「んだよ……」



ルークがポツリと呟く



だが、その呟きはとても小さく聞き取りにくいもので、先を歩くジェイドらには聞こえるはずもなかった



そんな中レナスは途中で足を止め、ルークの方へ方向を変え、歩いていく



「な～にいじけてるの?構ってもらえなくて寂しいんでしょ?」



レナスは俯くルークに視線を合わせる為、下から覗き込みながら言った



突然現れたレナスに当然驚いたルークは、ワッと声を上げて後ずさりすると、藻の張り付いた岩を踏み、滑りそうになる



「ぬわっ！」
「あっ!!危ない!」



レナスは咄嗟にルークの腕を掴み、自分の方へ力いっぱい引き寄せると、ルークもなんとか踏ん張ることができ、転倒は避けられた



「はぁ⋯⋯あっぶね〜、レナスサンキューな⋯⋯⋯⋯って？あれ？レナス？どこに行ったんだ？」



ルークはお礼を言おうと、先程までレナスがいた方向へ振り向くとそこにレナスの姿は見当たらない



「あれ？レナスの奴、どこ行ったんだ？」



「ここよ、ここ～。ルーク～」



「んん？」



声のする方へ徐々に視線を移動させていくと⋯そこにはレナスが川の中で尻もちをついている姿がルークの目に映った



レナスはルークの腕を思いきり引き寄せた反動で逆に自分が川の中へ尻もちをついてしまっていたのだ



「くー！この時期の川の水はまだ少し冷たいね。でもここに来るまでの間に汗かいたし、ちょうどいいかも」



「何言ってんだよ。大丈夫か？ほら」



そう言ってルークはレナスに手を差し出す



「ありがと。心配してくれるんだ?」



「はっ‥?当たり前だろ!?つーか、レナスが濡れたのは俺のせいじゃねーか」



「ふふ⋯ルークは優しいね、ありがと」



「なっ！べ、別に！優しくなんかねーし！ほ、ほら！それよりもお前が起きないと俺もこの川から出られねーだろ！」



視線を泳がせながらレナスへ差し出していた手をルークは遠慮がちにまたレナスに近づけた



「⋯⋯⋯⋯うん！そうだったね、ありがと。ルーク」