職場体験編
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エリカ「朝……」
昨日は凄い1日だったな……。
22.お見舞い
職場体験を終え、携帯を確認すると保須でヒーロー殺しが現れたとネットニュースになっていた。
またかよ、と記事を読んでいると泣き虫が保須に出張だと言っていた事を思い出し、気怠さが一気に吹っ飛んだ。記事に書いてる"遭遇した高校生"って泣き虫の事じゃねぇだろうな?エンデヴァーが撃退した事も俺の不安を煽る。
爆豪「クソが……!出ねぇ!!」
LINEも既読にならねえし、電話も出ねえとなると益々そうだとしか思えねぇ……!!
爆豪「半分野郎に……いや、知らねぇわ番号」
半分野郎の名前が出るなんざ、自分でも焦っているのがわかって腹が立つ。
『爆豪?珍しいな、お前から電話なんてよ』
爆豪「切島、保須の事件聞いたか?」
こいつなら何か知ってるかもしれねえと気付けば電話をかけていた。
『保須?……ああ、確か緑谷が位置情報送ってきたのもその場所だったな……』
爆豪「位置情報?」
それはきっとあいつも受信しているのだろう。泣き虫のくせに正義感は強い奴だ。USJのデクの時もそうだったが、考えるより先に行動に移しちまう。
爆豪「泣き虫と連絡が繋がったら俺にもよこせ」
『小桜?どうしたんだよ爆ご…』
ブチっ、っと電話を切ってまた掛け直す。
この日何回かけても泣き虫には繋がらなかった。
爆豪「クソ眠ィ」
朝、携帯を見ても返事はなく
成すすべはない俺は事務所に向かった
「昨晩発生した西東京・保須市での事件 気になるところだろう ああ私も大いに気になっている」
爆豪「…………」
見透かす目が腹立つ……!
「人は大きな事件に目を奪われる しかしこういう時こそ、ヒーローは冷静でなければならない」
言ってることはマトモだが、ぼんやりしてる俺を座らして髪の毛を整えている。
「というわけで今日もピッチリ平常運行タイトなジーンズで心身共に引き締めよう」
来る場所を間違えた
緑谷「女子との通話って……すごい…!」
一夜明け、保須総合病院では僕と轟くん、飯田くんは入院で検査を受けていた。冷静に考えて凄いことをしちゃったなー……なんて、署長と話して麗日さんと話して、みんなから連絡が来ている事で実感した。
緑谷「あ、飯田くん今麗日さんがね…」
轟「緑谷、飯田今診察終わったとこなんだが」
緑谷「…………?」
飯田「左手 後遺症が残るそうだ」
あの時もっと強く言っておけば…いや…よそう
緑谷「飯田くん」
もう飲み込んだんだ
僕が謝るのは…失礼だ
緑谷「一緒に強く…なろうね」
轟「!なんか…わりィ」
緑谷「何が……」
轟「俺が関わると…手がダメになるみてぇな…感じに…なってる」
飯田「あっははは何を言ってるんだ!」
轟「ハンドクラッシャー的存在に… 」
緑谷「ハンドクラッシャーー!!」
エリカ「楽しそうだね!」
緑谷「え、ええエリカさん!」
うわぁぁああ!新しいヒーローコスチュームのエリカさん……!ネットに載ってたけどすごいチャーミングだ!!!
飯田「その腕はどうしたんだ?」
轟「!昨日ヴィランと戦ったのか?」
エリカ「えっと、ちょっとだけ……それもエンデヴァーがやった事にするって」
轟「やっぱりハンドクラッシャーなのか…」
轟くんまだハンドクラッシャーだと思っていたのか。それよりエリカさんもヴィランと戦った……!?
エリカ「ハンドクラッシャー?それより!エンデヴァーがみんなに差し入れだって」
緑谷「エンデヴァーが!?」
飯田「おおっ!」
轟「小桜、これ本当にクソ親父が?」
エリカ「あ……お金だけ貰ってきたの。でもどうしてるかなーって心配してたら、送り出してくれた!」
エンデヴァーの差し入れもあって、エリカさんが来てから病室が一気に明るくなった。
凄いなぁ。この前、教室でエリカさんを見ていたらかっちゃんに凄く睨まれたもんな……
あれ?
緑谷「エリカさん、携帯鳴ってるよ?」
エンデヴァーかな?と携帯をあさると、そのお相手はエンデヴァーより何倍も怖い相手だった。
エリカ「もしも……」
『テメー、電話に出るのが遅すぎるンだよ!この舐めプ野郎!!』
轟「爆豪?」
え、何!?ここカメラついてるの!?
僕がエリカさん見過ぎたから!?
