忍足「真由美ちゃん、ダブルスの事やけど……」



56.鬼と天使




練習中、忍足が汗を拭いながら一息ついてる真由美に話しかけた。ダブルスとは、あの年齢制限なしの男女混合ダブルス大会の事だ。



忍足「これ、プロの選手も出るみたいやで」


真由美「え！そうなの！？」


和恵「（そうなんだー）」


通りすがりの和恵も思わず耳を傾けた。


忍足「その割になんや楽しそうやん」


真由美「だってそれで優勝できたら凄いよね！」


忍足「（優勝する気なんか……いや、）せやな。俺と天ちゃんの最強コンビやからな。優勝もあり得るわ」


向日「なっ！侑士！？」


最強コンビってなんだよ！と向日が駆けつける。


忍足「俺と天ちゃんの内緒や」


真由美「内緒～！」


向日「うっ、クソクソ！」


指を口に当てた真由美が可愛いなんて口が裂けても言えなかった。


奈央「混合ダブルス……ウチも亮と出ようかな」


遠くの方で宍戸のはぁ！？と言う声が聞こえた。


忍足「残念やなー。もうエントリー終わってるわ」


奈央「チッ！それっていつやるの？」


真由美「8月30日だよ」


奈央「へぇー。じゃあみんなで応援に行かなきゃね！和恵も行くじゃろ？」


あぁーと歯切れのない返事をする和恵


和恵「うち、宿題残してるから無理！」


真由美「か、和恵……」


話してると恵利華がラリーから戻ってみんなの輪に入った。


恵利華「奈央、和恵、シンクロは？」


「「………」」