文化祭編
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轟「(なるべく小桜と話を……)小桜はどこ行ったんだ?」
麗日「病院に行くって」
轟「…………」
53.エリちゃんと
病院についた私は……
エリカ「あははは!」
気まずそうにしている相澤は病室で空を見ていた。大声で笑うエリカはここは病院だった!と口をすぼめ、それでも溢れてくるふつふつとした笑いを堪えるのに必死で、エリは不思議そうに観ているのだった。
エリカ「エリちゃん可愛いから何でも似合う?」
「「(思い直してアイリス!!)」」
上下柄物の服を拾い上げ、首を傾げるエリカはマジマジとそれを見つめる。
扉の外から見守る看護師の表情は必死だ。
エリカ「私もチビエリちゃんに服を送りたいな!待っててくれる?」
エリ「服を……?」
エリカ「そう!これはこれで可愛いんだけど、何枚あっても困らないから」
エリ「…………あの、エリカさん」
エリカ「ん?」
エリ「大事な、人がいるの?」
そうか、いっちゃんが聞きたい事があるみたいだと言っていた。大事な……大事な人……
エリカ「うん、いるよ。今度紹介するね」
エリ「…………」
エリカ「ほら行きましょう!相澤先生」
相澤「おい」
あっという間に病院からデパートへ。
鼻歌を歌いながらこども服を見るエリカと自分はどう映っているのだろう……
アイリスと声が聞こえるたびに相澤はピクリと反応する。
エリカ「この服可愛い!ねー、先生」
「あの子アイリスじゃない?」
「雄英の……あれ、子ども服見てる……え?隣の人……」
相澤「(いや、マズいだろこれは……)」
ザワザワと周りの視線を感じて居た堪れなくなった相澤は足早にエリカへと寄ると
相澤「おい、早く決めろ」
エリカ「だってこれも可愛いし、あっちも……」
相澤「ほらこれで買ってこい。2つ共だ」
エリカ「え……私が払」
相澤「いいから」
よくわからない様子のエリカは渋々レジへと向かう。
エリカ「私が買ってあげたかったのになぁ」
相澤「仮にもお前は生徒だ。金を出させるわけにはいかんだろ」
そう、たとえギャラが想定外の金額でもだ
相澤「卒業したら奢ってくれ」
エリカ「はーい」
無事にプレゼントを渡せたエリカはご機嫌で帰宅し、対して相澤はグッタリとしていた。
それを心配そうにみる蛙吹と麗日はエリカに事情を聞いてもさっぱりな様子で、人に囲まれたとか……?とお茶子が言うときっとそうだわと梅雨が同調する。
昼からは文化祭の自主練だ。
しかしエリカはミスコンに出るため、出し物ではそれほど重要な役割を担っていなかった。
エリカ「(響香、ずっとノートに何か書いてるなぁ……)」
何してるの?と覗き込むとバンドメンバーに宛てたものだと分かった。
耳郎「エリカが言ってた事、少しだけ分かった気がする」
エリカ「……?」
何のことかわからないエリカは首を傾げて耳郎を見た。
耳郎「爆豪の事……ウチ勘違いしてたかもって」
ドラムを叩く爆豪が完璧すぎてつい頼んじゃったけど……
「そんな下らねーことやんねェよ俺ァ」
『かっちゃんは凄い!』
キラキラした目でいつもそう話してる親友にそれ以上は聞かなかったけど……あのドラムを聴いたら、踏み出さずにはいられなくて!
