「はぁ、もうジェイド兄たらさ、小言が五月蝿いんだもんな～。まいっちゃうよね」



笑いながら頭を掻いてルークを見れば、不安そうな顔をしている



「ばぁ～か。転んだのはルークのせいじゃないし、気にしすぎ!」



レナスはルークのおでこにデコピンをすると、悪戯めいた顔で笑っている



「⋯⋯⋯⋯。ねぇねぇ、雨上がりだからさ、川の水、茶色く濁ってるんだよ」



「へぇ～」



川など見たことのないルークはそんな何気ない話題にも興味深々だ



その後もルークは、川を渡ながらレナスから色々な話を聞いていた



そして何事もなく暫く歩き進んでいる時、ルークの頭上を何かが飛んだ。



「ルークｯ!」



ルークの隣を歩いていたレナスはルークの首もとの服を掴み、自分の方へと引き寄せた



ルークの頭上を飛んだそれは、目の前に着地する



「ライガｯ!?ってことは…アリエッタはどこ…？」



レナスは辺りをキョロキョロと見回す



ジェイドが空間から槍を取り出しながら言った



「後ろからも誰かきます」



ティアとガイも後方を振り返り、レナスも同じく振り返る



「アリエッタ!」



ティアに庇われるように後ろにいたイオンが声を上げた



「…見逃して下さい。あなたなら、わかってくれますよね?戦争を起こしてはいけないってことを」



「イオン様の言うこと…アリエッタは聞いてあげたい…‥です」



涙目になりながら俯き呟いて、キッと力強い瞳をルーク達へと向ける



「でも、その人達アリエッタの敵!」



目に涙を溜めながら、ルークらを睨みつけ、指を指す



ライガもアリエッタに同意するように吼える



「アリエッタのママを…殺したもん!」



「何言ってんだ…?俺達いつそんなこと…」



皆、疑問符で心当たりがないらしい



その皆の疑問に答えたのは今まで黙って、やり取りを見ていたレナスだった