アークナイツ

頭の悪いエロ


 歳の代理人は卵を産むのか。答えは部分的にそうだと言える。と、言うのも結局のところ、新たな歳獣となった彼以外、代理人に卵を産む者は居ない。女性ではなくなぜ彼なのかと言われると分かりかねるが、恐らくは元の歳獣の嫌がらせなのやもしれなかった。
 この事は限られた医療オペレーターとドクター、私しか知らない。外部に漏れよう物ならどう使われるか分からない為、産んだ卵は全て私が処理をしている。
 処理と言うのも、ただ捨てるのは憚られる為胃に収めているのだ。精密検査の結果、源石汚染の心配は今のところ無いとのことで、他の誰かの手に渡るくらいなら私が食べてしまおうと言う、嫉妬にも似た考えである。
 頻度は月に一回、拳よりひとまわり小さいくらいの卵を大体3個から6個くらい産む。最初にロドスに入艦した際のメディカルチェックでその兆候はあったが、経過観察となっていた。話が変わってきたのは彼がロドスに滞在して一月経ったくらいの頃。ふと、腹に違和感を感じたのが始まりだ。詳しい診察の結果、彼の腹には卵を作る為の器官が作られていた。勿論、他の代理人には見られない物だった。
 本当に酷い話だと思う。不幸中の幸いなのは、卵を産み落とす時痛みは無い事くらいだろうか。
 ……彼曰く、とても気持ちが良いのだそうだ。


