66.前夜
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【教会】
鳳「…………」
俺は何かある度にここへ来る。
ここに来れば自然と心が落ち着くのは勿論だけど
やっぱり出来る事は全部したい。
たとえ根拠のない、神への祈りでも。
『ガチャ』
カツカツカツと、誰かが入ってくる。
宍戸「この期に及んで神頼みか?長太郎」
鳳「宍戸さん」
意外な人物の登場に少し戸惑うけれど、帽子を取り俺が先程みていた方をまじまじとみる宍戸さんに来たことあるのかな?なんて思う。
宍戸「俺はクリスチャンじゃねーし、神頼みってのはあまり好きじゃねー」
鳳「では、なぜここへ?」
宍戸「気まぐれかな」
像を見上げる宍戸さんにらしいな、なんて笑みが溢れる。
気まぐれうん、ピッタリだ。
宍戸「もし仮によ、神様が居るなら、俺は礼を言わないといけねぇ」
鳳「4人に出会えた事に、ですよね」
間髪入れずにそう言うと、少し照れている宍戸さんの顔。
誰かの顔が浮かんでるはずなんだけどそういう雰囲気になっては顔を背ける2人だから……これからどうなっていくんだか。
宍戸「まぁ、な」
きっとハッピーエンドになると思うけど……
もう少し見守っていたいけど、先輩達は明日でいなくなる。
鳳「宍戸さん、俺とダブルスを組んでくれてありがとうございます」
宍戸「な、なんだよ急に」
鳳「言えてなかったんで。」
照れているのか目を合わせようとしない宍戸さんに、あぁいつもの事だなと安堵する。
「やってるかぁあい!」
鳳「噂をすればですね」
一気に賑やかになるこの雰囲気もいつも通り。
例えここが教会でもこの空気が好きだなんて、俺もすっかり変わったな。
和恵「こんな所でもしかして2人で愛を誓ってたりして」
鳳「まぁ、そんな感じですね」
和恵さんの驚いた顔、久しぶりに見たな。
宍戸「愛ってなんだよ!それより、なんでお前らがここに……」
奈央「気まぐれかな♪ぷぷっ」
ウチが亮の真似をして、ニコニコとブイサインをするとため息をひとつ落とした。
宍戸「ったく」
奈央「ウチお礼を言わないと」
宍戸「何をだよ?」
奈央「こっちにきて、楽しい事ばかりだしっぱり、みんなと出会えた事にかな♪」
宍戸「それも聞いてたのかよ」
照れ臭そうに驚く亮をみてると面白い!
でもあまりからかい過ぎると帽子を深くかぶってしまうから要注意じゃ。
そうされると、まるで太陽を遮断されてる気分になる。それはそれで悲しいものがあるからね!
奈央「あれ?2人は?」
宍戸「!?」
亮と楽しく話してると、いつの間にか2人になってしまって
奈央「愛でも誓い合う?」
ウチの言葉に耳まで真っ赤にする亮を横目に、なんかまずい事でも言ったかな?と頭を掻く。
あれ、教会って何するところだっけ?えーっと……
奈央「試合勝ちたいですー……は神社のような?いや、もう何でもいいけぇ!明日もみんなで笑ってられますように!」
パンパンと手を合わせれば横から笑い声が聞こえてきて
宍戸「俺もやっとくか」
きっと和恵には呆れられたかもだけど、亮とは何かこう……
奈央「(言葉にできん感情がたまにやってくるわけで)」
それを言葉にしなくちゃいけない時が来るなんて、中学3年生のウチには想像もつかない事じゃけど……
奈央「(きっと、そう遠くない未来)」