「爆豪お願い!つーかアンタがやってくれたら良いものになる!」
「なるハズねェだろ!アレだろ?他の科のストレス発散みてーなお題目なんだろ。ストレスの原因がそんなもんやって自己満以外のなんだってんだ」
「爆豪の言ってる事も最もだと思ったんだ。けど……」
「てめェらご機嫌取りのつもりならやめちまえ。馴れ合いじゃなく殴り合い……!!やるならガチでーー…雄英全員音で殺るぞ!!」
耳郎「爆豪、いつでも本気だもんね」
エリカ「うんっ、かっちゃんは凄いんだよ」
耳郎「また言った」
エリカ「えー?そんなに言ってるかなー…」
耳郎「無自覚……。ウチ、文化祭頑張るよ」
エリカ「……うん、私もだ」
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私がいるのは早朝、学園の茂み。とりあえず5個くらいでいいかなーと小ぶりで少し重さのある"石"を選んでいた。相澤先生にこっちの個性はあまり使うな、と言われていたし、実際に"今は"見られない方がいいんだろうなという思いもあって早朝にこの特訓をする事にした。
エリカ「この石達に意識を集中して浮かせて……」
浮かせる事は難なく出来た。……が、ここからが難しい。何が難しいって、考えずに今の位置をずらす事はできても、瞬間移動みたいに確実に狙ってる場所に100%に持っていく事が難しい……
やっぱり複数はできないのだろうか……ひとつくらいならできそうなもんだけどなぁ……
『ザッ』『ドサッ』
エリカ「ぐえっ」
茂みから何かが現れて覆いかぶさってきた。
「おや、貴女は……」
エリカ「発……!!」
発目「小桜さん……!」
サポート科の発目さんが泥だらけになって転がっていた。私のベィビィがと、手に持って居る小型ロボットが目に入る。何だか可愛いなぁ
発目「特訓ですか!?熱心ですねヒーロー科も」
エリカ「……も?」
発目「さっきそこに緑の子とオールマイト先生が居ましたよ!」
いっちゃんとオールマイトが……?
いっちゃんはヒーローオタクだから昔からオールマイトが大好きで、憧れのヒーローである事は知ってるんだけど特別仲が良いような……何となくだけど、他のヒーローとは違う何かを感じていたけれど、それが上手く言葉に出来なくって。
発目「頭でも打ちましたか!?小桜さんは何の特訓を?」
エリカ「うーん、この石をね」
発目「5個ありますね……」
一緒に横にしゃがんでいる発目さんと同じ視線になった。2人で石ころを眺めている光景が少しシュールで口元が緩んだ。
発目「確か小桜さんの個性は瞬間移動、ですよね」
エリカ「覚えててくれたんだー」
発目「貴女が来ると騒がしくなるので覚えました!」
エリカ「騒がしく……」
確かに前回スカートの裾を改良して貰いに行くと騒がしかったけど……発目さんはやっぱり頭が良くて興味を持ったモノへの記憶力は凄い。サポート科にピッタリだと思う。今横で一緒に考えてくれてるだけで安心するもんなぁ…
発目「指も5本ですよね?」
エリカ「うん?」
発目「そうですよ!指!指の延長戦だと思ってみては!?」
エリカ「!!」
人ってホントに驚いた時は声が出ないと思う。気付けば発目さんをギュッと抱きしめてお礼を言っていた。私もこんな柔軟な発想ができるようになりたい。視野を広く持たないと……そればかり見ていてはダメだ。自立し、強くならないと……
エリカ「発目さん!!ほんっとにありがとう!!私がんばる!!」
発目「小桜さんは良い匂いがしますね!では私ベィビィが待ってるので!」
文化祭はサポート科の晴れ舞台だもんなぁ。私もミスコンまでにはなんとか完成させないと……!!石を指の延長戦に……集中力が途切れたら落としてしまうから、深呼吸をして手をかざした。
エリカ「やっぱりすぐにはできないか、ははは」
できない事には伸び代があって、何度か超えた先に見える景色はどんなだろう。
きっと、かっちゃんの前でも胸を張ってヒーローをしている自分がいると思うと口角が上がらずにはいられない。
エリカ「がんっばるぞ……!!」
5回目で石が二つ反応を示した。コツがあればなーなんて、こっちの個性はまだまだ歩き出したばかり。けれど文化祭は待ってくれないので練習あるのみだ。
朝食前に寮に戻ろうとするとランニングをしているかっちゃんの後姿。
ずっと眉間に皺を寄せたまま、あまり目も合わなくなってしまったけれど、私の気持ちは何も変わっていない。
エリカ「(私も頑張ろう……)」
轟「小桜」
エリカ「あ、轟くんも自主練?」
轟「前に病院行ってるって聞いた。大丈夫なのか?」
エリカ「(響香にエリちゃんに会うこと言ったからそれかな……?)大丈夫だよ。女の子に会いに行ってたんだ」
轟「助けたっつー子か。まだ入院し………!?」
がくん、と力が抜けて倒れるといつもの睡魔が……ぐぬぬ、眠い……!!
