【海側】丘



辻本「裕次郎さん……来てくれるよね……来てください……」


甲斐「俺が何だって」


辻本「ひゃっ！？ちょ、いつの間に！？さては気配を消しましたね？」


甲斐「んな事してねーっての。単にお前が鈍いだけだろ。で和恵に聞いたが、何だよ。話って」


辻本「えっ？あっ……そ、その……」

甲斐「ん？」


辻本「え～とですね、その……」

甲斐「あ、ああ……」



和恵「彩夏、頑張れ…！」

芥川「何の話～？」

恵利華「さぁ？」


跡部「お前ら…」



辻本「裕次郎さんはその……好きな人っているんですか？」

甲斐「な、何っ？」


辻本「ど、どうなんでしょう？」


甲斐「い、今それを言えっていうのか？ここで？」


辻本「あっ、言いたくないならいいです。でも……これだけは心の片隅にでも覚えておいてください。私……裕次郎さんの事が好きです」

甲斐「あっ……」




恵利華「え……」

和恵「(うわ、恵利華固まってるし)」

芥川「好き…？ええぇえ！？」




辻本「うっ………。(気まずい)」

甲斐「くっ……バカ野郎！」

辻本「えっ！」


甲斐「お前が……ありったけの勇気振り絞って告白してんのに……俺は、逃げちまってた……」


辻本「あ、あの……」


甲斐「改めて、お前の最初の質問に答えさせてくれ」


辻本「え？あ、はい……」


甲斐「好きな人はいる」

辻本「……はい」


甲斐「そいつは、底抜けに明るくて、無鉄砲で、怒ると怖くて……それでいて、世界一魅力的な奴だ」

辻本「…………。」


甲斐「お前の事だぜ、辻本」

辻本「……えっ？」



甲斐「俺はお前が好きだ、辻本」

辻本「い……今の言葉…本当ですか？」


甲斐「ああ。俺はお前が大好きなんだよ」


辻本「ほ、本当に……？」


甲斐「沖縄の海に誓って」


辻本「う……嬉しいっ！」



和恵「よかった……」

恵利華「……うん」

芥川「恵利華ちゃん…？どうしたの？」


恵利華「…………。」



甲斐「俺も嬉しいぜ！お前も俺と同じ気持ちだったんだな？」

辻本「は、はい！……でも……」

甲斐「でも……どうした？」


辻本「折角気持ちが通じ合えたのに……離れなきゃならないんですね」


甲斐「あ……そ、そうか……」


辻本「沖縄は……遠いです」


甲斐「……心配すんな」


辻本「え？」


甲斐「毎日メールする。電話もする。こづかい全部、電話代につぎ込む！」

辻本「ゆ、裕次郎さん……」


甲斐「直接会えなくても、顔は見られるし声も聞ける……だから、絶対に大丈夫だ！」


辻本「はい……」


甲斐「お前が好きだって気持ちは、絶対変わらねーから」


辻本「はい……」





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和恵「上手く行ってよかった……。？あれ？恵利華は…？跡部は？」


芥川「恵利華ちゃん、元気なかったＣ～…。跡部がついて行った」


和恵「え……(何事？)」


芥川「跡部がついてるから大丈夫だと思うよ？それよりさ～、和恵ちゃんって……」


和恵「え？うちがどうかした？」


芥川「最近明るくなったよね～」


和恵「え？そ、そう？」


芥川「うん～。俺、笑ってる和恵ちゃんが好きだＣ～」


和恵「えっ？」


芥川「楽しくなくなったら俺に言ってね？なんとかするから！」


和恵「ジロー……ありがとう」



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真由美「(たとえ他の人が好きだったとしても……か)」


忍足「天ちゃん」


真由美「わぁ！？ゆ、侑士くん！」


忍足「お陰様で……吹っ切れたわ」


真由美「あ……えと…」


忍足「前、聞いてくれたやん？伝えとこう思ってな」


真由美「吹っ切れたってその……諦めたって事…？」


忍足「ちょっとちゃうな。」


真由美「………。」


忍足「諦めたとかやのうて……周りみたらそこだけが光ってるんやないと思えてな。真由美ちゃんのおかげやな」


真由美「真由美は何もしてないよ」


忍足「(何も……か)」


真由美「侑士くん？」


忍足「真由美ちゃんやったら、ホンマの天使になれるかもな」


真由美「えっ？」


忍足「ミーティングもあるし、ほな戻……」


真由美「跡部と恵利華……」


忍足「偉い深刻そうやな。気になるんやったら……」


真由美「行こう、侑士くん」

忍足「！」