「なるほどね。それなら納得だ。あの子が昇進に頷くなんて、おかしいと思ったよ」



「もっと上の仕事も出来る、それ程の実力をもちながらまだ、一般兵でフラフラされては才能の無駄ですからね」



「まぁ、強制ではあったようだが、感謝しているよ。あの子にはもっといろいろな物を見て、経験して欲しいからね…」



ハンプティ中将は窓際で煙草をフカし、外を眺めながらしみじみ答えた



ジェイドはずっと疑問に思っていたことを、父親の彼なら知ってるのではと思い、思い切って聞いてみた



「中将……。なぜ、シアはあれほど昇進を嫌がるのでしょう…?シアには理由は上手くはぐらかされてしまいましてね」



ハンプティ中将は、ジェイドの方は向かず、相変わらず外を眺めたまま、いずれわかる……そう言っただけだった



「……?」



数秒の、沈黙後…



ジェイドの部屋に無骨に戸を叩く音が響いた



「まったく…誰です。開いていますから、どうぞ」



「ハンプティ中将!!!探しましたよ!!どこか行くなら、必ず声を掛けて下さいっていつも言ってるじゃないですか!!」



入ってきたのは…ハンプティ中将つきの補佐官だった



どうやら、黙って抜け出していたようだ



「……やれやれ…こちらもですか…」



「ピオニー陛下もいつもの放浪癖だろ?まぁ、私が言えたギリではないが、頑張りたまえ!ははは!じゃあな。カーティス大佐」



そう言って嵐のように去っていってしまった…



「やれやれ…私も部下と上司を探しに行きますか…」