林間合宿編
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『ドサッ』
爆豪「うおっ!!?」
エリカ「……!?」
30.夏の風物詩
泣き虫のCMをみてからというものの、事あるごとに映像がチラついて何も手につかねぇ。
制服で駆けつけるシーン
うたた寝しながら宿題をするシーン
そして、プールから上がってカメラ目線でジュースを飲むシーン
俺も見た事もねぇ表情をテレビを通して全国のどこの誰かもわかんねー奴がみてる。その事が無性にイライラしてどうしようもなかった。
部屋の扉を勢いよく閉めてベッドに体を沈める。
学校のプールんときも、ブドウ頭やアホ面がエロいやら触りてぇやら耳に入ってきた言葉に腹が立った。あんな痕を残したってまるで関係ねーみたいに好き勝手言われやがって…!
気付けばもう夜で、顔を横に向けると机の上の携帯が目に入った。
爆豪「せめてスク水にしろや……クソッ……言えるかよっクソがぁぁああ!!」
叩きつけて目を閉じた。
……が、やっぱりCMの顔が浮かんで眠れねえ。マジで覚えてろよ泣き虫の癖に……!!
その日珍しくかなり夜更かしをした。
いつもならとっくに起きている時間だった。いつもなら……!
『ドサッ』
爆豪「うおっ!!?」
朝、何かが上から落ちてきて俺の上に被さった。
人だって事はすぐにわかって肩を掴もうと右手を振り払ったが、ソイツは体を起こした為スカッと空を切る。その代わりにスゲー柔らかいモンを掴んだ。
エリカ「あっ……」
爆豪「!!?」
目の前には顔を真っ赤にして俺を見る泣き虫の姿。一気に目が覚めて2人して固まった。秒数にして5秒くらいだ。
肩を退かそうと強めに力が入っていた右手は、むにゅむにゅとそれを掴んでいる。
それがクラスの奴らが触りてぇと言っていたマシュマロだと理解してからは俺の顔もドッと熱くなっていくのが分かった。
爆豪「ふざけんじゃねええええ」
エリカ「わあ!?」
手を離して振り上げると泣き虫は後ろに倒れていった。
初めて触った女の胸の感触
ばくばくと煩い心臓を鎮めようと必死で、うとうとし始めた泣き虫をぼんやりと見ながら、頭を回る言い訳を繰り返しては右手の感触を思い出して心臓がザワついた。
エリカ「ごめんね、個性が制御できなくって……あ、ここにあったんだストラップ……」
爆豪「……は?」
自分の胸を触られても申し訳なさそうに謝る泣き虫が視界に入る。
USJを思い出させるバカみてぇな薄着に目を反らしそうになるが、よく見るとスゲー汗の量だ。
爆豪「ストラップは落ちてた。体調悪いんか?」
エリカ「あ……違うの、クーラー止めてて…」
落ちてたつったが、恐らく俺が爆破して落とした物だから言いづれぇ……
それにしても今日は猛暑日だとテレビでやっていた。そんな中クーラーもつけずに家にこもってたんか。何やっとんだ。
一言言ってやろうかと口を開いたら泣き虫の首筋からスーッと汗が落ちていく。言いかけた言葉を飲み込んでゴクンと唾を飲んだ。
爆豪「これ着ろ」
エリカ「ありがとう……」
脱ぎ捨てた服を泣き虫に渡すと、俺は瞬時にこの事を後悔する事になる。
エリカ「かっちゃんの匂いがする……ふふっ」
爆豪「~っ!!?」
俺のシャツを嬉しそうに着る泣き虫
しかもブカブカで俺よりも一回りもふた回りも小さい。クッッッソ可愛いわ。死ねカス!