「にいさ、んっ」
 予定通り、今月もその日がやってきた。朝から食事も摂らずに部屋に籠りきりだった彼は、寝台の上で唸っている。痛みは無いけれど、どうも内蔵を押されているような違和感が酷いらしい。
「大丈夫か?」
「大丈夫なわけ、あるかっ」
 それはそうであるが、他に何と声を掛けるべきだと言うのか。きっと産卵前で気が立っているのだろう。いつもの事ながら、差し出された手を握り締めることくらいしか出来なかった。
「何かして欲しい事はないか?」
「なにもない。……ただそこにいろ」
 そう言って、彼は足を開く。既に芯を持った陰茎は健気に震え、触って欲しそうに蜜を垂らしている。
 気丈に振る舞ってはいるが、その表情は既に蕩け始めており、決壊が近いことを告げていた。
 開かれた足の間にタオルを敷いて、その時を待つ。
「はぁっ、あぐっ……」
 ぴくりと彼の身体が跳ねる。ゆっくり空気を吸い込んで息む。すると後孔の縁が盛り上がってきて、白い陶器の様なつるりとしたそれが顔を出した。遠慮がちに絡みついた尾に力が入って、ぎちぎちと締め付けてくる。
「っ、うぅ……見るなっ」
 こんなの見るなと言う方が無理だ。事実、息みに合わせて出てきては戻りを繰り返すそれから目が離せない。
「聞いているのかっ、見るなと言っているだろう」
「そういう訳にはいかない。お前の担当医に記録をするよう言われているからな」
 そう言うと、彼は悔しそうに顔を歪めながら黙ってしまった。これは半分本当で、確かに彼の担当医に記録をするよう言われている。が、ここまで舐め回すように見ろとは言われていない。
「あっ……あぁっ♡」
 言い合っている内に、一つ目の卵が湯気を纏いながらころりとタオルの上に転がった。色、形は良好。それを拾おうとすると、彼の手により弾かれる。
「ウァン?」
「やだ、取るなっ」
 母性なのだろうか。舌足らずに拒絶され、思わず手を引っ込める。何時もならこんなことはないのに、珍しい事もあるものだ。
「今だけでいい、全部産むまでここに置いて欲しい」
 彼なりに、卵をどうするべきなのかは理解しているだろう。理解した上で、本能に抗えないのだ。
「にいさんとのこだから」
「ウァン……」
 そんな風に思ってくれていたのか。続いた言葉に込み上げる物があって、汗ばんだ彼の髪を撫でる。気持ち良さそうに目を閉じる彼の瞼にキスを落とし、彼の言う通り暫し見守ることにした。
「にいさん、2個目出そう」
「ゆっくりでいいからな」
 事前の診断で、彼の腹の中に何個卵があるのかは分かっている。今回の予定は3個だ。彼が再び息む。皺が拡がり、中から卵が顔を出した。内腿が震え、陰茎からは先走りがこぼれ落ちる。
「はあぁっ♡あ、あぁっ!にいさ、」
「ここにいるぞ」
「っ、うぅ……♡だめ、イッちゃう……♡」
「大丈夫、大丈夫だから」
「きす、して♡」
 彼の瞳から大粒の涙がこぼれ落ちる。快感が逃がせず辛いのだろう。腰がかくんかくんと切なく揺れていた。強請られるがまま唇にキスを落として開かれた隙間に舌を捩じ込む。じゅるじゅると唾液を啜れば、彼は身体をがくがく震わせながら果てたようだった。ころりと音がして、タオルの上に先程のものより幾分か大きい卵が転がる。
 彼の精が服に跳ねたが、最早どうでもよかった。
「にいさ、ん♡」
 息継ぎの隙間に、彼が私を呼ぶ。蕩けきった瞳に、私が映る。ぎゅっと震える身体を抱き締めて、辿々しく舌を絡める。すがり付く様に服を掴む手を取り握り返せば、とても汗ばんでいた。
 本音を言うならば、今この瞬間組伏してその首に噛みついてしまいたい。そうして蠢く後孔を己が剛直で穿ってしまいたかった。でも、そんなこと許される訳がない。例え彼から求められたとしても、許されてはいけない。
「っ、ウァン……」
「あ゛、あぁっ……♡」
 口の端から流れ落ちる唾液が、汗と共にシーツに落ちていく。甘美な雫が落ちるその様が、酷くゆっくりに見えた。肌が触れ合っている所が溶けそうなくらい熱い。
「にいさん、にいさん♡好きっ……すき♡」
 もう自分が何を口走っているのかさえ分かっていないのだろう。繰り返し甘い言葉を吐く彼に堪らなくなって、再度唇にキスを落とす。すると、彼はへにゃりと力なく笑った。
「きす、嬉しい♡」
「っ、あまり煽ってくれるな……」
「?」
「いや、なんでもないさ。気にするな。ほら、辛いのだろう?最後の一つも出してしまおう」
 素直にこくりと頷いた彼に微笑んで見せて、手を握り締める。繋いだ手に力が籠って、彼が息むが中々出てこない。
「あぁっ、でないっ……♡」
「大丈夫だ。お前なら出来る」
「頭っ……おかしくなる♡んあぁっ……やだ、はぁっ♡」
 甘ったるくぐずる彼に良からぬ思いが加速していく。硬く芯を持った愚息を見て見ぬふりして、耳元で囁いてやる。
「例え可笑しくなっても私が面倒を見るさ」
「っ♡うれしいっ♡……っ、ふぅ♡にいさ、ん♡見てて♡」
「嗚呼」
 肌を寄せ合って、鼻を啜る彼を慰める。そうして少しばかり呼吸を整えると、彼は気張った。すると最後の卵の頭が見えた。
「……」
