「レナス～レナス～」



「陛下なになさってるんです?捜しましたよ。仕事が溜まっているのですが」



「おう！ジェイドか！そんなことよりお前も手伝え」



「……はい?」



ジェイドは仕事より優先すべきことがあるのか、と言いたげにしながら、眼鏡を押し上げ疑問符でいた



ジェイドの幼なじみでもあるグランコクマ皇帝陛下、ピオニー・ウパラ・マルクト九世



彼は今とても重要なミッションをしていた



していたのだが⋯何故か飾ってある壺の中を覗いたり、狭い壁の隙間を覗き見たりしており、皇帝としての威厳もない姿にジェイドは理解に苦しむ



「あの⋯陛下は一体なにをなさっているのでしょう？そして私になにを手伝えと？」



「今、レナスとかくれんぼしてるんだ。なかなか見つけられなくてな！」



「はぁ～｡何をしてるかと思えば…迷い猫でも探してるのかと思いました」



「レナスは小柄だからなもしかしてと思ったんだが⋯」



真剣に悩むピオニーはふと、窓ガラス越しに空を見上げる




ゴロゴロ



「ふむ、天気が崩れてきましたね…」



「おっ、こりゃ一大雨か？」



雷がゴロゴロと呻り、空は灰色がかった雲が辺り一面に広がる



「仕方ありませんね…。今回だけですよ」



溜め息混じりに項垂れ、仕方なさそうにするジェイドを見てピオニーは満足気ににっこり笑う



「よし｡じゃあ、レナスを捜しに行くぞ！！」



そしてジェイド、ピオニーはレナスを捜しに王宮内探索が始まった