憂鬱への扉
驚きました。
みみちゃんの能力が高いとは思っていましたけれど、ここまで力を出せるなんて思っていませんでした。
完全に僕の判断ミスです。
……それに、みみちゃんが女性が苦手だとは知りませんでした。リサーチ不足です。
みみちゃんに父親は居なかったはずなのでもしかしたらそれが関係しているのかもしれませんね。
「みみちゃん、ごめんなさい。」
僕はみみちゃんの小さくて柔らかい手をとって、まあるい瞳を覗くように見ました。
みみちゃんは、目を合わせないように俯いています。
「……。」
「僕の配慮が足りなかったです。みみちゃんは女性が苦手だったんですよね?」
なるべく刺激しないようにそっと話すと、彼女は詰まりながらも言葉を紡いでくれました。
「分かんないけど…何か…近付いて来ると思ったら、あたま真っ白になって…それで…。」
「気付いたらああなってた…。」
僕は彼女をぎゅうと抱きしめ、頭を撫でたい衝動に襲われました。
罪悪感があるというのが伝わる表情をしていて、撫でくり回したくなります。今この瞬間だけ役職を放棄したい。
僕が衝動を抑えていると、扉がバーーン!!と大きな音を立てて豪快に開きました。
「やっほー☆☆ 真夏さまおっひさ〜!!」
入ってきたのは最近染め直した金髪がぴかぴかと輝き、くるくると巻いた髪をハーフアップにしている文月でした。相変わらずの派手さに白衣があまり似合っていません。
あとショートパンツが短すぎるんですが…?前に、いや何回も、露出は控えるように注意しているはずなのですが〜??
「文月〜??その格好は何ですか??ん?」
僕はにこにこと文月のほっぺたを伸ばしながら質問しました。
文月はバタバタと両腕をふり回しながら暴れています。
「いひゃいです〜!はにゃしてくだひゃい〜!!」
僕がお望み通り離してあげると、文月が桃色の頬を抑えながら抗議を始めました。
「今日はデコルテもへそも出してないんですよ!!足くらい許して下さいよ折角若いのに〜、、」
ぶつぶつ文句を言っている文月。
後でお説教ですね…。