 ……黒い。体液に濡れ、てかてかと光を放つそれは、まるで碁石のような漆黒だった。こんな色は今まで見たことが無い。しかし困惑していては彼が気にするだろう。それが悟られぬ様、卵から視線を逸らす。
「もう少しだ」
「はぁっ♡あぐっ……!♡んん~~~っ!♡♡」
 そうして、タオルの上に最後の卵が転がった。瞬間、彼の身体から力が抜ける。呼吸を荒げながら、ぱくぱくと後孔を収縮させる様は目に毒で仕方がない。労る様に頬にキスを落とせば、双の瞳に見詰められた。
「はーっ、はーっ♡♡にいさ、勃ってる……♡」
 離された手が、布越しに陰茎に触れる。くらくらと目眩がして、思わず喉をぐるぐると鳴らした。
 何時もの事だ。彼は卵を産んだ後、決まって発情するのだ。それを待っていた自分がいて、どうしようもなくて自己嫌悪に陥る。
「にいさん、しよ?」
「……ウァン。いいのか?」
「したい……♡無駄射ちなんて許さん♡全部、私が貰う♡」
 卵の乗ったタオルをソファに優しく置くと、彼に覆い被さる。理性を飛ばした状態の彼は何時もより幾分か素直で……。足を開くと誘うように両手で後孔を拡げた。
 蠢く赤から目が離せない。
「っ」
 殆ど無意識にごくりと生唾を飲み込む。前を寛げて勃ち上がった陰茎を取り出せば、彼はうっとりと微笑んだ。
 本当は、こんなことをしている場合ではなくて……。卵を産んだばかりの彼を労らなければならないのに、無茶苦茶にしてしまいたくて仕方がない。
「はやく♡」
「……すまん」
 自分に言い訳をして、ゆっくりと熱を持ったそこに先端を押し付ける。先程まで卵が通っていたそこは十分に拡がっており、ぐぷりと生々しい音を立てて剛直を易々と飲み込んだ。だからといって緩くはない。絡み付いてきて離さないくらいだ。
「あ、あぁ……♡おっきい……♡」
「っ、あまり煽ってくれるな……」
 分かり易く膨らんだ前立腺をカリ首で抉れば、彼は喉を晒して悦んだ。その喉に吸い付いて、赤い花弁を散らしていく。
「お゛っ、あ゛ぁっ♡♡」
「ウァンっ!」
「にいさっ、あぁっ!♡♡」
「はっ、……名前で呼んでくれないか?」
 喉仏を甘く食めば、連動するように中がぎゅうっと締まる。思考が快感に飲まれないようなんとか手綱を握り締めて、腰を打ち付けた。
「っ、朔っ♡♡しゅおっ……♡♡容赦しなくていいからっ♡♡あっ、うぅ!♡♡全部ちょうだい♡♡♡」
 ぱん、と肌と肌がぶつかる音が明るい部屋に響く。彼の腹が、内腿が痙攣して、陰茎は奥を抉る度びゅくびゅくと壊れたように精を垂れ流していた。酷い有り様であるが、それ故に酷く煽られる。甘い。まるで果実の一番美味しい所のように。
「へうっ♡♡う゛ぅっ、~~~~っ!♡♡ひっ、あっ!♡♡いぐっ、い゛っ!♡♡」
 がくんと一際大きく彼の身体が跳ねて、中が精を搾り取ろうと収縮する。欲望がままに最奥に吐き掛けるように精を吐き出した。あまりの気持ち良さに頭が白じむ。多幸感に全てが塗り潰された。マーキングでもするみたいに吐き出した精を腸壁に擦り込んで、それでも足りなくて晒された首に噛み付く。ぷつりと肌を食い破って、口の中に鉄の味が広がって初めて正気に戻った。
「っ、ウァン!」
「はっ、ぁ!♡♡あぁ……♡♡」
 余韻に目を白黒させている彼の中から陰茎を引き抜く。少しして、こぷっといやらしい音を立てて精液が溢れ出してきた。でも、何かあってからでは遅い。蓋を求めて蠢くそこに、指を2本突き刺すと、奥に残っているであろう精を掻き出す。
「がぁっ!♡♡うあ゛っ♡♡しゅおっ、いまっ、だめ♡♡」
「何かあってからでは遅いだろう?それに腹を壊してしまうやも知れん」
「~~~~っ!♡♡♡はへっ♡♡大丈夫だからっ♡♡」
 制止も無視して掻き出す動きを続ければ、彼は再度果てたようだった。ようだったと言うのは、のは射精に至っていなかった為に判断出来なかったのが正しい。一頻りぶるぶると身体を震わせて、痛いくらい中を締め付けていた。そうしてそのままかくんと腰が動いて、しょろしょろと音を立てて精まじりの尿が排泄される。もう殆ど意識等無さそうだった。


 漆黒の卵の中、くるりくるりと命が宿る。歳だったモノの成れの果てがそれだった。新しい歳獣の因果を辿って、奇跡は起こった。起こってしまった。それに意識などまだ無い。あるわけがない。細胞の分裂が進んで、恐らくはその殻を破るその時、ようやっと思考をするのだろう。その時、何を思うのか。それはまだわからない。その思考に醜く染み付いた怨みに染まってしまうのか、それとも人に等しい生を送るのか。或いは只の獣であるか。あらゆる可能性が重なるようにそこにあった。
 長兄である代理人も、産み落とした張本人でさえまだ気付いてはいない。気付かずに何時もの様に処理してしまえばまだ間に合ったかもしれないが、産み落とした男がそれを拒むだろう。母性とはそう言う物だ。無意識の内に、それに命が宿っていることに気付くのだ。
 今言える事はただ一つ。変数であるこの命がどう転ぶかは彼等に託されたという事だけだった。

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