真由美「よし、勝った！次の対戦は……」



試合に付き合う真由美は6-0と快勝した恵利華をコートに残し、次の対戦表を確認する。

メモを取り、コートへ向かうと甲斐甲斐しく世話をする和樹の姿が見え、数人のSPも同行している。



真由美「脱走なんてしないのに…」



その光景をフェンスにもたれてボンヤリしている真由美は、試合時間を逆算してアップの時間をメモに記していた。



真由美「（懐かしいな……氷帝のみんなともこうやって…）」



コートを見つめるとあの時の光景が目に浮かぶ。
すると、ガシャンと背中のフェンスから体重がかかって目を丸くした。

誰かが同じようにフェンスに背中を預けたのだ。

真由美は相手を確認しようと振り返ろうとしたが聞き覚えのある声に静止された。



「そのままで聞いて、真由美」



真由美「ゆ…！！」



ポロポロと涙が溢れてくる。
その低く心地の良い声に何度安心し、励まされただろうか。
止めようとしても止まらない。



「今日姫さんの試合がある事は跡部から聞いて代わりに俺が来た。アイツは目立つからな」



真由美が以前記した世界一までの試合スケジュールを跡部は覚えていた。



忍足「俺たちは何とかやっとる。来月U-17の選抜合宿もあってな……、あまり長居すると姫さんのSPにバレるから……ほんまは顔がみたいんやけど」



真由美「……っ、真由美も……あのね、真由美は一言だけ」



忍足「……なんや？」



真由美「真由美……信じてるから」



忍足「ハハッ、ありがとうな。」



ふわっと離れた背中に真由美は涙を拭った。



真由美「（強く…なる）」



振り返らず恵利華に駆け寄る真由美。忍足もまた歩き出した。



忍足「（顔見て気持ち伝えたいねん、堪忍な真由美）」








恵利華「真由美、林檎のように顔が赤いけど大丈夫？」



真由美「だい、じょうぶ！！次も全力で応援するから！」




To be continued......
2019.01.06