エリカ「個性、使いすぎ……た」
轟「!」
文化祭まで数日に迫ったある日
私は日課である朝ランの時間を全てかけて、それでも全然足りなくて、昼休みと放課後の大半を特訓に費やしていた。
切島「……最近、エリカちゃん寝てる事多くなったよな」
上鳴「寝顔スッゲー可愛いよな!!」
切島「ははは……爆豪と轟も最近忙しそうにしてるしよ」
瀬呂「A組名物、異世界の3人組解散か?」
上鳴「スリートップ忙しそうだもんなぁ」
こんな会話をしてるとも知らずに休み時間は睡眠に勤しんでいて、授業が始まるとえいちゃんが起こしてくれるという日々を繰り返していた。
エリカ「(そういえばいっちゃんとオールマイト……どうして特訓を)」
突然浮かんだ疑問に首を傾げていると、休み時間に相澤先生のお呼び出しがかかった。仕事、かな?いやでもインターンは終わった……?もしや私だけ終わってない!?
エリカ「あれ?心操くん!」
心操「うん。また会ったね」
相澤先生に呼ばれて行くとそこには心操くんもいて……話が見えない私は首を傾げた。
相澤「わざわざすまないな。小桜に頼みがある」
エリカ「はい、イレイザー」
相澤「心操の特訓を手伝ってほしい」
話を聞くと心操君はヒーロー科の編入を志願していて、相澤先生に捕縛紐を教えてもらっているらしい。私の個性が瞬間移動で速いから、と言う理由で選ばれたらしいが顔見知りな事に驚いていた。ミスコンの準備で忙しい、なんて言えず二つ返事で引き受けると本当に嬉しそうにしてくれて、私も笑顔になる。
相澤「ついでに心操は小桜に勉強教えてやってくれ。いつも赤点ギリギリだからな」
エリカ「ひゃ!?」
心操「任せてください」
エリカ「よろしくお願いします……」
放課後、心操くんとサポートアイテムの話になり彼は興味津々で時計やスカートのバルーンについて紹介すると思いの外食いつきがすごい。
心操「そのアイデアって小桜さんが?」
エリカ「バルーンは私だけど、時計はサポート会社の人が……」
勝手に、、私はこの勝手にかなり救われているのだ。
エリカ「私にないアイデアをたくさん持っていてね、前も発目さんが……あ、心操くんも行ってみる?」
心操「え!」
わぁ、これ以上ない程に目が輝いている
エリカ「相澤先生に聞いてみるね!」
先生に相談すると紹介しといてやれと一言。明ちゃんにはお世話になったしサポート科は楽しいから好きだ。
エリカ「頭に描いてるのがあるの?」
心操「うん。嬉しい。ありがとう」
素直に感謝されると照れくさい。
エリカ「明ちゃん!あのね……」
『BOOOOM!!!』
……あ、この事伝えるの忘れてた。
心操「いててて……」
目の前で急に爆発が起きて2人して飛んでいき……
って小桜さんは!?なんか上に乗って……
エリカ「心操くん、大丈夫……?」
心操「え、あ…小桜さ……っ!!?」
目の前にはドアップの小桜さんの顔があって、柔らかくて暖かくて居た堪れない……!!
エリカ「あ、、ごめんね?今どく……っひゃ!?」
勢いよく離れていった小桜さんが浮いてて……お腹に腕が回って……
爆豪「何しとんだ」
エリカ「ごめ、かっちゃん……」
心操「(かっちゃん)」
爆豪「オメー避けろや爆発くれぇ」
え、避け……え?
エリカ「誰もがかっちゃんみたいに素早く動けないんだよ。まぁちょっと油断してたのは否めないけど……」
爆豪……!?まさかこれ避け……小桜さんの洋服の汚れ取ってあげてるし!
エリカ「ありがとう。補講行ってらっしゃい」
爆豪「………」
うわ、すごい睨まれてる
轟「小桜大丈夫か?」
テメーは来なくてもいいわ!と睨む姿はやっぱり噂通りの爆豪で……?
エリカ「大丈夫だよ!轟くんもいってらっしゃい」
轟「行ってくる」
体育祭でみた轟も怖い顔して他者を寄せ付けない雰囲気だったけど……俺、頭でも打ったかな?
エリカ「心操くん、中入ろう?」
心操「あれってヒーロー科の爆豪と轟だよな……?」
エリカ「あ、ごめんね紹介すればよかったね!そうだよ」
なんか信じられない物をみた気がする……
To be continued......
2024.07.08