「ok、are the preparations good?」



司会者の声に皆、ワァーっと会場が盛り上がり、歓声が上がる



「さぁ、第１試合は…」



試合が始まる音と共に、剣を交える音がし始める



そんな中、出番待ちのシアは少し離れたところで壁に寄りかかり傍観していた



（もう…みんな勝手なんだから）



「よう！うちのお姫様のご機嫌はいかがかな?」



シアの後ろから現れたのはピオニー陛下



上機嫌なピオニーを余所にシアはただ一言



「最低です」



出場を勝手に決められたシアはやや不機嫌な様子



だが、ピオニーは素っ気ないシアの機嫌など関係ないといった様子で自分もシアの隣に来て、同じく壁によりかかった



「お前の実力を見せるいいチャンスだろう?」



「ハァ⋯やっぱりまさかとは思いましたけど、そのためにこの祭りごとを決めましたね？」



「親心ってやつだよ」



「親心ねぇ⋯ホントですか？自分が楽しみたいだけなんじゃないですか～？」



ピオニーは吹き出しながら、シアの肩を叩いて言った



「ほら、そろそろ出番だろ！思いっきり暴れてこい！なんかやらかしても尻拭いは俺達がやってやる」



皇帝の言葉とは思えぬ発言に、一瞬唖然としたシアだったが、すぐに笑って元気よく「あとで後悔しないでくださいよ」とピオニーを指さして、準備をしに選手控え室へと向かった



（ジェイドも陛下も過保護よね。あたしは、別にどう思われても構わないのにさ。まぁ、侮蔑されるのも慣れたとは言わないけど⋯）