66.前夜
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真由美「来てしまった」
最近、侑士くんの様子がおかしくて……
無人島合宿まではお話も沢山出来て、楽しかったんだけどいつからかな?
私が侑士くんは恵利華が好きなんだって言ってからかな?
菜々子さんと出会ってから?
真由美「(わからない……)」
避けられてるのかな?と思ったりもしたけれど、ダブルス誘ってくれたり、合宿最終日には朝方まで一緒にテニスしたり。
やっぱり一緒にいるのは楽しいし、横を歩いてるとドキドキしっぱなしで、たまに苦しいくらいで
真由美「(私の気持ちが重すぎる!?)」
今だって、侑士くんの家の前に来てるしストーカーって言われても仕方ない!!
周りをキョロキョロと見ても、もう夜に近いし人通りも少なくて……
うん、落ち着こう。
ここに来たのは侑士くんの表情が気になって……
解散の時、何だかぼんやりとしていて心配で……
真由美「ストーカーじゃ、ないもん。……うん」
開き直ってはみたものの、家のチャイムを鳴らせない私はやっぱりストーカーと言われても仕方ないかもしれない。
真由美「素敵なお家だな」
明かりついたし、もう侑士くんは出てこないかもしれない。
真由美「(帰ろうかな)」
帰っても恵利華は跡部の車に乗ったし、奈央や和恵もどこかへ行ったからいないだろうけど。
真由美「侑士くん大丈夫、だよね?」
チャイムを鳴らせない私は帰……
『ガチャ』
真由美「っ!?」
「やめて」
忍足「!」
「旋律が乱れてるわ。侑士くんらしくもない。」
忍足「先生、今日は終わるわ。なんや気分が乗らんのでな」
バイオリンをしまい、眼鏡をかけ直すと先生は不思議そうに俺を見た。
「珍しいわね。冷静沈着な侑士くんでも、心を乱す事があるのね。」
珍しい?
最近はそうでもないで。
自分の気持ちに気付いたけど、やっぱり親友の好きな人ってのが引っかかってどうもブレーキがかかる。
「今日は帰るわ。明日試合、頑張ってね」
忍足「すまんかったな」
先生が部屋から出て行って、夕暮れが目に入る。
忍足「(なんや、絵に描いたような夕暮れやな。)」
吸い寄せられるかのように窓でぼんやりと眺めていたら、下から微かに声が聞こえる。
忍足「(オカンと先生?いや、ちゃうこの声は……)」
聞き覚えのある声に、俺は急いで玄関まで向かった。
「わ、私侑士くんとは何ともなくてただのマネージャーで……」
忍足「!天ちゃん何でここに」
そこにおったのは天ちゃんと先生。
天ちゃんが涙目なのは気のせいじゃ……
真由美「わ、私彼女さんいるの、知らなくて侑士くん、様子がおかしかったからっ、ご、ごめんねっ」
忍足「ま、待っ!」
先生がまるでツチノコでも見つけたかの様な顔をして俺を見とるのを背中に感じたけど……
振り返って挨拶をする余裕なんてない。
岳人がみたら笑うか?
練習でもこない必死にダッシュした事ない。
今やったら和恵ちゃんよりも速く走れてる気がするで
忍足「天ちゃ…待って」
真由美「っ!」
腕を掴むと俺よりずっとずっと細い腕
忍足「先生、やねん……バイオリンの」
真由美「え、あ……」
この後真っ赤になった天ちゃんの腕を離したくないって強く思ったんは、岳人には内緒の話や。