アークナイツ
※現パロオメガバース
ゆっくりと焦らすかのように、奴の手が身体を撫でる。思わず身構えてしまえば、くすくすと笑われた。
実の兄であるこの男は、あろうことか弟である私に手を出している。
倫理観も何も無い、他人に言える訳の無い関係。拒めば良いのにそれが出来ないのは惚れた弱みで。ただでさえ生きにくいΩの性を抱えた己は奴に依存しきっていた。
「望」
奴が私の名を呼ぶ。熱っぽく色気のある掠れた声で。その声だけで、散々慣らされた身体がかっと熱を持つ。本当に、どうしようもない。
「重岳」
「望、名前」
「……朔」
奴は訳あって名前を一度変えているが、特に情事の際は昔の名で呼ぶ事を好んだ。特別感があって良いらしいが、あまり理解は出来ない。
「帰ってきたかと思えばなんだ?盛るな」
「私の服を寄せ集めて巣を作っておいて……」
「習性だ、こんなもの」
別に好きで集めた訳ではない。断じて。番の物を集めるのはあくまで習性であって、そこに深い理由等無いのだ。
……問題は番っている訳ではないのにその習性が出ている事なのだけれど、今は置いておいて。
「洗濯物の中身まで漁っておいて?」
「……煩い」
「そんなに私の事が好きか?」
「煩い」
分かっている癖に。そも好んでなければ身体を触ることすら許していない。それなのにこいつは、私の口から態々聞きたがるのだ。
だからこそ、絶対口を割る気はない。言ったが最後調子に乗らせるのが目に見えている。黙っていれば、奴がわざとらしく溜め息を吐いた。そうして、私の上に覆い被さってくる。重たい。筋肉達磨が……自覚をしろ。
「ヒート、辛くはないか?」
「別に」
「そうか」
一度酷い目にあったので抑制剤は忘れず服用している。ただあまり強い物を使うと奴が怒るので、最低限の物に限るが。
そうするとどうなると思う?家に居ない内は耐えられるが、こうして触れ合うと途端に思考が鈍り出すのだ。
殆ど無意識に首筋に顔を埋めると、肺一杯に香りを吸い込む。実に好ましい、甘い香りがした。くらりと目眩がして、ぞわぞわと鳥肌が立つ。
「朔」
「ん?」
「……耐えられん。触れ」
そうやって許すと、奴はふわりと微笑んだ。でも、その目が笑っていない。煽られて、ギラついている。
「仰せのままに」
ごくりと生唾を飲み込んで、そのかさついた唇にキスをする。すると、そのまま隙間から舌が入り込んできて歯列をなぞった。顎を指の腹で擦られて、びくっと身体が跳ねる。
じゅるじゅると唾液を吸われて、先を知っている身体が快楽を欲しがって腰を揺らす。浅ましい。自分が嫌になる。
「んんっ」
鼻から上擦った声が抜ける。まるで食われてでもいるような口付けに、身体が熱くなった。もっと暴かれたい。何もかも忘れて、ただ快楽に沈んでしまいたい。そうは思うがプライドが許す訳もなく。居心地が悪くて身動ぎをする。
奴の手が徐に胸を撫でた。瞬間、びりっと電流でも流れたかの様な刺激が走る。胸の突起に触れられたのだと気付いたのは少し間を置いてからで。そんな所、感じる筈無いのに。全部全部ヒートのせいだ。そうに決まっている。
「可愛いな」
「そんな訳、ないだろう」
何処に目が付いているのか。こんな肉もない、固い身体の男が可愛いなんて、頭が沸いているとしか思えない。
「可愛いよ」
反論しようとして口を開けば、また噛み付くようにキスを落とされる。舌を絡め取られて、甘く食まれれば興奮と酸欠で思考に靄が掛かった。
とろりと溶けていく。今のこの一瞬だけ甘えてしまっても良いのではないかと己が囁く。それを聞いてしまえたら良かったのに。しかし折れる訳にもいかず呆けていると、奴はふっと微笑んだ。
そうして、そのまま首筋に吸い付くと赤い花弁を散らしていく。項を噛めない分、しつこいくらいに。すぐ消えてしまうけれど、まるで自分の物だと誇示するかの様なその跡を、私は嫌いになれないでいる。
「朔……しつこい」
「ふふ、そうだな」
奴はそう言って笑うと、スウェットを捲り上げた。冷房で良く冷やされた外気に晒されて、思わずぶるりと身震いする。すでに芯を持った胸の突起を指の腹で嬲られて、腹の奥がじゅんと疼いた。
「っ、はぁ」
鈍い快感に、熱が身体の中で燻っている。早く楽になりたくて、浅ましくも足の間に割り込まれた奴の膝に股座を擦り付ける。じわりと快感が生まれては消えていく。足りない。もっとと身体が奴を求めてやまない。