エリカ「かっちゃんのお部屋、涼しいね~。汗もひいてきた!」
爆豪「こんな暑いのにクーラーつけねえとかバカだろ」
エリカ「もうすぐCMのギャラが入るからそれまでの辛抱だもーん」
……そうか。金の為にやったんか。エンデヴァーの紹介ってとこか?一言くらい言えやと思ったけど、こいつにとってはその程度って事…
エリカ「かっちゃんには言おうと思ったんだけど、何て言えばいいかわからなくて……。心配かけても嫌だし……だからごめんね?」
びっくりした?と笑う泣き虫にビビったわと素直に返せば、そうやんな~と楽しそうだ。
爆豪「何か飲む……」
「勝己~?誰かいる…………エリカちゃん!?」
エリカ「あ、お……お邪魔してます」
光己「…………」
爆豪「…………」←上半身裸
エリカ「……?」←勝己のシャツ着てる
光己「事前?事後?」
爆豪「ぶっ殺すぞクソババア」
エリカ「??」
かっちゃんが光己さんに掴まれてコソコソと何か話した後、ニヤニヤしてるおばさんに捕まり、ちょっと来てと言われて後をついて行く。
光己「エリカちゃんにね、見せたいものがあるんだよ」
そういう光己さんは凄く嬉しそうだった。
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どうやらストラップが時計と連動してるみたいでここまで飛んできたんだと思う、と言われてゾッとした。もし俺以外が拾っていたら?あいつは今頃あんな格好で……
爆豪「はぁ〜……マジなんなんだよアイツは……」
ババアが泣き虫を連れて行って約30分。中々に遅ぇ。一体何やってんだとリビングに向きそうになる足を一旦止めた。これじゃ俺がアイツをスゲー気にしてるみたいじゃねーか!
「キャー!可愛ーい」
爆豪「……」
スタスタと階段を下りて声のする部屋に入り込む。そこには桃色の浴衣を着た泣き虫が嬉しそうにクルクルと回っていた。
エリカ「あっ、かっちゃん!みてみて~」
爆豪「…………」
スゲー悔しいが、一瞬見惚れた。声がでねえ。
光己「この浴衣見たとき、エリカちゃんに着せたい!って思ったから買っちゃった~」
泣き虫は驚いて口を開けて驚愕してるのに比べて、いい仕事したでしょ?とほくそ笑む顔がチラついて舌打ちをした。
光己「今日お祭りでしょ?2人で行っといでよ?」
わぁぁと声を出して喜ぶ泣き虫をクソ可愛いと思っちまった。人混みはあまり好きじゃねーし、普段ならぜってえ行かねえ。けど、今のコイツに頼まれたら……クソッ!
爆豪「……着替えてくるわ」
エリカ「うんっ!」
光己「ねぇ、エリカちゃん、I・アイランドの話聞かせて~勝己ったら何も話してくれなくて……」
I・アイランド……
夏休み入ってすぐ、体育祭1位になったからと招待状が送られてきて、海外に浮かぶ巨大人口移動都市“I・アイランド”に泣き虫と切島と訪れていた。
世界中の科学研究者たちの英知が集まったまさにサイエンスハリウッドのような島で個性やヒーローアイテムの研究成果を展示したI・エキスポが開催された。……が
パーティー会場はセキュリティを支配され、さらにヴィランの襲撃に遭ったが何とか撃退。
帰りの飛行機では俺を間に挟み、泣き虫と切島がもたれかかって爆睡……
楽しそうにエリカが話をして、それをババアは嬉しそうに聞いていた。
爆豪「おい、夕方なったぞ」
エリカ「わっ!」
ババアはさらにご機嫌に、親父は玄関で泣き虫に会い鼻の下を伸ばしていた。
エリカ「わっ、凄い人だねぇ」
「お!エリカちゃん!!!」
「CMみたよ!!」
「浴衣可愛いー!」
「写真撮ってーーー!!」
「サインくれよー!!」
エリカ「おおおお…!」
爆豪「おい、泣きむ……」
人混みにあっという間に流されていった泣き虫。こんな時あいつの個性は便利だが、先生にこっぴどく叱られた為使わないだろう。仕方ねーなと人混みをかき分けると見知った顔が見えた。
