林間合宿編
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緑谷「オールマイトが言ってたんだ、手の届かない場所には救けにいけない…って。だから手の届く範囲は必ず助け出すんだ…」
36.すべては1人の為に
切島「じゃあ今度は救けよう」
あまりに唐突な内容の言葉に、言われた緑谷だけではなく、その場にいたクラスメイトの皆も驚いたように声をあげる。切島、轟は昨日も来ていてそこでオールマイトと警察が話している所に遭遇した。
「B組泡瀬さんに協力頂き、敵の一人に発信機を取り付けました」
飯田「……つまりその受信デバイスを…八百万くんに創ってもらう…と?」
切島「…………」
飯田「オールマイトの仰る通りだプロに任せるべき案件だ!生徒の出ていい舞台ではないんだ馬鹿者!!」
切島「んなもんわかってるよ!!でもさァ!何っも出来なかったんだ!!ダチが狙われてるって聞いてさァ!!」
飯田「……っ」
緑谷「…………」
切島「ここで動かなきゃ俺ァヒーローでも男でもなくなっちまうんだよ」
上鳴「切島落ち着けよこだわりは良いけどよ」
蛙吹「飯田ちゃんが正しいわ」
切島「飯田が皆が正しいよでも!!なぁ緑谷」
そう言われて差し出された手
切島「まだ手は届くんだよ!」
病室に飯田くんの怒声が響き渡る。けど、僕は切島くんの声が頭にこびりついて離れないでいた。
まだ、手は届くだろうか。君なら……
エリカさんならどうするんだろう
麗日「エリカ、起きとる!」
エリカ「お茶子!おはよう」
麗日「うっ、なんなん笑顔が眩しすぎて……うち男やったっけ?」
エリカ「あれ?」
あはははと元気な声が響いた。
エリカ「元気ない?何かあった?」
麗日「(さっきの事は言わへん方が……いい、よね)ううん、何でもないよ」
エリカ「…そっか!お茶子にも心配かけたね。明日退院できるって言われた。」
麗日「明日退院できるんや。それは良かった……」
エリカ「……?何でも学校側が近くに置いときたいのもあるみたいで」
麗日「(元気、やなエリカ……)」
エリカ「今日は寝過ごして食べ損ねたご飯いーっぱい食べて体力つけんと、またかっちゃんに心配かけちゃうしね!」
ナースコールを押して、すみませーん!ご飯大盛りでくださーい!と頼むエリカを見て、笑うお茶子。
エリカ「お茶子は夏休み実家に帰る?」
麗日「うん、少し帰ろうかと思ってるよ。エリカは?」
エリカ「私は……もう少しだけ、かっちゃんを待とうかな、って」
麗日「エリカ……っ、あ、あの……」
エリカ「『待ってろ』って言われたんよ。かっちゃんに」
麗日「…………」
エリカ「だから、私は誰よりも元気に待っときたい。今出来るのは祈る事と元気で待ってることやから、それを頑張る!」
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蛙吹「お茶子ちゃん、エリカちゃんどうだった?」
麗日「明日退院できるって」
蛙吹「それは良かったわね。百ちゃんもだいぶ元気になったみたい。何か考え事をしているのが気になったけど……」
麗日「エリカも……無理してるんじゃないかなって」
蛙吹「そう……。エリカちゃんの場合は無理ないわね。爆豪ちゃんと幼馴染だもの」
麗日「うん。そうやね……」
塚内「そうそうたる顔ぶれが集まってくれた。さァ作戦会議を始めよう」
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八百万「長野からの出発ですので約2時間……22時頃の到着です」
緑谷「あの…この出発とか詳細って皆に伝えてるの?」
轟「ああ。言ったら余計止められたけどな」
切島「あの後麗日がダメ押しでキチい事言ってくれたぜ」
「爆豪くんきっと…皆に救けられんの屈辱なんと違うかな……」
八百万「エリカは……エリカはこの事知ってるんですの?」
轟「いや……言ってねぇ」
緑谷「…………」
切島「悪ィ緑谷!俺判断なんだ。万が一エリカちゃんに何かあったら爆豪に合わす顔ねぇから……」
緑谷「いや、ナイス判断だよ切島くん。この事エリカさんが知ったら、行くって言いかねないし、そうすると必然的にまた無茶をしちゃうだろうし、再度入院なんて事になったら今度は僕がかっちゃんに殺さねかねないし……」
