仮免試験編
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エリカ「お茶子の部屋わーい」
45.合否その後に…
あの後、モモと響香と仮免を見せ合って良かったねと称え合い、風花や士傑高校とも別れた。そして走ってきた真堂さんと握手を交わしてバスに乗り込んだ。手にした仮免許はまだ真新しく気が引き締まる思いだ。
緑谷「え、エリカさんの免許も見せてもらってもいいかな?」
エリカ「いいよ」
緑谷「わぁ、笑顔が眩しい…!」
いっちゃんの免許証は緊張を絵に描いたような表情をしている。うん、彼らしい。前の席に座るいっちゃんに免許証を返すと、やっと試験が終わったんだとホッとした。初心、とは今日の日の事を言うのだろうか?
私の初心はかっちゃんの……いや、お父さんが目の前でヴィランにやられた日だ。雄英に来たのはかっちゃんの言葉だけれど……
耳郎「エリカ、真剣な顔してどうしたの?疲れた?」
エリカ「ううん、雄英来て良かったなーって思ってたとこ!」
耳郎「なんであんたってそう小っ恥ずかしい事を平気で口にするの」
エリカ「ふふっ、響香照れてる」
耳郎「照れてない!まぁウチも色々あったけど……」
エリカ「良かった?」
耳郎「ま、まぁ……」
エリカ「やっぱり!」
耳郎「も、もう!」
上鳴「何!?雄英愛語ってんの?」
耳郎「語ってないから!」
後ろの席の上鳴くんが覗き込む。
すからず響香がツッコミ、この2人仲良いなぁ。
切島「エリカちゃん」
真後ろのえいちゃんが指差したのは、窓の外を睨みつけてるかっちゃんの姿。
エリカ「今は……そっとしておいた方が」
切島「だな」
エリカ「かっちゃん、そんなにダメだったの?」
切島「いや、たぶん態度や言動かな」
エリカ「そっか……」
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切島「試験お疲れ~」
耳郎「ホントに疲れた~」
上鳴「あれ?エリカちゃんは?」
八百万「エリカは麗日さんと関西のテレビ番組が恋しいと行って部屋に行きましたわ」
切島「確かにこっちでやってないやつもあるもんな!」
八百万「一度観てみたいですわね」
耳郎「あ、意外に興味あるんだそういうの」
共有スペースのリビングでワイワイと労わりあう。
爆豪「おい!」
緑谷「!」
爆豪「後で表出ろ てめェの"個性"の話だ」
麗日「エリカの個性って瞬間移動と怪力なん?」
エリカ「怪力は遺伝だよ。おばあちゃんの」
麗日「えっ、そうなんや。知らんかった……。前から気になってたんやけどな」
エリカ「私も前から気になってたんだけど、いっちゃん好きやんな?」
麗日「はうあ!!?」
エリカ「たまに目で追ってるし、ざわざわするって言ってたから、そんな心持っていかれるのってそういう事かなぁと!」
麗日「(よく見てるな……)」
エリカ「いっちゃん、良い人だよね!それにだんだん強く……」
麗日「エリカはさ」
エリカ「?」
麗日「うまく言えんけど、ヒーロー目指してるやん?私は……デクくんが一生懸命になってる姿がカッコイイと思った。だから、この気持ちしまっておこうって」
言いずらそうに下を見ながら話すお茶子。なんとなくエリカとは目を合わせ辛いのか顔が上がらなかった。
エリカ「そっか!」
麗日「え?」
エリカ「お茶子がいっちゃんをみてそう思ったんなら、それが1番なんじゃないかなぁ?」
てっきり否定されると思ったお茶子は度肝を抜かれた。
エリカ「うわぁ、いっちゃん絶対気付いてないだろうな~!知った時のいっちゃんの動揺と興奮が目に浮かぶ!きっと……」
麗日「(きっと?)」
エリカ「凄い嬉しいだろうな!」
カァアアと赤くなるお茶子に気付いたエリカはニッコリと笑った。
エリカ「だってお茶子は素敵な女の子だから」
麗日「~っ、エリカ私……」
エリカ「お茶子?」
麗日「(エリカを好きな男の子の気持ちがわかりすぎる!ぜひ語り合いたい!!!)」
エリカ「え……なんか……燃えてる?」
麗日「あんな、エリカは好きな人が他の女の子と親しげに話してたら……その……どう思う?」
エリカ「好きな人と……他の女の子と親しげに?」
麗日「うん」
エリカ「…………」
麗日「…………」
エリカ「…………」
麗日「…………」
エリカ「そんなの……みたことない」
麗日「聞いた私がバカやったわ!」
エリカ「あ!でも……」
麗日「?」
エリカ「体育祭で……お茶子とかっちゃんが戦って、その後に言ってた言葉にはヤキモチ焼いたかも……」
麗日「え……?ば……爆豪くん……?」
エリカ「ん?」
麗日「エリカの好きな人って轟くんじゃなくて爆豪くん!?」
エリカ「え、顔こわ……」
麗日「聞いてへん……そんなの聞いてへんよ!?」
エリカ「お茶子落ち着いて……?」
麗日「……ウチと爆豪くんが戦った後に言ってた言葉って……何……」
エリカ「か弱くないって」
麗日「それホンマに嫉妬の対象なん!?」
エリカ「だって……お茶子は言葉じゃなくて行動でかっちゃんの本気を引き出したやん?」
麗日「(もしかしてヤキモチって言うのは恋愛的なんじゃなくて……)」
エリカ「かっちゃん、私とは本気で戦ってくれないんだもん!」
