「で、兄さん達は父さんと南ルグニカ司令部にいたんじゃないの？」



シアが腕組みをして、また抱きつかれないかと2人の兄達を警戒するように見て言う



その問いに長男のディートが答える



「ああ、そうそう。一旦仕事も落ち着いてきたからシアと同じく休暇だよ」



ディートに続きトールが付け足して言う



「1週間のな。ちなみに父さんまで抜ける訳にはいかないから父さんは仕事中だな。帰ったら自慢してやろうぜ、ディート！」



「そうだな、トール。いつも父さんばっかりシアに会ったって自慢するんだもんな」



「あっそ、それは勝手にして」



「シアはいつまでいる予定なんだ？」



ディートはさりげなく問いかけながら、警戒するシアの肩にソッと手を置き、再度スキンシップを試みる



「休みは5日あるけど、ここに滞在するのは4日間ね」



シアはディートの肩に置かれた手を少し気にしながらも、とりあえずは跳ね除けず、様子を見ながら話し続けた



「あと、明日か明後日あたりカーティス大佐の家に行っておば様に挨拶してくるから、1日家を空ける日もあるからね」



「えぇーなんでだよー！」



トールはまるで小さい子供が駄々をこねるようにして言う



「おば様が会いたがってるって大佐が言ってたのよ。行かないわけにはいかないでしょ」



「そりゃそうだけど⋯俺やディートもシアにずっと会いたかったんだぜ」




「1日だけなんだからいいでしょ！それ以外は家にいる予定だし」



「うーん、仕方ないなぁ。それ以外は兄ちゃん達に構ってくれよ。な、シア？」



ディートはシアの頭に手を乗せ、寂しそうに言うと流石のシアもいたたまれなくなったのか渋々頷いてしまう



「ま、久々だから少しくらいならいいけど⋯」



「さっすが俺達の妹！」



「きゃっ！ま、また抱きつく！もう！」



ディートは嬉しさからまたシアに抱きついてしまい、シアは必死に振りほどこうとするがビクリともしない



困り果てているとシアにとっての救世主が現れる



「坊ちゃん達にお嬢様、もうすぐ昼食の準備ができますのでお呼びに参りました」



それはシアが帰宅した時に出迎えてくれた中年男性だった



「モリス、ナイスタイミング！」



シアはその男性をモリスと呼ぶ



彼はこの家でずっと使用人をしており、ここにいるディート、トール、シアも子供の頃よく面倒を見てもらっていた