「ぁ、うっ……ふぅ、う……っ!」
そんなこと気付いているだろうに、奴は素知らぬ顔で胸への愛撫を続ける。確かに触れとは言ったが、早くトドメを刺して欲しいのであって、決してこのような生殺しの責めをしろと言ったのではない。しかしそんな事言えるわけもなく、ぬるま湯の様な快感を揺蕩う。
「っ、うぁ……朔」
奴の舌が突起を捉えた。ざりざりした物が突起を削り取る様に動く。切ない刺激に身動ぎをして逃れようとするが、離しては貰えなかった。
何やら、今日はやけにしつこい。まるで何かを狙っているかのようでさえある。
そうして小一時間、ねちねちと突起を苛められ続け、息も絶え絶えにさせられた頃。赤く色付いた突起を徐に押し潰されてその時は来た。
塞き止められていた水が溢れるように、快感の濁流に呑まれていく。目の前がチカチカ明滅して、慣れ親しんだ絶頂の二文字が頭に浮かぶ。
「くっ、ぅ……はぁっ、あ゛ぁっ!」
背を反らして、喉を晒す。そんな、まだ胸しか触られていないのに。それなのに、果ててしまった。羞恥心からかあっと顔が熱くなって、思わず身動ぎをする。精で濡れた下着が張り付いて、気持ちが悪い。
「望……随分と良さそうだな」
「っ、誰がっ」
奴が耳元で熱っぽく囁く。初めからそのつもりだったのだろう。思惑通り呆気なく果ててしまった己が不甲斐ない。睨み返すが、奴は気にせず微笑むと、スウェットに手を掛ける。下着ごと剥かれて、少し萎えた陰茎が明かりの元に晒された。至近距離で、奴が見ている。気にしまいとするが、そんなの続く訳もなく、こんもりとまとまっている巣の残骸からタオルを引き抜くと顔を隠した。良く考えず行動した結果だが、これは悪手だった。瞬間、奴の残り香が鼻腔を刺激し頭を揺さぶる。
「あっ、あぁ……」
散々焦らされた身体がかっと熱くなる。口の中に唾液が溢れて、口の端から漏れ出した。今、期待してしまった。
「望?」
一気に思考能力が下がるのが分かった。もう、あれこれ考えていられない。この男が欲しい。剛直に穿たれて、揺さぶられてしまいたい。
どろりと溶け出した我欲。衝動のまま、奴の唇に吸い付く。
「兄さ……ん」
たすけてくれなんて、とてもじゃないが声に出せなくて口だけ動かしたが、どうやらきちんと伝わった様だった。
瞬間、辺りに甘い香りが漂い始める。どうせヒートに当てられたのだろう。そうしてどろどろに溶けた後孔に指が挿入された。理性を手放し掛けている状態だと言うのに、それでも慣らすことを辞めない律儀な男を腹の中で笑う。
いっそのこと乱暴にしてくれたら、全てをバース性が悪いと言えたのに。そうしてくれないのを分かっているから、私達は何時まで経ってもお互いを慰め合う事しか出来ないのだ。
「あ、ぐっ!ぅ……」
腹の中で指が好き勝手に這い回る。絶頂に追い込むと言うよりも、拡げる事に重点を置いた動きにまた焦れて、己が手に握られているタオルを嗅ぐ。
「……直接嗅いではくれないのか?」
「ごめん被る」
舌足らずにそう言い返せば、奴は少し困ったように笑ったのだった。
「兄貴達ってまだくっ付いてねぇの?」
「しょうがないよ、意地っ張りだもん」
ニェンちゃんが口を尖らせながら言う。それを聞いたユーちゃんが、料理を運びながら言い返した。話題は勿論、あの兄二人の事だ。
「そうね、もうそろそろ認めたら良いのに」
読んでいた端末から目を反らして言えば、末の弟は箸を渡しながら溜め息混じりにぼやいた。
「あれって、ウァン兄ちゃんが私達のことを気にしてるからでしょう?」
「皆もうとっくに気付いているのにね」
わいわいがやがや、みんなで机を囲いながら居ない二人の事を好きに言い合う。
そう、あの二人は様々な事、主に私達の事を気にしすぎているのだ。
「そもそもが、バレていないと思う方が無理があると思うのだけれど」
「でも、私達が何か言っても兄ちゃん達は聞かないでしょ。それこそ時間の無駄だよリィン姉ちゃん。後飲み過ぎだからねそれ」
末の弟はそう言うと、再び溜め息を吐いた。弟なりに、兄達の事を案じているらしい。
「私達を理由に逃げるのは違うよね」
「分かっちゃいるけどなー」
こうなったら、総出で詰める他無いのかも知れない。そう思いながら、ここにいない二人の兄を思うのだった。