麗日「(ヒーロー的なそっち!?)」
ぷくーと頬を膨らませるエリカは拗ねているようにも見えた。
麗日「それは、爆豪くんが女の子を傷つけたくなくて……?いや、ちゃうな、うーん……」
エリカ「あ!お母さんから電話だ!」
麗日「ええよ。話聞いてくれてありがとう」
エリカ「こちらこそ!じゃあね、おやすみ」
パタパタと部屋から出て通話ボタンを押すと、歓喜溢れる母からの電話だった。お父さんも喜んでいると母から聞いたエリカは良かったと胸を撫で下ろした。きっと、とか言わない所がお母さんらしいなぁ。電話を終えて、部屋を片付けベッドに横たわる。
「俺が攫われた事、気にしとるんだろ」
一次試験が終わってから言われた言葉を思い返していた。
エリカ「(ホントによくみてくれてるな……)」
風花との再会も、試験での切磋琢磨も……今日1日で色んな事があった。疲れている筈が、回想していたらアドレナリンが出ているのか眠れない。
エリカ「(かっちゃんは眠れているのかな……轟くんは落ちて大丈夫だろうか……)」
電話を終えて共有スペースを覗くと誰も居なかった。いつもより早い解散だが、みんな疲れているのだろう。風にあたろうかと悶々としているとドアに何か当たる音がした。
エリカ「はーい?」
返事をするものの誰もいない。
気のせいかと思い、ぼんやりと星を見ていた。
エリカ「(今日の星綺麗だなぁ)」
『カチャ』
エリカ「(ドアに何か……)」
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爆豪「戦えやここで今」
緑谷「何で今じゃなきゃダメな理由もないでしょ」
爆豪「本気でやると止められんだろーが
てめェの何がオールマイトにそこまでさせたのか確かめさせろ。てめェの憧れの方が正しいってンなら、じゃあ俺の憧れは間違ってたのかよ」
緑谷「……かっちゃん…」
爆豪「逃げんな!!!戦え!!!」
エリカ「……これって……」
爆豪「俺は……オールマイトを終わらせちまってんだ」
エリカ「金……メダル?どこかで……あ!体育祭の……!!」
部屋にある銅メダルと並べてみる。間違いではない確かに体育祭の金メダルだ。これがなぜドアに……誰かが間違えて置いたのではない。意図的に、と考えると勝己以外考えられなかった。
エリカ「…………」
金メダルを握りしめて考える。
思い返してみれば、彼は何かに悩んでいる様子だった。それが顕著になったのは家庭訪問が終わり、自宅謹慎中の勝己の家に行った時だ。
『オールマイトは事実上の引退という事にー……』
『ワイルドワイルドプッシーキャッツが活動停止にー……』
連日流れるニュースに今はなき神野区を思い出させる。
「かっちゃん、プッシーキャッツ大丈夫かなぁ?」
「…………」
「かっちゃん?」
「……あ、あぁなんだ?」
「珍しいわねー、勝己がエリカちゃんの話聞き逃すなんて」
「うるせえ、ババア」
「だから!何でアンタはそう口が悪いの!!」
エリカ「(待ってようかな……)」
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緑谷「じゃ、じゃあね、かっちゃん」
爆豪「…………」
全部聞いた後、説教食らって帰路に着く。今までモヤモヤしてたモンがストンと腑に落ち、そうだったんかと納得はした。
何でデクだと言う問いに答えたオールマイトの顔は見れなかった。羨ましい気持ちがないって言ったら嘘じゃねぇが、俺は強くなるだけだと言い聞かせて前を歩いていく。
1階の共有スペースから部屋に上がろうとした時、物音が聞こえて振り向いた。
エリカ「かっちゃん……おかえり」
爆豪「………」
そこへ何も知らない筈の泣き虫が立っていて、笑ってる。どんだけ待ってたんだよ。バカだろ。
オールマイトよりデクより厄介な相手……それが
エリカ「(泣いた跡……仮免落ちたから……?いや、違……)」
爆豪「!(だっ!?)」
ぎゅうと音を立てて正面から抱きしめられた。
あぁー……風呂上がりの匂いたまんねぇわ。体柔らかすぎンだろ。背も、小せぇ……守……そういやこいつ、好きつったよな、俺の事……すき…………
爆豪「エリカ」
エリカ「(名ま、え……)かっちゃん……?」
頬に優しく手をあてられ、唇に柔らかな感触があたる。
エリカ「!」
驚いて目を見開くと、すぐに唇が離された。
爆豪「はは、スゲー顔。個性使って眠ぃんだろ?はよ寝ろ」
エリカ「(眠れないよね!?)あ、かっちゃん!あの、話があるって…前に、その……」
爆豪「(気にしとったんか)」
こいつも仮免取って、俺は落ちた
デクもこいつも俺のとっくに前にいて……
爆豪「すぐに追いついて抜かす。あン時、眠らなかったら負けていたなんて言わせねーくらいにもっと俺は強くなる。そンで……!」
エリカ「(わー体育祭のネットコメント読んじゃったかー)」
ジーパンがああなって、ヒーローはいつどうなるかわからねぇ。けどな、俺は今言うつもりねぇんだよ。こんな半端もんで後ろを歩いている今の俺じゃ胸張って言えねえから……
爆豪「待ってろや」
有無を言わせねぇくらい、周りが認めるくれえになってやるから…!!
To be continued......