アークナイツ
珍しいこともあるものだと思う。もぞもぞと何やら動く気配がして目を覚ませば、隣にいた筈の望がいない。そ知らぬふりをして辺りを見渡すと、股座に彼がいる。こちらが起きているのにまだ気付いていない彼は、生理現象――俗に言う朝勃ちで勃ち上がったそれを見ていた。
何をするのかとそのまま薄目を開けて観察していると、彼は徐に顔を近付けた。瞬間、先端が温かな粘膜に包まれる。今の一度だってそんなことしたこと無いのに、こちらが寝ているのを良いことに口淫に耽り始めたのだ。
昨日だってかなり無理をさせたのに、足りなかったのだろうか。もしそうなら満足させてやりたいと言う思いと、このままもう少し様子を見ていたい気持ちで揺れる。
眉間に皺が寄っている。咥えたはいいが、慣れない行為にどうしたら良いのか分からないのだろう。それが可愛らしくて、触ってやりたくてしょうがないけれど、今は我慢して彼の行動を見守る。
無理をして奥まで導こうとするが、慣れない状態では厳しいだろう。嘔吐く度、喉が絡み付いて来る。酷い音を立てながら先走りを啜る様に、体温がかっと熱くなるのを感じた。決して気持ち良くは無いけれど、視覚の暴力であることは変わらない。目に涙を溜めながら己の逸物を咥える彼に、どうしようもなく興奮している。
悪戯に腰を動かせば、喉奥を突いてしまったのか彼は酷く嘔吐いた。それでも離すことは無く、止めておけば良いのにどうやら意固地になっているようだった。
裏スジを舌が刺激して擽ったい。彼なりに考えて舌を動かしたり手を使ってみたりと工夫しているようだが、決定打に欠ける。そろそろ潮時か、あまり相手をしてやらないのも可哀想だ。ゆっくり起き上がると、油断しきっている彼の角を掴んで、喉奥に陰茎を叩き付ける。彼は驚いたように目を見開き、すぐに嫌そうな顔をした。苦しそうに呻いて、こちらを睨み付けてくる。でも、心から嫌がっているのならすぐにでも噛み千切ってくる筈だ。これならいけると踏んで、そのまま口内を犯す。
「ぐっ、う゛ぅっ!あ゛、あっ」
「望、悪戯も程々にな」
くぐもった声が鼻から抜ける。奥を突く度、喉が痙攣して気持ち良い。この行為は何より征服感がある。気が引けて自ら進んでやろうとは思わないが、今回は事故みたいな物だろう。そうやって言い訳をしながら、容赦なく腰を打ち付ける。
「はあっ、出すぞ」
そう呟いて、喉奥に精を吐き掛ける。それこそマーキングでもするみたいに。勢いのまま引き抜けば、彼は酷く咳き込んだ。
「ごほっ、ゴホッ!」
それでも彼は溢さずに何とか飲み下したようで、呼吸を何とか落ち着けながら、今にも殴り掛かって来そうな目でこちらを睨み付けていた。
ふと、上着のみを羽織った彼の股間に目を移せば、白濁に濡れているのが見えて……。
「達したのか?喉を突かれて?」
「……煩い」
とても血色の良いとは言えない肌が、かっと朱に染まる。何時からそんな被虐的にと思ったが、初めからかと考え直した。
普段から彼は酷くされるのを好んだ。そうすることで己に罰を与えているようにさえ見えた。ならば、兄としては甘やかして蕩けさせてやりたいと思うのは普通のことではないだろうか。
……まあ、実際の兄弟はこんな爛れた行為には及ばないのだけれど、それは置いておいて。
「続き、するか?」
「朝の鍛練があるのだろう?」
「……そうだな。しかしここで止められる程大人でもなくてな」
「何を馬鹿な事を……」
素知らぬふりをしているが、その目に明らかに期待が滲んだのを見逃さなかった。返事を聞かずにそのまま彼を寝台に押し倒して、昨日散々拡げたそこに陰茎を押し付ける。
柔らかく包み込んで来る肉に、熱い溜め息がこぼれ落ちた。先程まで己のモノを咥えていたことも忘れ、その唇に衝動のまましゃぶりつく。舌を重ね合わせて、鼻に抜ける青臭ささえ興奮材料にして、そうして彼を暴いていく。
