入学編
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「え!?エリカちゃん!!?」
エリカ「光己さん、ご無沙汰しております」
爆豪「…………」
2.お邪魔します
エリカ「えっと、お、お邪魔します」
行く宛も、帰る宛も…戻れる宛もなく。
舌打ちと共に「とりあえず家来いや」と言ってくれたかっちゃんに甘えて着いてきた。
小さい頃は何とも思わなかったけど、改めてみると大きな家で入るだけでも緊張する……。
「エリカちゃん随分可愛くなって!どこのお嬢さんだと思ったわー!」
奥の方からおじさんもエリカちゃん!?と顔を覗かせる。
わぁぁ、何だか夕飯時に申し訳ない。
「座って座って!……ってあれ、エリカちゃん足怪我してる!」
エリカ「あ……たぶん裸足だったから」
「勝己!!!アンタ何してるの!!」
言いかけたら瞬く間にバシッと殴られたかっちゃん。
ええええ!光己さんこんな感じだっけ!?私にはもっと優しい感じで……
爆豪「ああ!?なんだよババア!!」
おじさんもエリカちゃんの前だしとオロオロしてるけど、全然聞き入れて貰えてない。
「エリカちゃんに怪我をさせて!!アンタ男でしょ!!背負って歩くくらいしなさい!!!」
わっ、完全に勘違いしてる。
爆豪「背負ったわ!!コイツが勝手に怪我したんだろーが!」
今度は光己さんの目が開いて、ニタニタとした表情に変わった。
「(背負ったんだ……)」
「(背負ったんだな……)」
爆豪「んだよコラ!!そんな目で見んじゃねえよ!!」
エリカ「あああ、わ、私が話しますー!私、急にこっちに飛んできちゃって……」
「飛んで?」
空を飛ぶ個性か何か?と不思議そうにしている。
エリカ「いえ、私の個性は……」
そう言い指を1本、口につける。
『シュッ』っと音を立ててかっちゃんの後ろに移動した。
これにはみんな驚いたらしく、ギョッとしている。
エリカ「私の個性は"瞬間移動"です」
私はリビングでここまでの経緯を話した。
ニュースをみて居ても立っても居られなかった事。
気がついたらここに…商店街にいた事。
裸足でたくさん走ってかっちゃんに出会った事。
……財布の中に500円しか入ってない事。
かっちゃんはときどきバカだろと言いながらも、一緒に話を聞いていた。
全部を聞いたおばさんが実家に連絡をとってくれた。
電話中、「懐かしいわね!」あはははと笑い声が響き渡る。
あぁ、私ここに居たんだなぁ……
爆豪「個性使って戻れねーのかよ」
エリカ「近くの距離なら問題なく移動できるけど、ここまでの距離は初めてでどうやって戻ればいいのか……」
それに個性ってむやみに使うといけないからってのもあるけど、私はまだ使いこなせていない気がするなと呟けばかっちゃんに睨まれた。
あれ、怒ってる?
爆豪「そんな勿体ねえ個性使えや!」
エリカ「いや、遅刻しそうな時とかはこっそりと……だから近距離は大丈夫!」
こんな事ドヤ顔で言うことじゃないと思うんだけど、勢いに任せて言ってしまった。恥ずかしい……
かっちゃんは舌打ちをして2階に上がろうと席を立つ。
エリカ「ありがとう、かっちゃん」
爆豪「…………」
無言でスタスタと2階に上がるかっちゃんを見つめていた。
今日はあの広い背中に助けられたな……。
「エリカちゃーん、もう遅いから今日はうちに泊まっていきなー!」
『ゴンッ』
あ、上で凄い音したけど大丈夫かな……
エリカ「すみません、ご迷惑をおかけして」
私の親は明日迎えにきてくれるらしい。
よかった学校休みで……
「ふふっ、いいのよ!勝己には悪ささせないし、ゆっくりしていって!」
爆豪「悪さってなんだよ!」
部屋着に着替えたかっちゃんが降りてきた。
おばさんは楽しそうに何かをくるくると回した。
「エリカちゃんに何かしたら……アンタ許さないからね」
わっ振り回してるのって包丁……
「あ、何か落としたよ?」
エリカ「え?……あ!」
夕食後、光己さんが何か紙を拾い上げる。お腹いっぱいいただいてぼんやりと見ていたけど、ハッとした。
もしかして模試が!?
こんな家族団欒としてる所に(かっちゃんとおじさんはソファー)凍りつかせるようなモノが!?
