 細い身体で何処からそんな力が出るのか、ベッドに引き倒されると、彼が覆い被さってくる。一瞬理解が出来なくて彼の顔を見ていると、そのままスラックスを下ろされた。不味い、これはかなり不味い。
「ちょ、ウァン」
「不公平だろう?」
「そんなこと言われたって!」
 抵抗も虚しくそのまま下着も下ろされて、緩く勃ち上がった陰茎が外気に晒される。ただ舐めただけなのにこうなっているのがバレたくなかったので一気に顔が熱くなった。
「勃っているな」
「そりゃ……ね?」
 ふっと彼の陰陽の目が細められる。嗚呼、三日月みたいだ。その美しさに見惚れていると、彼の顔が陰茎に近付けられた。一瞬で理解する。同じことをしようとしているのだ。
「待って、待って」
「待たん。先程の礼だ」
 言ったことをそのまま返されて。そうして先端が粘膜に包まれる。あ、これ思ったより駄目だ。思った以上に、気持ちがいい。
「うあっ」
 舌がざりざりと柔い肌を削っていって、もたらされる快感に思わず声が漏れる。彼の口内は温かくて、気を抜くとすぐにでも果ててしまいそうだった。でも、そう言う訳にはいかない。腹に力を入れて何とか耐えると、口を開く。
「そんなこと、しなくていいからっ」
「……お前はしたのにか?」
「だって、後処理みたいなものでしょう?」
 私が言ったことが気にくわなかったのか何処か不服そうな彼は、そのまま陰茎への愛撫を再開した。当たり前だけれど上手くなくって、辿々しい動きでだ。でも、先程の口淫で興奮しているのと、彼がそうしていると言う事実が私を揺さぶる。
「っ、んんっ!まって、でちゃうから」
 それでも彼の動きが止まることはなく、唾液に濡れた指が後孔をなぞる。なんでそんなとこ、と思うと同時に、期待に腹が疼く。
「やっ、ウァン、止まって」
 そこを使うとなるとそれはもうセックスだ。処理じゃない。そんなこと許されない。だって、そう言うのは好き同士でするものだ。私は彼の事を好いているけれど、彼は違うだろうから。だから止まって欲しい。そう言いたいけれど、口を開くと声が出てしまいそうで。必死に唇を噛んで耐える。
 唾液の滑りを借りて、彼の指が中に挿入される。
「……すんなり挿入るな」
「っ」
 そりゃそうだ。私の誰にも言えない秘密の一つがそれだから。ストレスが溜まりに溜まった時、興味本意で弄ってしまって以来、頻度は高くないが癖になっているのだ。
「相手がいるのか?」
「……いるわけないだろう」
 じゃあなんでなんて聞かないでくれ。こんな風になるなんて思わなかったんだ。ただ抜いてやって、解散ってなればいいと思っていた。彼は「ならいい」なんて呟いて、そこを拡げる作業に戻ってしまう。
「まっ、待ってって!」
「今度はなんだ?」
「こう言うのは好きな人にするべきだよ」
 瞬間、彼の眉間に皺が寄る。お前はしたのに、と言わんばかりに。
「私の事は気にしなくていいからっ、だからっ……」
「お前は好きでもない男のそれを舐めるのか?」
「っ、なめない、です……」
 もう、それが答えのようなものだった。しどろもどろに言えば、彼が満足げに目を細める。居たたまれなくなって顔を寝具に埋めれば、彼の匂いがふわりと香った。
 すっかり使えなくなった頭ではどうすれば誤魔化せるかなんて分からなくて、彼の指が膨らんだ前立腺を掠める度、目の前に火花が散る。
 いつの間にか背後に寄り添っていた彼に項を噛まれて、我慢の限界が来た。びくりと身体を跳ねさせて、彼の手の中にびゅくびゅくと精を吐き出す。
「~~~~っ!」
 頭の中が真っ白で、必死に息を吸う。目の前が涙で滲む。やってしまった。彼の手で果ててしまった。余韻に浸っていると、後孔に突き刺された指が増やされた。
 この人、本当に最後までする気だ。
「うぁん」
「ドクター」
 耳元で呼ばれて、ぞわりと鳥肌が立つ。何とか体勢を変えて振り返れば、そのまま唇にキスを落とされた。
「嫌か?」
 嫌な訳ない。そも嫌だったら暴れているし、いざって時の防犯ブザー(盟友に持たされた奴)を押している。嫌じゃないから困っているのに、この人は。
「ドクター」
 答えを促すように彼が私を呼ぶ。その声は、何時もよりも格段に甘い。
「いや、じゃない」
 これが精一杯だった。情けないけど、これ以上は無理だ。恥ずかし過ぎる。後ろで彼がくつくつ笑う。そうして指が引き抜かれて、これでもかと言うくらい勃起した剛直が押し付けられた。
「私はお前の事を好ましく思うぞ」
「っ、ずるいっ」
 そんなこと囁かれたら、全てを許してしまいたくなる。こっちはそれどころではないと言うのに。欲望のまま、少しだけ腰を持ち上げる。挿入しやすいように足も開けば、また彼が笑った。
 そうして彼のモノがゆっくりと挿入ってくる。肉を掻き分けて、ゆっくりと。ぷにぷにのトゲが中を刺激して、気持ち良すぎてすぐにでも飛んでしまいそうだった。
「あ゛、うぅっ!」
 自分でするのとは全然違う。何より、結ばれているからか多幸感が酷い。くらくら目眩がする。必死に息を吸って、吐いてを繰り返す。ただ苦しいだけなら良かったのに。それだったら耐えられるのに、どうしようもないくらい優しくて。
 彼が喉をぐるぐる鳴らす。どうやら、ちゃんと興奮してくれているらしい。ゆっくり動かれて、また目の前に火花が散った。
「んっ、うぁん」
 舌足らずに彼を呼ぶ。そうしたらまたキスを落とされた。そうして隙間から舌が差し込まれる。あ、これ、知ってる。好きな人としかしちゃいけないキスだ。
 少し苦味の残る口内に、彼の唾液が混ざる。どうしようもなく興奮してしょうがない。
 そうして、彼が呻いた。どうやら射精したらしい。腹の中に、溝を伝って精が吐き出される。あれ、そう言えば蛇の交尾って1日続くんだけど、彼はどうなんだろう。蛇では無いしななんて思っていると、限界まで引き抜かれて、最奥に叩きつけるように穿たれて自分の感が正しいのを思い知った。
 嗚呼、これ長くなる奴だ。
 気付けば足に彼の太い尻尾が巻き付いていた。蛇同士の場合、絡んでいる様を「指切り」と言うのを思い出して、嗚呼、約束しているのか、なんてぼんやり思ったのだった。

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