日が昇りはじめたばかりの頃



アッシュは自分の肩に寄りかかり、ぐっすりと眠るレナスの頬に触れると、思いっきりそれを掴んで引っ張る



「い、いひゃい！いひゃい！（訳：痛い、痛い）」



「よし、起きたな」



「お、起きたな！じゃなーい！！」



「じゃあ、俺は一旦ダアトに戻って奴らに報告する。あとの事は話した通りだ。分かってるな?」



「むー！あたしの訴えはガン無視。分かってるって！港の路地だよね?」



「あぁ。じゃあ、任せたぞ」



そう言ってアッシュはダアトに向かう為、立ち上がり、出口まで歩いてゆく



ふと、なにか思い出したのか、その歩く足を止め、レナスの方へ振り返って一言



「いいか、機材は壊すなよ」



「⋯⋯⋯⋯う⋯⋯わ、分かってるって」



アッシュの念押にレナスはたじろぐ



そして漸くまたアッシュはその足を進め、アリエッタ達に報告しにダアトに戻ってゆく



1人残されたレナスは立ち上がり、両手を天に向け伸ばし、身体をほぐすと装置の方を見つめ独り言を呟く



「………ごめんね?アッシュ……もうひと仕掛けさせてもらうね……」



当然アッシュも去った後でレナスのこの言葉を聞いた者は誰もいない…



～1時間後～




「よし、これでアッシュとルークが同調フォンスロットを開けば、あたしにもリンクするはず」



装置の設定を終えると、疲れたのかレナスは柱に寄りかかり、座り込む



「怒るかなぁ。怒るよね？まっ、その時は諦めて怒られよ…」



この時はまだレナスの心の内は誰も知らない


レナスは深い溜め息を漏らし、もう時期来るであろうアリエッタ達が来るまで剣の手入れをしながら待つ事にした