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試合が終わり、手塚と不二が何かを話している。


不二「手塚、後ろ」


手塚「何だ？越前。」


越前「いつか言いましたよね。青学の柱になれって……」


手塚「それがどうした」


越前「奪い取るっス…アンタから奪い取ります。青学の柱って奴を！」


手塚「………。」


不二「ふふふっ…」


越前「そーいや、言い忘れてる事が一つありました。

お帰りなさ―い………部長！」


言い終えて、くるりと方向転換をする。


越前「アンタ......」


恵利華「奪い取るって......柱はとっても重いよ？」


越前「アンタに……関係ないじゃん」


恵利華「そうだね」


今度は恵利華が方向を変える。


越前「アンタさ、こんな所に居ていいわけ？」


恵利華「えっと、私はたまたまお手洗いに……」


越前「そうじゃなくて」


恵利華「？」


越前「日本に居てもいいのかって意味だけど…。」


恵利華「……！」


越前「アンタさ、ここに居る誰よりも強いよね？……認めたくないけど。上に行くって言ってるけど、実はさもう頂上に居るんじゃない？」



恵利華「うーん……。」


否定はしない。

―――出来ない。


恵利華「ねぇ、」


越前「なに？」


恵利華「テニスより大事なものってあるのかな？」


越前「あるんじゃない？

……空気とか」


恵利華「空気……」


越前にとってはそのレベルなのだ。


恵利華「そうよね。ご飯とか……」


それは恵利華にとっても同じ事。


越前「それよりさ、なんで試合本気出さないわけ？」


恵利華「手を抜いてないんじゃないわ。まぁ確かに…

…本気と手を抜かないって違うけど。」


なんで私が本気で試合しないってわかったんだろう…と首を傾げた。


越前「わかるから」


うーん、と唸る恵利華。
やがて、まぁ今貴方と戦うわけじゃないし……と呟いた。


恵利華「私、本気出すと……しばらく動けなくなるんだよね。」


越前「え？」


恵利華「詳しくは話せないわ。まぁ知りたかったら出させてみて」


越前「にゃろー……」


恵利華「あ、さっきの答え......なんでここ（日本）に居るんだ、だっけ？」


越前「へぇー理由があるんだ。」


恵利華「ふふっ、でなきゃここにいないわよ」


越前「へぇー。案外、跡部さんと離れたくない。とか？」


恵利華「………」


越前「否定しないんだ」


恵利華「強さだけじゃ足りたいものって、ここにあると思わない？」


越前「強さだけじゃ足りないもの……」


恵利華「恐らく、根拠のない事かもしれないけど、そう思うの」


越前「へぇー。また今度、試合してよね。俺と」


恵利華「ええ、いつかね」


越前「今度は負けないから」


恵利華「楽しみにしてるわ」


帽子を深く被り直す越前。そして......


越前「そろそろ出てきたら？跡部さん」


跡部「越前、そろそろ恵利華を返してもらうぜ」


恵利華「あら？いつの間にこんな時間に」


越前「キングがわざわざお手洗いまで迎えに来たんだ」


跡部「アーン？恵利華を1人で歩かせるわけにはいかねぇからな」


越前「（ラケット持ってたら大丈夫だと思うけど）」


口には出せない越前。


恵利華「竜崎先生に伝えといて。」


越前「……なんて？」


恵利華「氷帝は、負けないから」


跡部「ハァーッハッハッハッ！言うじゃねーか恵利華。よし、帰るか」


越前「……バカップル」