「「「氷帝！氷帝！氷帝！」」」



恵利華「！」


「「勝つのは氷帝！


　負けるの青学！」」



真由美「あ……相変わらずだね」


忍足「せやな」


少し引き気味の真由美は、いまだに忍足の上着を羽織っていた。


恵利華「私、この応援の仕方好きじゃないな」


不機嫌オーラ全開の恵利華に、跡部と和恵が気づいた。


「「跡部様ー！」」


和恵「（応援の仕方もいつも通りだし、跡部の取り巻きなんていつも気にしてないのに……）」


「「キャァアアア！！」」


跡部「うるせえ！！」


跡部の言葉に静まり返った会場内。


恵利華「どうしたの？」



跡部「これが……この試合がこのメンバーで過ごせる最後の試合だ。」


奈央「そう……じゃね。勝っても負けても、これで今日でウチ達は引退じゃけぇ」



日吉「…………」

樺地「…………」


奈央の言葉に俯く2年生。
鳳は涙をこらえているようにも見える。


奈央「そしてウチ達はどうなるんじゃろな」


宍戸「あ？お前……何言って……」


和恵「うちらは何の為にここに来たのか、よ」


鳳「何の為にって……そりゃあ……！」


忍足「……なる程な」


真由美「侑士くん……？」


忍足「お嬢さんらが俺達を強くする為だけにここに来たんなら……」


真由美「来たんならって………どういう……えぇ！？」


和恵「やっぱり真由美は気がついてなかった～」


真由美「だって……！だって私達はここに居て……学校だって変わって……！！」


奈央「ウチはともかく、3人は家も立派で将来だって家業もあるし」


和恵「用がすんだらバイバイかもよ？第一、うちらがここに来たのが不思議で仕方ないしね～」


真由美「……そ……そんなの嫌だよぉ！！うぅ…ﾋｯｸ……」


奈央「い……いや！ウチらはもしかしたらって思っただけじゃし！わかんないし！」


和恵「そそそそうだって！あくまで可能性の話だし！それに、理由があれば安心できるんだけど……ちょっと不安になったって言うかその……うちらマイナス思考だし」


真由美「ﾋｯｸ…ﾋｯｸ……」


和恵「だぁあ！もうっ！忍足！どうにかしろ！」


忍足「俺かい」


奈央「うわぁ…どこかで聞いた事のある台詞じゃけぇ……」


奈央、ジャッカルを凝視。


忍足「真由美ちゃん、大丈夫か……？」


真由美「いや…だよぉ…ﾋｯｸ……」


俯く真由美に、笑いかける忍足。


忍足「手、繋いどくさかい。絶対大丈夫やから」


真由美「！」


奈央「誰もイチャつけなんて言ってないけどね！」


忍足「せやかてな……」


真由美「（これで…大丈夫なのかな……この手を離さなければ……）」


忍足「！」


恵利華「真由美っ」


真由美「恵利華……」


まだ不安そうな真由美の顔をみて、恵利華がニッコリと笑った。


恵利華「その『理由』景吾くんが見つけてくれるよ！そうでしょう？」


跡部は一瞬驚いた顔をしたが、すぐにいつもの顔に戻り「当たり前だ」と呟いた。