職場体験編
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轟「眉間にシワよってんぞ」
エリカ「(貴方の父のせいです)」
21.ヒーロー殺しステイン
保須に移動中、飲み物をちゅーっと吸い上げると横に座ってる轟くんが不思議そうに顔を覗き込む。私が指名された理由、そんなに期待してたわけじゃないけど……いや、少しは期待してたんかな。
エリカ「(とても複雑だ……)」
確かに仕事休んで体育祭観に来るような人だもんね。1人だと俺の事務所には来づらいから誰か……と選ばれたのが私なんだ。体育祭で見ただけなのに……案外単純なのかなエンデヴァーって
轟「飯田の……職場体験の場所が保須だった」
エリカ「えっ……?」
体育祭を早退していた飯田くん。
私は眠っていて事情も知らなかったけど、餅パーティーでお茶子が心配そうにしていて気になってはいた。翌日、ニュースで事件を知って……
エリカ「ヒーロー殺し……」
轟「あぁ」
エリカ「だから、心配そうに見てたんやね。飯田くんの事……」
轟「…………」
私達は今、そこに向かおうとしてる。
エリカ「轟くんは、どう思う……?」
轟「恨みつらみで動くと視野が狭くなるからな。何もなければいいが……」
エリカ「うん、そうだね……」
そう、何もなければそれでいいのだ。何も……なければ
エンデヴァー「べ、弁当食べるか?」
前の席から顔を覗かせるエンデヴァーをじーっと見つめると、バツが悪そうに視線を逸らした。
エリカ「………デザート…」
エンデヴァー「あるぞ」
ぱああっと自分の口角が上がっていくのがわかった。エンデヴァーが買ったの!?さすがに秘書の人だよね。うわーー嬉しいデザート……
エリカ「はっ……!」
拗ねていたのが台無しだ。しかしデザートには抗えない……No.2の実力を目に焼き付けて糧にさせてもらう事で許してやるか!決してデザート1つで機嫌が直ったわけでは……!
轟「……声に出てるぞ」
エリカ「えっ!?」
轟「クソ親父に何か言われたか?」
エリカ「何でもないよ」
エンデヴァーは轟くんが大好きなんだって思ったけど、私が言っても意味がないからしまっておく事にした。
エリカ「轟くん、ちょっといいかな?」
轟「おう。中入るか?」
エリカ「お邪魔します」
無事に保須の宿泊施設に着いた私たちは各部屋に荷物を起き、後は寝るだけだったんだけど……いろいろ気になる事があって、隣の部屋にお邪魔した。轟くんの部屋和室だぁ!なんか落ち着く。
エリカ「お母さんに会いに行ったって言ってたでしょう?どう、なったかなって気になって……」
轟「あぁ…」
あの後、上手くいったと連絡がきてよかったね!って返事を送ったけれどそれっきりで。エンデヴァーの前では聞けないし、(なんかよく視線を感じるし!)轟くんの部屋に突入したという経緯だ。
轟「母は泣いて謝り、驚く程あっさりと笑って赦してくれた」
エリカ「……」
煮え湯は親父に浴びせられたと思っている。この言葉を聞いて、恨みつらみで……と言っていた意味が少しわかった気がする。体育祭まで炎を使わなかった事も……向き合おうと思いお礼を言われた事も、合致した。
エリカ「話せてよかった。私応援してるね」
轟「小桜の傷、腹にあるんだと思ったら背中だったんだな」
エリカ「えっ!?」
いきなり話がブーメランして肩が上がる。
轟「緑谷が見ようとしてて、咄嗟に止めたが臍あたりまで見えてて……」
エリカ「わー!もうっ、轟くん!」
さっきの着替え、全然見られてないと思ったらそうでも無さそう!?上半身下着だったし、胸は見られてないと思うけど……後ろ向いてたし……
轟「小桜は小さい頃からヒーローだったんだな」
エリカ「……全然、そんな事ないよ。でも」
轟「?」
エリカ「今会ったらグーでやっつけるか遠くにテレポートして置いてってやる!」
轟「っは、俺も氷結で応戦する」
エリカ「あははは!それじゃ動けないね!あースッキリしたっ。じゃあ私寝るね。ありがとう轟くん」
ちょうどかっちゃんから電話があって、嬉しくて取ると轟くんの部屋が和室でねと言ったところで名前を呼ばれて静止する。着替えを見られたり隙だらけだと言われ、なんだか拗ねたような声で……
エリカ「職場体験終わったら、かっちゃんに会いたいな。お家行ってい?」
かっちゃんの職業体験の話も聞きたいと言うとポツリポツリと話してくれた。嬉しい。
エリカ「じゃあ寝るね。おやすみなさい」
『……おやすみ』
翌日
轟「おはよう。早いな」
エリカ「うん、ランニングでもしようかと思って!」
轟「ランニング?」
体育祭2週間前から始めたランニング。瞬間移動の距離と回数を保つのに体力は必須なのだ。少し考えて俺も付き合うと準備を始めた。
轟「手紙って書いた事あるか?」
エリカ「え?」
手紙……かっちゃんといっちゃんと離れ離れになった時に、何度も手紙を書いてはしまっていた。
2人に甘えてしまいそうだったから……それを思い出して少し切なくなってしまった。
エリカ「うん、あるよ書いた事なら」
轟「そうか。母さん携帯持てねぇんだ。だから手紙を書こうと思う」
エリカ「いいねそれ!きっとお母さん嬉しいね!」
貰ったら嬉しい手紙ならありかも!
