「ったく。レナスいつまで寝てる。俺達も行くぞ」



そう言われても未だ地面に仰向けに寝転がったままのレナス



「はぁ～い。砂払ったらすぐ行くから先に行ってて」



「寄り道するなよ」



アッシュが去った後、レナスはのそのそと起きあがると体に付いた砂を払う



「完全同位体…………。アッシュにバレるのも……もう時間の問題か…」



誰もいなくなった訓練所でポツリと呟いたレナスの声音は驚く程に冷たく普段のレナスからは想像もできないほどだった



レナスは続けて呟く



「チッ⋯⋯それにしても、アッシュにバレるのは仕方がないとしても今回の件でディストにもバレる事になるわね。⋯⋯あと死霊使いもきっと⋯⋯⋯⋯。⋯⋯⋯はぁ⋯⋯ほんと⋯面倒」



気だるげに吐息を吐きレナスは髪を掻き上げる



そして静かに訓練所から出てゆき、執務室へと向かっていった




執務室まで残り数メートルというところでレナスは足をピタリと止める



「⋯⋯⋯とりあえず⋯今のところはヴァンとの約束もあるから様子見しておくべきね」



ポツリと独り言を言うとレナスは執務室へ続く道をまた歩き、皆がいる部屋の扉を開ける