憂鬱への扉




文月は嗚咽を漏らしながら長月に手を引かれてやってきた。
長月とかいう人、苦手かも。

「…えぐ、、う…ごめ…ごめんなさぃぃ〜…うぇぇん…ひっく……。」

謝られたことなんてないから、なんて言えばいいのか分かんないよ。
あまりに私が何も言わないから長月も口を開いた。

「私からもすみませんでしたぁ、びっくりしちゃいましたよねぇ。」

なんの感情も湧かないから本当に何て言えばいいのか分からない、、

〘 僕からもお願いです、許してもらえますか?もし許してもらえるのなら、「いいよ」って言えばいいんですよ 〙

わぁ… 頭の中に直接真夏の声が入ってきた…。
これ、テレパシーってやつ??私にもこれできるかな?

「……いいよ。」

私が膝を抱えたまま呟くと、「良かったですね〜」と長月は文月の頭を撫でていた。
文月は長月に抱きついてわんわん泣き喚いていた。
こんな大人にはなりたくない…。

「『ごめんなさい』ができて、偉いですね文月。
みみちゃんは僕が叱っておくので、今日は思う存分長月に甘えてきて良いですよ。葉月も呼んでお部屋用意しておきますね。」

……今なんて言った?
これから私、叱られるってこと?

意味分かんない。私、悪くないし。


真夏たちが話してる間に、こっそりと部屋を出ようとする。
怖いわけじゃないけど、痛いし。


「みみちゃん…?何する気ですか?」

「う…。」

真夏に、秒で気付かれた。

「では私はお部屋で文月ちゃんをなでなで可愛がってきますぅ。
みみちゃんさま、許してくれてありがとうございましたぁ♡お礼に1つ、アドバイスです♪
真夏様のお説教はしつこいですからぁ、早めにお膝に乗るのをオススメしまぁす!ではぁ♡」

長月はくすくす笑いながら扉を開けてどこかへ行った。
真夏は「あの子も大概問題児なんですよね…」と呟きながら頭を抑えていた。

今がチャンスでは…?

私が扉を開けようとすると、何故か扉は開かなくなっている。
ドアノブは回せるのに、扉が開かない。

「んーーー!!!」

頑張っても開かない。
……疲れたからやめよう、、と思って私が椅子に座り直した途端、紅茶を飲みながら真夏が話しかけてきた。

「みみちゃん、逃げようとしていました?」

「してないけど?」

「ふうん、嘘をつくんですね。」

真夏の目がお化けみたいな目になった。

「逃げようとしたり、嘘をついたり…みみちゃんはお尻を叩かれないと良いことと悪いことが分からないみたいですね…。今日は僕も文月も悪かったので、お説教だけで済まそうと思っていたんですが…。」

「さ、こちらでお話しましょうか。」

真夏が自分の膝をぽんぽん、と叩く。

絶対お話なんかで終わる訳ないよね…??



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