「ククッ⋯なんだ、分かってるならいいんだよ」



ローランが楽しそうに笑い、シアの頭にポンッと手を乗せる



シアはなんだかローランに対し、ムズムズした違和感を感じてムッとした様子でローランを見る



するとその視線に気付いてローランはまた可笑しそうに笑って言う



「おぉ？なんだ、ちゃんと感情を顔に出せるんじゃないか。最初に会った時はお人形みたいに感情もなにもないように見えたけど、やっぱり年相応だな。そう怒るなって！俺は安心したんだよ」



「なっ！！べ、別に怒ってません！」



「もっと周りを頼れよ。少なくともここにいる奴らは士官学校の時の大人とは違うからさ」



「⋯⋯⋯⋯⋯⋯」



そう言われてもまだシアは信じきれず、言葉を紡げずにいると痺れを切らしたローランと一緒にいた1人が声を上げる



「おい、ローラン！忘れてると思うから言うけど自己紹介くらいさせろよ」



「あ、忘れてたわ。悪い悪い」




「ったく。えー、じゃあ、俺からな。俺はアキレス・トロイ。ちなみにここにいる奴らはみんな同期で階級は少尉」



「俺はエクス・フラカン。よろしくな、シア」



「ちょっとエクス！なにさりげなくファーストネームで呼んでるのよ！あたしもシアって呼びたい！あ、あたしはリタ・エレクトラ！よろしくね！シア」



「呼び方はお好きにどうぞ」



「じゃあ、俺もシアって呼ばせてもらうよ！」



そうシアが言うとアキレスも人懐っこい笑みをシアに向けてくる



裏表のない彼らにシアは若干戸惑いをみせると何となく察したローランが声をかける



「すぐじゃなくていい。少しずつでも信じてくれれば、それでいいからさ」



「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」



「ね、シア！今日はせっかくの歓迎会なんだから！ほら、これ美味しいわよ！」



そう言いながらリタが串焼きをシアに差し出す



リタから串焼きを差し出されると、一瞬だけ躊躇する素振りを見せるが、シアはそれを受け取ってモグモグと食べ始めた



「よしよし！いっぱいお食べ！ほらっ！プリンもあるよ！」



結局この日はこんな感じでリタに餌付けされ続けたシアだった