陛下のお仕置き後、もちろん皆逃げるように散って行きましたとさ



「もうっ!!みんな何考えてるんでしょうね、ねぇ!大佐?」



「ま、思わせたいように思わせておけばいんじゃありませんか?」



ジェイドの予想外な反応にシアは目を白黒させた



「え…ぁ…。そぅですか?大佐がいいなら…別に…」



「それより、さっきフリングス少将のことをファーストネームで呼んでましたが?」



これまた不意をつかれて、ギクッと若干戸惑いながらも答えた



「や…アスランとは…まぁ、入隊時からよく話す機会があって………癖でつい…」



しどろもどろになるシアをジェイドは表情を一切変えることなくの見ていた



（なんなんでしょう…。このモヤモヤした複雑な感情は…）



「なるほど。私より階級が上のフリングス少将は呼び捨てなのに、私は“大佐”ですか…」



「な、なんですか…いきなり…？」



シアは胸がドキドキするのを抑えながら、必死に平常心を装おうとしていた



「昔は、私のことをお兄ちゃんと呼んだり、ファーストネームで呼んだりしていたのに寂しいですね～」



（自分でも何を言ってるんでしょう……ほんとに…）



「だ、だって…それはもう昔のことじゃないですか！？今は上司と部下ですし、公私混同にならぬようですね…」



平然としているように見えるジェイドと明らかにもう平然など装えてないシア



「フリングス少将も一応はあなたの上官に当たりますが?」



「うﾞ……それは…………あ………た…か……ら」



ジェイドの質問にゴニョゴニョと口ごもる



そんな困ったシアにお構いなしにジェイドは口調をやや強めながら問う



「聞こえませんねぇ。話す時は、ハッキリと!!」



するとシアの顔はみるみる赤く紅潮してゆく



「む、昔、付き合ってた時期があったんですっ!!～～～～～～ｯ！！」



シアは半ばヤケクソで叫ぶように言った



ジェイドは目を見開いて驚いているが、それはどちらかと言うと、シアの言っていることよりも突然の大きな声に驚いていた