和恵「……朝…」



カーテンを開けると太陽の光が降り注ぐ。約30畳の部屋にはダブルサイズの天蓋ベッドと木製の勉強机、ドレッサーに綺麗にかけられた制服が置かれていた。


部屋から出ようとドアに手をかけると何かに突っかかる。



和恵「……何してんの？」



それが奈央だとわかったのは、綺麗な青い髪が目に入ったからだ。



和恵「まるで青空だ」



階段を上ってくる音が聞こえて、隙間から覗くとソフィアの姿が見えた。



ソフィア「昨日からずっとそこにいらしたんですよ」



和恵「そう……」



ソフィアは軽やかに奈央を持ち上げて失礼しますね、と和恵の部屋へと入っていく。



ソフィア「どこかにお出かけですか？」



奈央をベッドへ寝かすと、布団をかけて和恵に向き合った。



和恵「空が見たいなと思ったんだけど、みれたからいいかなって」



ソフィア「ふふっ、何か飲み物を用意しますね」



和恵「あれがいい。いつものオレンジの……」



優しい笑顔で微笑むソフィアに目を細める和恵。

そのままドレッサーを向くと少し目が腫れている。

悲しかったんだと自分の気持ちを受け止めた。



ソフィア「和恵様、お待たせ……あれ、お出かけですか？」



和恵「……撮影あるの忘れてた。紅茶一口もらうね」



さっきからうるさいくらいになっている携帯を手に取ると、今から行くからと怪訝そうな声で返事をした。



ソフィア「……行ってらっしゃいませ」



和恵「うん。夜までには帰るから」



バタンとドアが閉まる音がする。



奈央「……自分の足で立ったな、和恵」



ソフィア「はい……」



奈央「大丈夫じゃけん。和恵が自分で決めた事じゃ」






『和恵、仕事に穴開けたらわかってんだろうな！お前の執事を…』



和恵「開けないって言ってるでしょ！ソフィアに手を出したら許さんから」





ソフィア「…………」