八百万「事情はなんとなく察しましたが、知らないっていうのも……」
緑谷「いや、いいんだ。知らない方が」
ピロリン、と音を立てて携帯が鳴った。そこには一斉送信で『小桜エリカ、明日退院します!ご心配とご迷惑をお掛けしました!』と送られてきた。
切島「おお!良かった!な、轟」
轟「おう」
八百万「一安心ですわ」
飯田「後は葉隠くん、耳郎くん、爆豪くんが戻れば……」
轟「一応聞いとく。俺たちのやろうとしてる事は誰からも認められねえエゴってヤツだ。引き返すならまだ間に合うぞ」
切島「迷うくらいならそもそも言わねえ!あいつァ敵のいいようにされていいタマじゃねえんだ…!」
八百万「…………」
飯田「…………」
お茶子が帰って、お母さんに電話をかけた。
退院しても家に帰るの少し遅くなると伝えるとしぶしぶわかってくれた。勝己くん、まだ連絡ない?と言われて携帯を見ても浴衣を着た2人が写っているだけで何もない。きっと携帯は持っていないだろう。肝試しの途中だったから……
信じて待つ。
これが言葉より辛かった。かっちゃんは今何をしているだろうか。ご飯はちゃんと食べてる……?捕まって、怖いよね。私にもっと力があれば……
エリカ「かっちゃん……会いたいよ」
月が、とても綺麗だよ。
「エリカちゃん、もう体は大丈夫?」
エリカ「あ、はい!大丈夫です。寝すぎてちょっと寝れないだけで」
「そうだよね~。あ、お友達目を覚ましたわよ。葉隠さんと、耳郎さん」
エリカ「!!」
看護師さんが言い終わる前に扉に向かって走り出した。
「瞬間移動、は使ってないわよね…?」
エリカ「はーちゃん、響香っ!!」
葉隠「エリカちゃ……ぐえっ!」
2人が目に入った瞬間、飛び出して思いっきり抱きしめた。
エリカ「良かった……ホントに良かった……」
葉隠「エリカちゃん……」
耳郎「エリカ……。ありがとね。エリカが運んでくれたって聞いた」
エリカ「ううん……私がもう少し早く見つけていれば……。目が覚めて良かった……!」
葉隠「エリカちゃん…………私何て声をかけていいかわからないよ」
エリカ「はーちゃん……?」
耳郎「爆豪の……事。ニュースで見て、さ」
エリカ「…そっか。はーちゃん泣かないで?」
葉隠「だって……そんなの、ないよーっ!」
耳郎「…………」
エリカ「はーちゃん……。かっちゃんはきっと帰ってくるよ!大丈……」
バタバタと廊下が騒がしくなった。
「エリカちゃん、ここにいた!」
エリカ「ぎゃ!見つかったー!」
看護師さんが少し息を切らしている。
何かあったのかな……?
「今から雄英高校の会見が始まるみたい……」
エリカ「会見!?」
耳郎「こんな遅くに?」
テレビ付けていいよ、と言われて幸いはーちゃんと響香と私しかいないこの部屋。迷いもなく慌ててリモコンを手に取った。
『―では先程行われた、雄英高校謝罪会見の一部をご覧下さい』
エリカ「謝罪、会見…?」
葉隠「相澤先生……っ」
そこにはスーツを着て、無性髭を整えたメディア嫌いの相澤先生とブラド先生、校長先生の姿が映っていた。
『この度ー我々の不備からヒーロー科一年二十七名に被害が及んでしまった事。ヒーロー育成の場でありながら敵意への防衛を怠り社会に不安を与えた事。謹んでお詫び申し上げます。まことに申し訳ございませんでした。』
頭を下げて謝る先生方に言葉を失う。
まるで先生たちが悪者であるかのように、記者達からはいろんな質問が飛び交った。
『イレイザーヘッドさん、事件の最中、生徒に戦うよう促したそうですね。意図をお聞かせ下さい』
『私どもが状況を把握出来なかった為、最悪の事態を避けるべくそう判断しました』
『最悪の事態とは?26名もの被害者と一名の拉致は最悪と言えませんか?』
自分たちの身を守るために、"戦え"と先生は言ったのだ。
葉隠「先生が悪者みたいじゃん!」
耳郎「その場にいなかったのによく言うね」
『…………私があの場で想定した"最悪"とは、生徒が成す術なく殺害されることでした。』
『不幸中の幸いだとでも?』
『未来を侵されることが”最悪”だと考えております』
『攫われた爆豪くんについても、同じことが言えますか?』
エリカ「っ、」
嫌でも反応してしまうその名前。私は咄嗟に響香の手を取り握りしめると、真っ直ぐと画面を見つめていた。
To be continued......
2018.03.08