一応、先輩!




水無月は皐月の事を
医務室のベッドの上に
やさぁしく寝かせました

頭のズキズキは大分落ち着いています


「皐月先輩、痛むところとかない?
気持ち悪いとか」

水無月は心配したような声色で
ミネラルウォーターを渡してきます

「超、大丈夫」

頭の痛みには波があるようで
たまにズキッと痛みます

でも皐月は先輩なので
後輩に心配をかける訳にはいきません

「本当っすか〜…?」

皐月がつんとすましていると
水無月が顔を
覗きこむように見てきました

疑わしい、というように
眉をひそめています

「嘘はついたらダメだよ?」

水無月は真剣な顔をして
皐月の頬に
触れるか触れないか分からないぐらい
優しく手を添えました

皐月は軽く頬を膨らませて
水無月から顔を背けました

「大丈夫だってば!」

「旦那様に言われたこと
覚えてる?」

何故か水無月より
皐月を子供扱いしてくる旦那様に
『大人しく水無月の言う事を聞くんですよ』
と言われたのでした

なぜ皐月を子供扱いしてくるのやら…

まったく分かりません!

「大人しく水無月の言うこと
聞く…でしょ?
分かってる、そんなこと…」

皐月が水無月と
目を合わせないように頑張っていると

文月が派手に
ドアを開けて入ってきました




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