ゆっくりと焦らすかのように、奴の手が身体を撫でる。思わず身構えてしまえば、くすくすと笑われた。
実の兄であるこの男は、あろうことか弟である私に手を出している。
倫理観も何も無い、他人に言える訳の無い関係。拒めば良いのにそれが出来ないのは惚れた弱みで。ただでさえ生きにくいΩの性を抱えた己は奴に依存しきっていた。
「望」
奴が私の名を呼ぶ。熱っぽく色気のある掠れた声で。その声だけで、散々慣らされた身体がかっと熱を持つ。本当に、どうしようもない。
「重岳」
「望、名前」
「……朔」
奴は訳あって名前を一度変えているが、特に情事の際は昔の名で呼ぶ事を好んだ。特別感があって良いらしいが、あまり理解は出来ない。
「帰ってきたかと思えばなんだ?盛るな」
「私の服を寄せ集めて巣を作っておいて……」
「習性だ、こんなもの」
別に好きで集めた訳ではない。断じて。番の物を集めるのはあくまで習性であって、そこに深い理由等無いのだ。
……問題は番っている訳ではないのにその習性が出ている事なのだけれど、今は置いておいて。
「洗濯物の中身まで漁っておいて?」
「……煩い」
「そんなに私の事が好きか?」
「煩い」
分かっている癖に。そも好んでなければ身体を触ることすら許していない。それなのにこいつは、私の口から態々聞きたがるのだ。
だからこそ、絶対口を割る気はない。言ったが最後調子に乗らせるのが目に見えている。黙っていれば、奴がわざとらしく溜め息を吐いた。そうして、私の上に覆い被さってくる。重たい。筋肉達磨が……自覚をしろ。
「ヒート、辛くはないか?」
「別に」
「そうか」
一度酷い目にあったので抑制剤は忘れず服用している。ただあまり強い物を使うと奴が怒るので、最低限の物に限るが。
そうするとどうなると思う?家に居ない内は耐えられるが、こうして触れ合うと途端に思考が鈍り出すのだ。
殆ど無意識に首筋に顔を埋めると、肺一杯に香りを吸い込む。実に好ましい、甘い香りがした。くらりと目眩がして、ぞわぞわと鳥肌が立つ。
「朔」
「ん?」
「……耐えられん。触れ」
そうやって許すと、奴はふわりと微笑んだ。でも、その目が笑っていない。煽られて、ギラついている。
「仰せのままに」
ごくりと生唾を飲み込んで、そのかさついた唇にキスをする。すると、そのまま隙間から舌が入り込んできて歯列をなぞった。顎を指の腹で擦られて、びくっと身体が跳ねる。
じゅるじゅると唾液を吸われて、先を知っている身体が快楽を欲しがって腰を揺らす。浅ましい。自分が嫌になる。
「んんっ」
鼻から上擦った声が抜ける。まるで食われてでもいるような口付けに、身体が熱くなった。もっと暴かれたい。何もかも忘れて、ただ快楽に沈んでしまいたい。そうは思うがプライドが許す訳もなく。居心地が悪くて身動ぎをする。
奴の手が徐に胸を撫でた。瞬間、びりっと電流でも流れたかの様な刺激が走る。胸の突起に触れられたのだと気付いたのは少し間を置いてからで。そんな所、感じる筈無いのに。全部全部ヒートのせいだ。そうに決まっている。
「可愛いな」
「そんな訳、ないだろう」
何処に目が付いているのか。こんな肉もない、固い身体の男が可愛いなんて、頭が沸いているとしか思えない。
「可愛いよ」
反論しようとして口を開けば、また噛み付くようにキスを落とされる。舌を絡め取られて、甘く食まれれば興奮と酸欠で思考に靄が掛かった。
とろりと溶けていく。今のこの一瞬だけ甘えてしまっても良いのではないかと己が囁く。それを聞いてしまえたら良かったのに。しかし折れる訳にもいかず呆けていると、奴はふっと微笑んだ。
そうして、そのまま首筋に吸い付くと赤い花弁を散らしていく。項を噛めない分、しつこいくらいに。すぐ消えてしまうけれど、まるで自分の物だと誇示するかの様なその跡を、私は嫌いになれないでいる。
「朔……しつこい」
「ふふ、そうだな」
奴はそう言って笑うと、スウェットを捲り上げた。冷房で良く冷やされた外気に晒されて、思わずぶるりと身震いする。すでに芯を持った胸の突起を指の腹で嬲られて、腹の奥がじゅんと疼いた。
「っ、はぁ」
鈍い快感に、熱が身体の中で燻っている。早く楽になりたくて、浅ましくも足の間に割り込まれた奴の膝に股座を擦り付ける。じわりと快感が生まれては消えていく。足りない。もっとと身体が奴を求めてやまない。