「これって……」
エリカ「わああああ!」
爆豪「うるせえ泣き虫」
「ラブレター!!!エリカちゃん凄い!!」
エリカ「え……?」
よくわからなくて覗き込むと、読むのもめんどくさそうな長文の手紙が……。
一体どこに入ってたというのだ。
「なになに……拝啓小桜エリカ様。突然のお手紙すみません、僕は1年の時から貴女が好きでした。面と向かって話せる自信がないのでこうしてお手紙で失礼致します。貴女の好きな所を挙げるとーーーーー」
エリカ「(めっちゃ長い)」
「ーー今度返事を聞かせてください。だって!!やるじゃんエリカちゃん!!」
…………
名前書いてなかった!
「エリカちゃんどうするの!?」
エリカ「どうするも何も……」
爆豪「チッ、くだらねえ」
スタスタと2階に行ってしまうかっちゃん。私が家に来てから機嫌悪い気がする……。明日ちゃんと謝ろう。
「きっと勝己、エリカちゃんが凄く可愛くなったから驚いてるのよー。ごめんなさいねー。あ、エリカちゃんはこっちの部屋で寝てね?」
客間に通されて、ありがとうございますと頭を下げた。
今日はいろいろあったな……。
私もだけど、かっちゃんも。
怖く、なかったかな。
エリカ「(眠れない……)」
爆豪「(……眠れねえ)」
ドアを開けるとちょうどエリカもひょっこりと顔を出した。
エリカ「……そっち行ってい?」
爆豪「……は?」
赤目の三白眼が大きく開いた。
1人だと落ち着かなくてと毛布を被るエリカに舌打ちをする。
エリカ「(これは大丈夫って事かな……?)」
廊下を歩く音がギジリと鳴った。
爆豪「俺ァ飲みモンとってくる。部屋汚すんじゃねえぞ」
エリカ「う、うん」
開いてるドアから部屋を覗く。
エリカ「…………」
めっちゃ綺麗!
とりあえずベッドを背もたれに床に座った。
戻ってきた彼の手にコップが2つあるのを確認して、エリカは笑顔で迎えた。
爆豪「俺は雄英に行く」
カランと音を立ててコップが揺れた。
エリカ「…………(今日、はじめて目が合った)」
かっちゃんならそうするだろう、とエリカも思っていた。
1番憧れているヒーローの母校だもんね……。
爆豪「おめーは……」
そばにあったクッションを握りしめる。
そう言えばかっちゃんは昔からソツなく何でもこなすタイプ。
エリカ「…………」
私は……
爆豪「おめーも、雄英に来い」
エリカ「!!」
オールマイトのフィギュアが光って見える。ううん、それだけじゃない。
目の前の道が……モヤモヤしていた心に光が差していく。
エリカ「私も、雄英に行く」
言葉に出したらスッキリした。
かっちゃんがうっすらと笑った気がしたけど、安心したのか急に眠くなって……
爆豪「(眠ィ……)」
そこからの記憶はあまりない。
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次の日の朝
「エリカちゃん?あれ、どこ行ったのかしら……まさか!!」
そのあとおばさんがかっちゃんの部屋を開けて見たもの
「あはははは!アンター!カメラ持ってきてー!」
エリカ「すー……すー……」
爆豪「ZZZ……」
ベッドに背を預け2人寄り添って眠ってる2人だった。
爆豪「模試がE判定ってどういう事だよテメェ!!!」
エリカ「いや、あ、あの……言い返す言葉もございません」
朝食をいただいて、帰るために鞄を整理してたら見つかってしまった。
なぜかリビングで正座してる私と仁王立ちしているかっちゃんというよくわからない絵面になってる。
ソファーすら……高い
爆豪「死ぬ気で勉強しろや!!」
エリカ「ううっ、そうします……」
かっちゃんはどうなの!?と反抗したら、A判定だ文句あるんか!?と返ってきて私はただただ小さくなっていった。
もう穴があったら入りたい
爆豪「こんなモンにうつつ抜かしてるからだ!!」
どんなもんだと思って見上げると昨日の紙き……いや、ラブレターが
『BOOM!!』
……バラバラに砕け散っていった。
「勝己!!アンタ何してるの!!」
『ピンポーン』
きっと母が来たのだろう。
玄関先で楽しそうに会話が弾む声がする。
エリカ「かっちゃん、次会うのは入試の時かな」
爆豪「…………落ちたら殺す」
エリカ「…………」
その時は個性使って全力で逃げようと思った。
エリカ「じゃあね、かっちゃん。ありがとう」
爆豪「…………」
私は光己さんにお礼を言って家を出た。駅に向かう途中、懐かしくて見渡しながら歩いていると心が暖かくなっていく。
エリカ「お母さん、私……雄英高校受験したいの」
To be continued......
2018.09.27