レナスはすっかり冷えきった体を温めに皆が休んでいる場所へと戻ってきた



そしてそこにはジェイドだけがおり、焚き火に薪をくべている



レナスは気まずさから、心の中で小さく舌打ちし、ジェイドの向かいに座って燃えさかる火に冷えきった手を近づけた



「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」



「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」



レナスが戻ってきてからずっとこの沈黙状態は続いた



（気まず⋯⋯⋯）



ついにレナスの方が痺れを切らし、言葉を発する



「あのさ…ジェイド兄‥怒ってる?」



「何がです?」



「いや⋯あの⋯神託の盾兵との⋯戦闘の時さ⋯」



「あぁ、レナスはほぼ見てただけでしたからね。…まぁ神託の盾兵もあなたに攻撃を仕掛ける者もいませんでしたし、妥当な判断だと思いますよ」



ジェイドは眼鏡を押し上げながらジェイドが淡々と話す



「……なによ、その言い方！やっぱ怒ってんじゃん！ってゆーか、ずっと気になってたけどなんでジェイド兄しかいないわけ？」



「ルークとティアなら向こうで一緒に話してるよ」



「あ、ガイ…」



「しかし、レナスはあの時逃げようと思えば逃げられたんじゃないのか?」



近くの木に寄りかかり、腕組みしたガイに眇めた目でレナスは問われる



「ん～、そう睨まないでよ？まぁ、逃げようと思えば逃げれたけどさ。ちょっと薄暗いし、こんな森みたいなとこで１人逃げたとこでまた捕まるのがオチでしょ～?」



ピリッとした空気を打ち消すようにヘラリとレナスは笑い、降参と言わんばかりに両手を挙げる



「そ・れ・にあなたのご主人様は守ったでしょ？それでチャラってことにしといて♪」



レナスは立ち上がり、後ろで手を組みながらガイにジリジリ近づく



…刹那…



「ぎゃあぁぁぁぁ」



ガイの悲鳴が森全体に響き渡った