「小桜、大丈夫か?」
エリカ「巻き込んじゃってごめんね……轟くん」
轟「構わねえ。麗日達と来たのか?」
エリカ「ううん、あの…」
「キャー!!轟くんとエリカちゃん!!」
「お似合いー!!こっち向いてー!!」
轟「移動しよう」
エリカ「え!?」
爆豪「半分野郎……テメー何して…おい!!」
目の前で走り出した2人が視界から消えた。
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轟「…………」
足早に歩く轟くんに腕を掴まれ着いていく。
轟くん、静かだなぁ……迷惑かけちゃったな
緑谷「轟くん、どこ行って……エリカさん!?」
神社の陰にいっちゃんと飯田くんがいた。どうやら轟くんはこの2人と一緒に来たんだ。
エリカ「助けてくれてありがとう」
緑谷「(エリカさん浴衣凄く綺麗…!!うわぁぁあ写真撮ってお母さんに見せたい)」
飯田「CMみたぞ!凄い人気だな」
エリカ「テレビの影響って凄いね!」
緑谷「僕達、今ここで休憩してるんだけど、エリカさんもそうしたら?」
エリカ「……」
上鳴「お、あれ爆豪じゃね?おーい爆……え、スゲー機嫌悪い!!?」
峰田「意外だな、1人で祭りなんてよ」
爆豪「1人じゃねぇわ…!おい切島ァ!!泣き虫見つけたらすぐ連絡しろ」
峰田「小桜!?小桜と来てんのか!?」
上鳴「いなくなったのか!?」
切島「やっと自分で誘ったのかー!アイランドは見兼ねて俺が誘ったもんな。成長したな!バクゴー!!」
爆豪「一気に喋るなクソが!」
上鳴「お、緑谷達に見かけたか聞いてみようぜ!おーーい!!小桜さん知らねー??」
飯田「君たちも来ていたのか!」
爆豪「半分野郎!!アイツはどこ行ったんだ!」
轟「小桜なら、自分で探すから大丈夫だとここを離れた。爆豪と来てたのか」
爆豪「…………」
個性制御不能だって言っていた。なら……!
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エリカ「わぁー、大きな木……」
私は小さい頃もよく迷子になって泣いていた。そんな時、小さかった私を見つけてもらうには大きな木だと思い立って登ると、いつも1番に見つけてくれるのはかっちゃんで……
エリカ「今はさすがに登れないな」
爆豪「アホかおめーは」
エリカ「あっ、かっちゃん!」
切島「バクゴー、いきなり走るから心配で着いてき…」
エリカ「えいちゃーん!」
切島「おー!エリカちゃん!会えたんだな!良かった」
私とえいちゃんはアイランドに行った時から名前で呼び合うようになった。盛大に溜息をつくかっちゃんと、見つかってよかったと爽やかに去って行くえいちゃん。
エリカ「ごめんね?あっ、りんご飴食べる?」
甘そうだと顔をしかめたかっちゃん。
あれ、甘いもの嫌いかな?私は大好きなのになーなんて思ったら、りんご飴を持ってる手を引かれた。
爆豪「クソ甘ぇ」
エリカ「甘いのがいいんじゃん!」
そう言って食べようとすると、大きな歯型の横に小さな歯型。小さい時は何も考えずガブリと食べてたけど、考えてしまうのは少し大人になったからかな…
エリカ「かっちゃん!携帯で写真撮らない?」
爆豪「おめーだけ写ってりゃいいだろ」
向けられた携帯がパシャパシャと音を出す。
エリカ「もう!かっちゃんが胸触った事許してあげないんだから」
爆豪「あ、ありゃ不可抗力だろ!!」
エリカ「……結構ずっと触ってたし」
爆豪「~っ、クソがっ!」
観念したかっちゃんが私の横にきて、ぶっきらぼうな顔をしている。反対に満面の笑みを浮かべる私とかっちゃんのツーショットを待ち受けに設定した。
エリカ「さ、回ろっか!」
爆豪「帰んぞ」
エリカ「ええっ!!?」
To be continued......
2019.02.04