エリカ「私も、書こうかなもう一度」
轟「お、一緒に書くか?今日の夜に」
エリカ「見られたら恥ずかしいからいいよぉ」
轟「俺は恥ずかしくねぇぞ」
エリカ「私は恥ずかしい!」
エンデヴァー「……ランニングに行っていたのか」
轟「親父……」
エリカ「おはようございますエンデヴァー」
エンデヴァー「おはよう。午前、午後ともにパトロールだ。しっかり食っておけ」
エリカ「はい!行こう轟くん、朝ごはんバイキングだって!」
轟「おう」
エリカ「ここね、フレンチトーストが美味しいんだって!私3つは食べたいっ!」
轟「腹壊すぞ」
エリカ「お蕎麦もあるって!はやくはやくっ」
轟「無くならねぇだろバイキングなんだから」
エリカ「大人気だって口コミに書いてるんだからっ、早くシャワー浴びて行かないと。ではエンデヴァー失礼します」
エンデヴァー「あぁ」
エリカ「轟くんっ、フレンチトースト美味しい!ほっぺ落ちそう!」
轟「よかったな」
夜ご飯を食べて、エンデヴァーがパトロールに行くと言うので轟くんと同行した。
昼の銀行強盗も親バカに隠れていたけど、指示は的確で何より強い。勉強になるから、という思いは2人一緒だと思う。エンデヴァーは夜の方が事件が多いのだと言って昨日もパトロールをしていたな……。凄い。
エンデヴァー「焦凍!事件だついてこい。ヒーローというものを見せてやる!」
いきなり親バカ全開!
轟「…………」
エンデヴァー「ケータイじゃない 俺を見ろ焦凍ォ!!」
携帯…今日の夜は電話できそうにないなぁ
轟「小桜、この住所に飛べるか?」
エリカ「具体的な所はかなり繊細に場所を思い描かないとダメだけど、距離なら近いところまではいけると思うよ!」
轟「頼む!」
エリカ「わかった!行こう!」
エンデヴァー「どこ行くんだ焦凍ォ!!!」
轟「江向通り4-2-10の細道、おまえならすぐ解決出来んだろ?友だちがピンチかもしれねえ」
おまえって…!!それより差出人がいっちゃんで位置情報だけってのが気になる。握った左手に力が入った。
エリカ「ここでかなり近いと思うけど……」
着いた場所に唖然とする。
火事やら建物が壊れていて唖然とした。もうあの連絡が何かあるとしか思えない……
轟「手分けして探…」
「ヒーローのおねえちゃん……!!」
エリカ「え……?」
スカートの裾を掴まれ振り向くと小さな男の子がいて、目に涙をいっぱい溜めていた。
エリカ「……轟くん、いっちゃんをお願い」
轟「!、小桜は……」
エリカ「どうしたの?」
気がつけば、それはごく自然に
「ママが……ママが僕を庇って……!」
この言葉が、私をヒーローにしてくれた
エリカ「大丈夫。私に任せて!」
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あの子のお母さんは無事に見つかって、私は少年の笑顔を一生忘れることはないだろう。だから、きっと浮かれていたのだ。
この状況をみるまでは……
エリカ「ハァ、ハァハァ……」
この凄い速さで移動してるのが
いっちゃんなんだと思う。
急がないと……嫌な予感がする…!
途端に大きな音がして向かって行く。
この細道で間違いない!
エリカ「轟く……!?」
轟「小桜か。遅かっ…」
エリカ「怪我してる!!え!いっちゃん!?飯田くん!?血が……」
緑谷「エリカさん……」
何て光景……
みんなボロボロで血を流していて……
轟「おまえも腕怪我してるぞ」
エリカ「私は軽症だからいいのっ!!それより……」
「何故おまえがここに!!」
緑谷「グラントリノ!!!」
エリカ「うおっ、すごい蹴り」
彼はいっちゃんの職場体験先のヒーローで、背負われてるいっちゃんの顔面を蹴った。
そしてエンデヴァーから応援要請があったようで、ゾロゾロと人が集まり賑やかになる。
飯田「二人とも…僕のせいで傷を負わせた。本当に済まなかった…何も…見えなく…なってしまっていた……!」
いっちゃんはずっと飯田くんの事を気にしていたんだね。そして轟くんも……
轟「しっかりしろよ。委員長だろ」
エリカ「ふふっ、みんな無事で良かった」
緑谷「エリカさんは何と戦ってたの?」
エリカ「少年のお母さんがヴィランに捕まって……」
「伏せろ!!」
一瞬の出来事だった。
ヴィランがいっちゃんを捕まえて空を飛ぶと、ヒーロー殺しが向かってヴィランを殺した。
エンデヴァーが到着し向かって行く。
「俺を殺していいのは本物の英雄だけだ!!」
エリカ「っ……!」
ヒーロー殺しの気迫に誰も動けなかった。
To be continued......
2018.11.29