入学編
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風花「え!雄英受験する!?」
エリカ「うん」
3.勉強×勉強
風花「なんで急に決心ついたん?」
廊下を歩きながら不思議そうに問う。
エリカ「幼馴染に死ぬ気で勉強しろや!って言われて目が覚めたの」
風花「(それほんまに幼馴染?)」
疑問もなんのその、エリカは携帯を眺めて、わーかっちゃん載ってるー。と呑気に見つめている。
どれどれ、と風花も覗き込む。
風花「イケメン!」
エリカ「え?」
よくわからないけど、風花のお眼鏡に適ったみたい。
風花「そういえばラブレター貰ったんやって?隣のクラスの田口君に」
エリカ「え?田口君って野球部の?」
風花「金曜日に出したって聞いたけど……。隣のクラスでは噂になってんで!」
エリカ「あー……そうなの」
ここでまさかの差出人を知る。
風花「……で、どうすんの?」
エリカ「風花!」
風花「な、なんや突然!」
エリカ「そういうのにかまけてる余裕はないのだよ」
風花「お、おう?」
エリカ「あ、私進路指導室に行ってくるね!」
進路決まったもんな、と風花が送り出す。
風花「あっ、エリカ何か落ちたで」
もしかしてまたラブレター?とワクワクしながら小さな紙切れを拾う。
風花「大変や!エリカ」
真っ青な顔で言った。
風花「脅迫状やで」
エリカ「……え?」
その紙には殴り書きの電話番号と、一言『掛けてこい泣き虫』と書かれていた。
エリカ「……かっちゃん」
風花「って幼馴染かい!!泣き虫って呼ばれてんの!?ほんまに幼馴染なん!?」
エリカ「プルスウルトラー!」
風花「え、何それ。まぁご機嫌やからいっか」
「失礼しますだろ小桜」
私はこの後先生を驚愕させるのであった。
「記念受験だよな?なっ!?」
エリカ「プルスウルトラ!!」
部活帰り、私は携帯を取り出しぼんやりと見つめていた。
かっちゃんのメモ……電話掛けてこいって事だよね?少なくとも友達だって思ってくれてるのかと嬉しくなった。
あー電話、かけていいんだ。
ふわふわした気持ちで家に帰ると、弟に雄英受けるならもっと勉強しろと言われた。
そうだよね、かっちゃんも受験生……
今日は勉強しよう。プルスウルトラだ!!
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風花「エリカー、中間テストどうやったー?」
エリカ「数学以外は何とか……80点取れたかな」
風花は私の成績に驚いている。
この1ヶ月勉強ばかりしていたから……。
それでも数学で躓いていた。
いや、躓きすぎて勉強するのが嫌になったくらい私はボロボロだ。
エリカ「56点……」
中間テストでもこんな感じなのに、模試となると半分以下になるだろう。
雄英の偏差値は79
私はかなり勉強しないと合格できない。かっちゃんのA判定は本当に凄い。
エリカ「あ……」
風花「?」
電話するの忘れてた……!!
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夜、携帯電話の通話ボタンを押すと鳴ってすぐにかっちゃんの声が聞こえた。
エリカ「あ、かっちゃん?私エリカ……」
『てめェ掛けてくんのが遅えんだよ!!1ヶ月経ってんじゃねえかこの泣き虫!!』
スピーカーにしてたのかと思うくらいの声量で思わず携帯と耳を離してしまう。わー、耳キーンってなってる。
『聞いてンのか泣き虫!おい!』
エリカ「聞いてます、ごめんなさい、勉強と部活を頑張っておりました」
『ちったぁ頭良くなったかよ』
そんな簡単に頭良くなったら苦労はしない
まぁ全科目+30点ずつは上がったけど、元が悪いから言い出せない。
『あの腑抜けはどうした?』
エリカ「ふぬけ?」
『ああ?』
分からないのかと苛立った声だ。
もしかして前に言ってた「うつつ抜かしてんじゃねー」の事かな?
エリカ「手紙の事なら断ったよ?」
検討違いなら恥ずかしい為、恐る恐る答えた。すると返ってきたのはそーかよの一言だけだったので合ってたのかな……?
『LINEのID教えろ』
確かに今はそっちの方が連絡はとりやすい。私は嬉しくて口頭でIDを伝えた。
すると一瞬で友達に追加されて口元が緩む。
『ヘラヘラ笑ってんじゃねーよ!俺の返事は1分以内で返せ!』
エリカ「がんばる。ふふっ」
『笑ってんじゃねえぞ!!』
エリカ「また、かっちゃんの所に行けたらいいのにねぇ」
『はぁ!?もう来んなっつーの』
エリカ「2人して寝ちゃって面白かったね」
パシャパシャとシャッターの音で目が覚めた。かっちゃんは寝起き1番に何してんだクソババアって凄い顔してたっけ。もう懐かしいよ。
そういえばこのメモはいつ入れたんかな?