悦ぶように腸壁が震え、精を搾り取ろうと蠢いていた。
「はっ、あ゛ぁ……、っ!朔、くっ……あっ!」
「っ、熱いな」
ぐるぐると喉を鳴らしながら、彼は背を反らした。無意識なのか、彼の白い尾が己の黒い尾に絡んでいる。愛しくなって、昨日も跡を残した首筋に吸い付く。腰を押し進める度、尾に力が入って、甘えるように締め付けられる。
「望」
彼の名を耳元で囁いてやれば、連動するようにナカがきゅうっと締まった。快感から逃れようと足掻く腰を捕まえて、膨らんだ前立腺を押し潰せば、彼は悲鳴を上げる。それに煽られて、もっと苛めてしまいたくなるのをぐっと堪え、動きを止める。馴染むのを待つ間、少しでも気持ち良くなって欲しくて、可愛らしく勃ち上がった胸の突起を撫でる。本人はそうでもないと頑なだが、何度も触れられたそこは確実に性感を拾うように変わっていた。
そこを指で摘まんで押し潰す。指の間でぐにぐにと形を変えるそれの感触を楽しみながら甘やかせば、彼は身体をびくつかせ、熱い息を吐いた。
「あ、ぁ……っ、早く、動け」
「まだ馴染んでいないだろう?」
「いい、……良いからっ、早くっ」
今にも泣き出してしまいそうな顔で言うものだから、つい言うことを聞いてしまいそうになる。そんな表情をしないでくれと言ったところで、彼は分からないだろうから。その震える身体をぎゅっと抱き締めて、言われた通り腰をゆるゆると動かし始めた。
「がぁっ、あ゛っ!」
喉を晒して感じ入っているのを至近距離で眺めながら、腸壁を擦り上げる。健気に締め付けてくるのが可愛らしくて、その喉元にしゃぶりつくと肌に歯を食い込ませた。
瞬間強くなる締め付けに熱い息を吐いて。逃がさまいと腰を掴んで打ち付ける。さほど広くない部屋に肉同士がぶつかり合う音が響いて、消えていく。
「望っ」
「あ、あっ……はぁっ、う゛ぅ……!」
彼が背中に手を回すと、爪を立てて来た。その心地よさすらある痛みを愛しく思う。労るように触れるだけのキスを落として、口を開き始めた結腸口に先端を押し付ける。
「ひっ、あ゛っ!朔、そこはっ」
「戻れなくなる?」
それでも結腸口は甘えるように先端に吸い付いている。離したくないとでも言うように、だ。寝台に彼の髪が飛び散っている。まるで紙の上で墨が踊っているようで、思わず魅入ってしまった。
何処もかしこも美しいのに、彼はそれを認めようとは決してしない。
「望」
満ちた月の名を冠する男らしい、高潔さだと思う。鼻先を擦り合わせながら、結腸口目掛けて腰を打ち付ければ、ごちゅっと嫌な音がして先端が挿入ってはいけないそこにめり込んだ。
「~~~~っ!あ、だめだっ……朔っ」
舌足らずに名前を呼ばれて、危うく爆ぜるところだった。ぼろぼろとこぼれ落ちる涙を掬い取れば、塩辛く。嗚呼、生きている者のそれだった。
俺たちは、生きている。ここで。
「っ、うぁ!あ゛、あ゛ーーーーっ!」
「望、もっと声を聞かせてくれ」
珍しく欲のままに声を上げているのが嬉しくて、耳元で囁く。彼が気持ち良いと、己も嬉しい。
精を搾り取るようにナカが収縮を繰り返す。そうして誘われるがままに、腹の奥底に精を吐き出した。
全てが遠退いたような感覚。そのままマーキングでもするように腸壁に精を塗りたくって、絶頂から中々降りてこられない彼を至近距離で眺める。びくりと身体が跳ねる度、追い討ちと言わんばかりにナカが絡み付いてきて、思わず熱い息を吐く。
彼が落ち着くまで待ってから陰茎を引き抜くと、ぽっかり開いた後孔からこぽりと精がこぼれ落ちていく。その様はあまりに目に毒で。半ば意識を飛ばしかけている彼を抱き抱えて、シャワールームへ運ぶことにしたのだった。
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