「ぁ、うっ……ふぅ、う……っ!」
そんなこと気付いているだろうに、奴は素知らぬ顔で胸への愛撫を続ける。確かに触れとは言ったが、早くトドメを刺して欲しいのであって、決してこのような生殺しの責めをしろと言ったのではない。しかしそんな事言えるわけもなく、ぬるま湯の様な快感を揺蕩う。
「っ、うぁ……朔」
奴の舌が突起を捉えた。ざりざりした物が突起を削り取る様に動く。切ない刺激に身動ぎをして逃れようとするが、離しては貰えなかった。
何やら、今日はやけにしつこい。まるで何かを狙っているかのようでさえある。
そうして小一時間、ねちねちと突起を苛められ続け、息も絶え絶えにさせられた頃。赤く色付いた突起を徐に押し潰されてその時は来た。
塞き止められていた水が溢れるように、快感の濁流に呑まれていく。目の前がチカチカ明滅して、慣れ親しんだ絶頂の二文字が頭に浮かぶ。
「くっ、ぅ……はぁっ、あ゛ぁっ!」
背を反らして、喉を晒す。そんな、まだ胸しか触られていないのに。それなのに、果ててしまった。羞恥心からかあっと顔が熱くなって、思わず身動ぎをする。精で濡れた下着が張り付いて、気持ちが悪い。
「望……随分と良さそうだな」
「っ、誰がっ」
奴が耳元で熱っぽく囁く。初めからそのつもりだったのだろう。思惑通り呆気なく果ててしまった己が不甲斐ない。睨み返すが、奴は気にせず微笑むと、スウェットに手を掛ける。下着ごと剥かれて、少し萎えた陰茎が明かりの元に晒された。至近距離で、奴が見ている。気にしまいとするが、そんなの続く訳もなく、こんもりとまとまっている巣の残骸からタオルを引き抜くと顔を隠した。良く考えず行動した結果だが、これは悪手だった。瞬間、奴の残り香が鼻腔を刺激し頭を揺さぶる。
「あっ、あぁ……」
散々焦らされた身体がかっと熱くなる。口の中に唾液が溢れて、口の端から漏れ出した。今、期待してしまった。
「望?」
一気に思考能力が下がるのが分かった。もう、あれこれ考えていられない。この男が欲しい。剛直に穿たれて、揺さぶられてしまいたい。
どろりと溶け出した我欲。衝動のまま、奴の唇に吸い付く。
「兄さ……ん」
たすけてくれなんて、とてもじゃないが声に出せなくて口だけ動かしたが、どうやらきちんと伝わった様だった。
瞬間、辺りに甘い香りが漂い始める。どうせヒートに当てられたのだろう。そうしてどろどろに溶けた後孔に指が挿入された。理性を手放し掛けている状態だと言うのに、それでも慣らすことを辞めない律儀な男を腹の中で笑う。
いっそのこと乱暴にしてくれたら、全てをバース性が悪いと言えたのに。そうしてくれないのを分かっているから、私達は何時まで経ってもお互いを慰め合う事しか出来ないのだ。
「あ、ぐっ!ぅ……」
腹の中で指が好き勝手に這い回る。絶頂に追い込むと言うよりも、拡げる事に重点を置いた動きにまた焦れて、己が手に握られているタオルを嗅ぐ。
「……直接嗅いではくれないのか?」
「ごめん被る」
舌足らずにそう言い返せば、奴は少し困ったように笑ったのだった。
「兄貴達ってまだくっ付いてねぇの?」
「しょうがないよ、意地っ張りだもん」
ニェンちゃんが口を尖らせながら言う。それを聞いたユーちゃんが、料理を運びながら言い返した。話題は勿論、あの兄二人の事だ。
「そうね、もうそろそろ認めたら良いのに」
読んでいた端末から目を反らして言えば、末の弟は箸を渡しながら溜め息混じりにぼやいた。
「あれって、ウァン兄ちゃんが私達のことを気にしてるからでしょう?」
「皆もうとっくに気付いているのにね」
わいわいがやがや、みんなで机を囲いながら居ない二人の事を好きに言い合う。
そう、あの二人は様々な事、主に私達の事を気にしすぎているのだ。
「そもそもが、バレていないと思う方が無理があると思うのだけれど」
「でも、私達が何か言っても兄ちゃん達は聞かないでしょ。それこそ時間の無駄だよリィン姉ちゃん。後飲み過ぎだからねそれ」
末の弟はそう言うと、再び溜め息を吐いた。弟なりに、兄達の事を案じているらしい。
「私達を理由に逃げるのは違うよね」
「分かっちゃいるけどなー」
こうなったら、総出で詰める他無いのかも知れない。そう思いながら、ここにいない二人の兄を思うのだった。