「ふー美味しかった！ご馳走様！」



「あらあら、ちょっと目を離した隙にいっぱい食べたわねぇシア」



「う⋯だって今日はここに来るまで結構歩いたし、仕方ないでしょ！じゃあ、今日は疲れたからもう部屋に戻るから！」



そう言いながらシアは未だに自分をはさんで左右からぎゃんぎゃんと、言い合いをする双子になんぞ目もくれずに立ち上がる



そして彼ら用に置いてあるお酒の瓶を掴み、颯爽と食堂から姿を消した



「はぁ、色気より食い気じゃあ、まだお嫁にはいかなそうね。モリス、あとでシアの部屋につまむ物を持っていってあげて」



「かしこまりました。あと⋯⋯坊ちゃん達はどうしますか？まだ言い合ってますが⋯」



「あぁ、私に任せて。ディート、トール！あなた達の大好きなシアはもう部屋に行ったわよ」



「あーー！なんでもっと早く教えてくれないんだよ！部屋に行ったらもう朝までシアと会えないじゃないかー！」



トールが叫び、続いて




「そうだ！俺達が部屋に行ったところで追い返されるに決まってるじゃないか！」



「⋯⋯⋯⋯一応、この愚息達は末娘に少しは避けられてる自覚はあるのね」



「まぁな！うちの妹が可愛すぎてその衝動が抑えきれないが故にウザがられてるのは知ってるさ！」



ドヤ顔でディートは言いながら、空になったグラスにお酒を注ごうとする



「⋯⋯⋯ん？」



酒瓶があるはずのところを掴もうとするが、掴めたものは何もない



「あれ？ここにあった俺が持ってきた酒瓶があったはずだが知らないか？」



イテールは呆れながらディートに教えてやる



「それならシアが瓶ごと持って行っちゃったわよ」



「⋯⋯シアが⋯じゃあ、仕方ないか。気に入ったんなら、明日シアに新しい物を持っててやるか」



「まったく⋯甘いんだから」