林間合宿編
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切島「爆豪!おい爆豪!」
28.夏休みの始まり
夏休みが始まり、久々にゆっくりしていたら玄関が騒がしい。ババアの声が響きもしかしてと思ったが、いつもありがとうねーと言う言葉に泣き虫の選択は消えた。部屋に行きますと切島の声が聞こえてベッドから体を起こす。ドタドタドタとうるさい音に一言うるせえと言ってやろうかと思ったが、勢いよく開いたドアに唖然とした。
切島「バクゴー、あれはねえって!」
きっとアレと言うのは昨日の歯型の事だろう。
腹の中をぐるぐると渦巻く不快な感情を制御出来ずに無理矢理押さえつけた。目の前には怯えでもなく、嫌悪でもなく不安そうな泣き虫の姿。泣き虫の言葉も耳を通り抜けていって、一方的な感情をぶつけた。
切島が保健室に連れて行ったのを横目に、俺は抵抗もせず不安そうに揺れる泣き虫の目を思い出していた。
切島「どうせアレだろ?小桜が心操とトレーニングしてんのが嫌だったんだろ?」
泣き虫に近付こうとする奴は多い。
しかもそれが"洗脳"という個性を持ったやつなら警戒をして当然だが、特訓をしてる時には気にならなかった。実際何回か見に行った。制服でチラチラスカートが捲れるのがどうかと思ったが、中に履いてたし、心操は目も合わせられねぇくらいザコだし、泣き虫が人の世話を焼いてご苦労なこったと思っていた。
「また、お願いしてもいいかな?」
「喜んで!」
いつの間にか視線を合わせ微笑み合う2人にイライラが収まんねぇ……泣き虫も泣き虫なんだよ警戒心とかねぇんか!?喜んでじゃねぇんだわ!
「洗脳って衝撃で解けるって……」
衝動的に噛んだら洗脳でもなくあいつの意志だってわかって堪えた……なんて言わねえわ!
切島「なぁバクゴー……小桜に好きって言えば?」
自分の瞳孔が開いていくのがわかった。好きだァ?ンなもん……
爆豪「言わねぇわ!!」
切島「けどよ、小桜も噛みつかれてわけわかんねぇだろ?昨日だって……」
爆豪「何か言ってたんか?」
切島「何かしたんじゃないかって……爆豪は悪くねーって」
爆豪「……」
力なくベッドに倒れこむ。
壁に押し付け、晒された白い首筋に噛み付くと、泣き虫が硬直してるのが分かった。それでも、アイツは抵抗しない。くっきりと噛み跡を残されて、けれど耐えるように身を震わせて不安そうにこっちを見る泣き虫を見た瞬間……ようやく体の熱が引いて、自身の顔が青くなったのが分かった。
何がヒーローだ
こんなんじゃ、あの約束も守れねえ
爆豪「……走ってくるわ」
切島「お、おう悪いな!急に来てよ」
もう帰るの?と驚くババアの声を背に走り出した。
エリカ「暑いなー……」
今日から夏休み。
といっても特にする事がなくって、日課のランニングをしてシャワーを浴びた。
買い物でも行こうかなぁ。
洗面所の鏡をみると、歯型がくっきりと付いていて目を背けた。
私、何をしたんだろう……聞ける勇気もなくて、髪の毛はそのままに外へ出た。
エリカ「あ、轟くん」
外に出ると轟くんに会った
轟くんも私に気付いて近付いてくれる。1人かな?
轟「外で会うの2回目だな」
エリカ「そうだね!お出かけ?」
轟「あぁ、見舞いの帰りだ」
エリカ「お見舞い…!」
心がポカポカと暖かくなる。そっか、上手くいってるんだね。本当に良かった……
轟「親父が……」
エリカ「エンデヴァーが…?」
轟「小桜に会いたがっていた」
エリカ「会います!」
あのエンデヴァーが!?私に!?どどどうしてだろうか!?わあ、理由聞いてもいいかな!?
あ、あまりに食い気味に返事したから若干引いてる…!困惑してる…!
轟「家にいると思うが……今大丈夫か?」
エリカ「大丈夫だけど……」
もしかしてエンデヴァーの家に?うわぁああ!
轟「けど?」
エリカ「手土産とかない!」
散々奢って貰っといてアレだけども!
服だってピンクのチェックのタンクトップとジーパンだし、大丈夫なの!?
轟「そんなモンいらねえ。……あ、何かついてるぞ」
エリカ「え?」
轟「ほら、ここ首の……」
エリカ「あっ」
『パシャ』
エリカ「……え?」
今何か音がしたような……?
轟「傷……大丈夫なのかこれ?」
エリカ「あ、ううん!大丈夫!それより今からお邪魔して大丈夫なの?」
轟「構わねえと思うぞ」
うわぁああ、緊張する…!エンデヴァーの家だなんて!きっと……きっと……
エリカ「うわー……」
家の前で口をあんぐりと開けて立ち尽くす私。
いやもう大きすぎる!凄い!大金持ち!!
入るぞと玄関が開いてさらに広い。私の部屋はこの玄関に収まってしまうだろう。ひゃー凄い。さすがエンデヴァーだ。
お邪魔しますと入って、トレーニングルームらしい所でエンデヴァーを見かけた。
エンデヴァー「来たのか」
エリカ「お邪魔してます」
じゃあこれでと去ってく轟くんを止めない。
あ、本当に私に用があるんだ……何の用事
エンデヴァー「TV出演に興味はないか?」
エリカ「…………え?」
唐突に予期しない事を言われてかなり返事が遅れた。モモが職場体験でCMに出てたけどそんな感じかな?