……まぁいいや。
エリカ「また連絡するね?」
『勝手にしろや』
エリカ「勝手にしますー。」
じゃあなと電話が切れる。きっとかっちゃんも勉強頑張ってるんだと思うと、私も頑張れる気がした。
できれば2人で言いたいよ。
プルスウルトラー!!ってね。
風花「エリカー、模試の結果どうやった?」
エリカ「何とかCまで上がった」
クラス中が明暗を分けるこの結果に、3年生はじめての模試でEからCに上がった私。
何とか首の皮1枚繋がってるような感じだ。
最近では先生も「お前はプルスウルトラしかない、突き進め」なんていう始末。落ちたら殺されるみたいだからホントに突き進むしかないのだ。ネオプルスウルトラや!
風花「ウチも士傑高校第1希望にしてん。なんやエリカ見とったらウチも頑張ろう思って」
エリカ「風花……!」
風花「まぁウチはB判定やけどな!近いし」
エリカ「合格圏内やんか……!」
いや、人は人、私は私や!
それにしても風花は毎回10位以内に入る秀才やのにB判定なんて、士傑高校も凄い……
37位の私はもっともっと頑張らないと!
部活も引退したし、夏休みも有意義に過ごそう。
風花「それより幼馴染はどうなったん?」
エリカ「……そういえばあれから連絡はない、かな」
あの電話した日以来連絡はなかった。
1分以内と言われて笑っていたけど、来ないからこんな理不尽な約束も守れてしまっている。
模試の結果を報告しようか?と考えていた矢先、携帯がピロンと音を立てる。
はっ!と慌てて取り出すとLINEだ。
かっちゃん……!
エリカ「1分以内……!」
『C』
『判定』
『なった』
風花「え?なんのゲーム?」
エリカ「1分以内ゲーム?」
早く返事をと思い、バラバラに送ったLINE。絵文字もくそもない。
するとまた携帯が鳴った。
『バカか、普通に返せ』
1分以内って言ったじゃん
理不尽?これ、理不尽って奴だよ!
もー!1分以内に送ったのに私が負けたみたいじゃんか!とプンスカしていると風花に肩を持たれた。
風花「エリカ、プルスウルトラやで!」
エリカ「…………」
使い方違う、それ
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エリカ「寒い……」
もうすぐ今年も終わりに近づいている。受験生に正月もくそもないなんて誰が言ったかわからないけど、私もそんな感じだ。
今は気分転換にコンビニへ。
大好きな甘い物が食べたくて仕方ない。その時ばかりは気分が晴れるのだ。
晴れるといえば、直前の模試でやっとB判定まできた。
かっちゃんに連絡すると『おめーならやれんだろ』と返ってきたて、奇跡だ!かっちゃんが褒めてくれるなんて!と思っていたけど、その後に泣き虫と書かれていたのに気が付いた。
ただいまー、と帰るとちょうど大晦日のテレビ番組がやっていた。
買ってきた雪雪大福を見て弟がこんな寒いのにアイス!とバカにしたけど、好物だし、心は暖かいのだ。
エリカ「あ、雪だ……!」
窓の外には雪が降っている。
私は徐に携帯を取り出して『雪だよ!』と送ると『ガキかよ』と返ってきた。
返事早いな。今何してるんだろう?
そんな事が浮かんできた矢先、携帯がぶるぶる震えだす。
そこには爆豪勝己と表示されていた。
エリカ「あ……え!かっちゃん?」
思わず声が出た。電話なんていつぶりだろう……!少し緊張しながら通話ボタンを押した。
『こっちは雪降ってねえぞ』
エリカ「ほうらんだー」
……しまった。アイス食べながら返事してしまった。すっかり罵倒される!と思った私は身構えたけど、聞こえてきたのは耳を疑うようなものだった。
『なっ、んだよそれ……っ』
あのかっちゃんが笑っている。
私はびっくりしてアイスを落としたのだった。
エリカ「今度アイス奢ってよね!」
どうやら私は調子に乗ったみたいで、『自分で買えや!』といつものように返ってきた。
そう言われながらもニヤニヤしてしまうのはさっきの笑い声のせいだろう。
エリカ「あ、もうすぐね合格した時の家の下見に行くの。その時会えないかな?」
……あれ、返事がない。
もしかすると会いたいのは私だけかもしれない。
携帯の受話口に集中すると数秒空いて返事がきた。
『連絡しろや』
エリカ「っ、うん!連絡するね!」
じゃーなと切れた携帯を見つめる。
かっちゃんも声聞きたかったんかなぁ、なんて言ったら調子乗んじゃねえ!って怒られそうだけど……。
エリカ「(そう思ってくれてたら嬉しいな)」
To be continued......
2018.09.28