もう電話の意味をなしていないスピーカーのような声に息を詰まらせる。殺される?大丈夫かな
飯田「女性に対しても凄い罵声だな……」
エリカ「かっちゃん、今病院だから後で……」
『病院……?どっか怪我したンか!?』
うわー、心配してるなぁ……幼馴染でも凄い違いだ
エリカ「大丈夫だよ、かっちゃんは休憩中?連絡できなくてごめんね?」
『無事なら……いいわ』
緑谷「…………」
飯田「彼も心配したりするのか……」
轟「会話丸聞こえだな」
エリカ「わっ、スピーカーだった!」
『ふざけんな!!』
轟「間抜けだな、爆豪」
『俺じゃねえわ!!てか今の声、半分野郎か!!!』
緑谷「ふふっ……」
『クソデク笑うな!!』
飯田「病室だから静かにだな!あと女性にそのような言葉遣いは感心しないな」
『ロボット野郎もいんのかよ!どうなってんだ泣き虫!!』
もう笑いが止まらなくて……っ
エリカさんが病室だから切るねって問答無用で電話を切った。かっちゃん、わけがわからなくてキレてるだろうなぁ……
エリカ「ごめんね、うるさくして……」
轟「大丈夫だ」
緑谷「あー面白かった」
飯田「爆豪くんはいつもあぁなのか?大変だな」
エリカ「そうかな?かっちゃん口悪いけど優しいよ?」
そう思ってるのはエリカさんだけだと思う
ほら、飯田くんと轟くんは首傾げてるし!優しい、とは?みたいな顔になってるし!!
緑谷「エリカさん、ヴィランと戦ったというのはどういう状況だったの?」
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緑谷「ええ!?ヴィランを倒した!?どうやって!!?」
さっき静かにしようと言ってたばかりなのに、衝撃の事実に驚きを隠せない。
轟「スゲーな……」
エリカ「少年のお母さんがヴィランに捕まってね、上に瞬間移動して3発程……」
そう言って拳を握るエリカさんに鳥肌が立った。
飯田「拳で!?あのビルをも破壊した拳を3発も!?」
轟「相手生きてたか?」
エリカ「あとの2発は6割くらいだったから!骨には異常なくって!」
ニュースサイトを見ると凄い拳の跡があって……
きっとヴィランは骨いってるなと軽く想像できた。ほんとどこから出てるのそのパワー
エリカ「あ、そうだ!今朝事務所にヒーローインタビューの人来てね、エンデヴァーが……っ」
轟「どんな表情してた?」
エリカ「めっちゃ気まずそうに私の顔を何回もみてね……ふふっ」
そこまで話すとエリカさんは笑いが堪えきれなくて笑い始めた。
轟「その顔みてぇな」
緑谷「(楽しそうだなー2人)」
エンデヴァーの事務所、もっと厳しいイメージがあったけど和気あいあいと楽しそうだ。それはきっと……
轟「親父、自分が歓声受けてると勘違いして小桜の名前が挙がった時は……ククッ、今思い返しても腹いてぇ……!」
エリカ「え!そうだったの!?私はてっきりエンデヴァー人気だなぁって」
轟「気付いてなかったのかよ……っ」
轟くんがこんな顔で笑うなんて、エリカさんはホントに凄い……
エリカ「気付いてたなら言ってよね!」
きっと無自覚なんだろうけど……
緑谷「エリカさん、切島くんが心配してるから連絡してあげてね」
エリカ「わかった!じゃあ私そろそろ行くね。お大事に」
轟「あぁ」
飯田「ありがとう!」
緑谷「できればもう一度かっちゃんにも連絡を……」
エリカ「うん!電話してみるね」
轟「スピーカーはやめとけよ」
エリカ「わかってる!ふふっ」
こうしてエリカさんは右手を口に当てて消えていった。
エリカ「今日も異常なし!」
保須からの主張を終えて事務所に戻るとエンデヴァーと2人きりで……
エリカ「焦凍くん、戻ってくるって言ってます。エンデヴァーの顔がみたいって」
エンデヴァー「……焦凍は学校では笑っているのか?」
エリカ「……」
たぶん、私を呼んだのはこの事が1番聞きたかったからなんだろうなぁ……
エリカ「はい!最近よく笑うようになりました!戦闘訓練の時は『これが俺とお前達との実力差だ』って感じで、体育祭前はいっちゃんに宣戦布告したりしてましたけど、体育祭終わってからは……」
エンデヴァー「……」
エリカ「とてもよく笑うようになったと思います!あ、これ病室で撮った写真ですが……」
エンデヴァー「……」
エリカ「私が病室入る前も3人で笑い声が響いてましたよ」
エンデヴァー「そうか……。昼、食べに出ようと思うのだが」
エリカ「お寿司が食べたいです!」
エンデヴァー「支度しろ」
エリカ「やったぁ!」
エンデヴァー「(小桜はよく笑うな……)さっきの写真だが」
エリカ「え?」
エンデヴァー「現像は可能なのか」
……親バカ万歳!!
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エリカ「職場体験ありがとうございました!あとお寿司も!」
轟「寿司……?」
今日で職場体験はおしまい。
いろいろあったけど、エンデヴァーは判断力も優れていて、強くて親バカだった。
エリカ「例のブツまた持ってきますね!」
エンデヴァー「…………」
轟「なんだそれ……?」
エリカ「ふふっ、内緒!では私先に帰りますね。」
エンデヴァー「お前がうちに来てくれて良かったと思っている」
エリカ「え……」
エンデヴァーからそんな言葉をもらえるなんて……!
エリカ「こちらこそ、ありがとうございました」
照れ隠しにくるりと背を向けて、携帯を取り出し文字を打つ。
『かっちゃん、会いたい!話聞いて』
『俺は会いたくねえ』
何故!?
To be continued......
2018.12.06