「ン⋯⋯う⋯⋯んん」



外から差し込む陽射しがシアの顔に照り付けるとそこで漸く目を覚ます



「うーん⋯？」



「おや？おはようございます。目が覚めましたか？」



ジェイドに聞かれるが寝起きの悪いシアはまだ寝ぼけてるのかボーッとしている



とりあえず記憶がまだ鮮明ではないが、声をかけられたので、返事をしようとするが何故か声が枯れてうまく話せない



「⋯⋯⋯⋯けほっ！」



咳き込むシアにジェイドは水差しを手に取り、グラスに水を入れシアの前に差し出す



そしてグラスを受け取ると、水を一気に飲み干す



冷たい水は寝ぼけた意識を段々と鮮明にしてゆく



「⋯⋯⋯⋯ジェイド⋯今⋯何時ですか？」




「⋯⋯？もうすぐ11時ですね」



「も、もうそんな時間！ま、マズイ！明け方には帰えればギリギリセーフだと思ったのに⋯それもこれもジェイドが悪いのよー！」



「おやおや、どうしました？どこらへんに問題がおありか言ってもらわないと分かりませんね」



この男、ジェイドはいつもの涼し気な笑みを浮かべ、何も分かりませんという顔でシアに聞き返す



だがしかし！あの顔は絶対に分かっている、確信犯である事は間違いはない



あの胡散臭い笑みを見た瞬間シアはそう確信した



そうは思っていても、自分の口から言うのは少々躊躇いが生じたが、あまりにも悔しくて言わずにはいられなかったシアはやはり言うことを選択した



「ぐぅっ⋯しらばっくれるなら言うわよ！意識飛ぶまで何度も何度も朝まで繰り返し⋯⋯抱き潰されれば起きれるわけないじゃなーい！⋯おかげで喉は枯れるし、もうお昼だしー！！」



息継ぎ無しで一気に文句を吐き出したシアはゼェハァ、ゼェハァと肩で息をしている



「ふむ。喉に関してはそれだけ叫べれば十分ですね。とりあえず先にシャワーでも浴びてきてはどうですか？」



せっかくの訴えも虚しくジェイドにはサラリと交わされてしまい、彼一人だけ余裕そうなのがシアは悔しくて仕方なかったが、この状況下では勝てないのは一目瞭然



シアは再び布団の中に潜る



ヤケクソでそのままふて寝でもするのかとジェイドは思ったが、どうやら違うよう



布団の中がもぞもぞ蠢いている



シアが中で何かやっているようだが、ジェイドは何をするのか気になるので、静かに待って様子を見ている



すると布団の中でもぞもぞしていたシアが顔を出し、ベットからほふく前進みたいにして出てくると同時にベットのシーツもズルリと一緒に引きずるように出てくる



シーツを被るようにして出てくるシアにジェイドは少し吹き出してしまいそうになったが、肩をフルフル震わせて笑いを堪えていた



どうやら目も冴えてきて、更には明るい部屋で一糸まとわぬ姿を改めて見られるのが恥ずかしかったシアは身体を隠すためにベットからシーツを剥がしていた



「なっ！わ、笑わないでよ！もー！」



「あぁ、すみません。我慢していたつもりだったんですが、耐えられなかったみたいですね」



くっくっと笑うジェイドの目の前をシアはシーツをその身体に巻き付けるように纏い、床にシーツを引きずりながら、通り過ぎようとした時



シーツがピンッと引っ張られる



「へっ！？」