「おぉ！シアか！それなら今日の初訓練はかなり見物だったぞ」



「というと？」



「指導にローラン・メレク少尉をつけたんだが、アイツとなかなかいい勝負をしてたぞ」



「ほぉ⋯メレク少尉ですか。なるほど。彼なら実力も人柄も文句のつけ所がないですね」



「だろう？俺がちょこちょこ構うわけにもいかねぇからな。そこらへんは信用できるローランに一任してきたよ」



「さすがロヴェル少佐ですね。さて⋯野良猫がどう変わるか見物ですね」



「あぁ、人懐っこい飼い猫になってくれればいいんだけどな。まぁ、野良生活が長いからなかなか時間はかかるだろうな」



「第一師団のお手並み拝見ですね」



「おいおい、プレッシャーかけるなよ」



「いえいえ。とんでもない。ですが、1ヶ月後にある恒例の新人の力量を確認の為の魔物討伐にシア・ハンプティはもちろん採用するんでしょう？」



「⋯まぁ、な。シアはほぼ確定だな。他の奴らも今日の実技見て口を揃えて言ってたからな」



「そこで更に活躍が認められれば、今後の任務にも積極的に採用になるでしょうね」



「そうだな⋯それに関してもほぼ確実だ、な。ただ⋯そうなると⋯目立つ事で周囲と上手くやれるかが、俺として気がかりでな」



「そればっかりは本人次第⋯ですからね」



「まぁ、そうなんだが⋯どうにかはしてやりたいよな。あの試験の日のシアを見てたらほっとけなくてな。贔屓目に見るのは上官としてはダメなのは分かってるんだが⋯参ったな」