エンデヴァー「お前に出て欲しいというテレビ局があってな。仕事故ギャラも出るし」
エリカ「やります」
エンデヴァー「……そうか。早いな」
ギャラが出るならやります!!あ、でも……
エリカ「どんなCMですか?」
エンデヴァー「確か飲料水のCMだと言ってたからな。また日程が分かれば携帯に連絡させよう」
エリカ「わかりました。」
トレーニングルームを出て、玄関に向かうと轟くんが帰るのか?と見送りに来てくれた。
エリカ「お話終わったから。じゃあね、お邪魔しま」
「ただいまー!…………あれ?」
帰ろうとしたら女性が入ってきて、ペコリと頭を下げて……
「あーーー!!小桜さん!?アイリス!!!うわー、実物細いしおめめくりくり!えっ、焦凍と……えっ!?」
うわぁ、めっちゃテンション高い!凄い!負けそう!
エリカ「あっ、お姉さんですか?小桜エリカです。お邪魔しまし」
「夕飯食べていきなよーー!作るからさー!!」
エリカ「えっ!夕飯!?」
「うんうんー。すぐ作るから!遠慮しないで!あ、私姉の冬美です」
エリカ「いいんですか?わぁ」
うんうんと微笑むお姉さんと好きにすればいいと言う轟くん。明るくて優しそうなお姉さんに心温めてお言葉に甘える事にした。
エリカ「美味しい!最高!幸せ~!」
遠慮しないでいっぱい食べてねと出された料理はどれも美味しくて、お箸が止められない。
轟「……(ハムスターみたいに食うな)」
エリカ「毎日食べられる轟くんが羨ましいよ~~」
冬美「嬉しいわ~!そう言って貰えて。夏もいたらよかったのに。エリカちゃんの大ファンだから」
エリカ「轟くんお兄さんもいるんだ!」
夏って事はエンデヴァーの能力継いでるのかな?
お姉さんも優しいし、こうしてみると普通の家族なんだけどなぁ……
冬美「テレビでもつけよっか!」
『CMで一躍有名になってるアイリスさんですが、エンデヴァーの息子さんですかね?一緒にいるのは』
エリカ「お?」
轟「……?」
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爆豪「……は」
光己「うわーアンタエリカちゃん取られちゃったの?まぁ轟くんなら仕方ないわねー。」
勝「光己さん……」
光己「それにしても可哀想よね。痕まで放送されちゃって……女の子なのに」
爆豪「つけたん……俺だわ…!!」
「「……え」」
『その後焦凍くんに案内されてエンデヴァーの待つ家へと向かったようです』
『え?そうなんですか?もしかしてご挨拶でしょうか……?』
爆豪「………………」
光己「どうするの?勝己」
爆豪「ンなもん……」
エンデヴァー「焦凍ォォオ!!健全な付き合いをだな!聞いてるのか焦凍ォォオ!!!」
エリカ「轟くん、巻き込んじゃってごめんね」
轟「いや、いい。それより……」
エリカ「どうしたの?」
轟「携帯鳴ってる」
かっちゃん、きっとまだ怒ってるよね。
何に怒ってるのかは全然わからないけど……気まずい。
冬美「エリカちゃんごめんね、うちの焦凍が……」
エリカ「あ、冬美さん違うんですこれは……!」
エンデヴァー「焦凍ォォオ」
轟「……うるせぇ」
うわぁああ!さっきまで静かだった食卓がカオスに……!
冬美「外、マスコミいるよ…?」
エリカ「マスコミ!?」
私アイドルとかじゃないんだけど!?
それにしてもどうやって帰ろう。困ったな……
エンデヴァー「俺が家まで送ろ…」
「泣き虫ィ!!テメー何やっとんだ」
エリカ「ええ!?かっちゃん…!?」
外から聞こえる声に立ち上がり玄関まで駆け出した。すると勢いよく扉が開いて、目の前にかっちゃんの姿が見えた。
爆豪「邪魔したな、半分野郎」
轟「気をつけて帰れよ」
エリカ「えっ?えっ?」
わけがわからずグイッとかっちゃんに腕を引かれる。
爆豪「走んぞ」
エリカ「う、うん…?」
5.6人の報道陣を振り切って走り出す。かっちゃん……迎えに来てくれたんだ……どうして?
エリカ「……あのね、かっちゃん今日……お買い物しようと思って外に出たら偶然轟くんに会ってね、エンデヴァーが用事あるって言うからそれで家にお邪魔してたの」
爆豪「…………」
ゆっくりと手を引かれて広い背中について行く。
小さく呟いた心配かけんなと言う言葉に無言で頷いたら家の前まで来ていて……やっぱり気まずい……
エリカ「送ってくれてありが……」
あれ、手が離れない……
爆豪「…………わりかった」
エリカ「え、あ……」
きっとごめんって言ってるんだ。歯型の事だよね……?
エリカ「ううん、これはもう痛くない……かっちゃんと気まずい方が、やだったから……」
爆豪「っ、」
エリカ「仲直りできて嬉しい」
爆豪「〜っ!」
エリカ「かっちゃん、あのね……」
麗日「…………」
爆豪「…………」
家の前で何してんの?と顔に書いてる麗日お茶子と、邪魔すんやと顔に書いてる爆豪勝己。この2人の戦いに再びゴングが鳴った事をエリカは知らない
麗日「エリカ、今日一緒に寝よっか」
エリカ「わぁ!嬉しい」
爆豪「(俺んち連れて帰るつもりがいつの間にかこっち来てたわ!クソがっ!)」
To be continued......