「ごちそうさま♪じゃ、ちょっと食べすぎちゃったし食後の運動してくるわね」



「レナス、食べてすぐ動くのはよくなくてよ」



「ほどほどにするから大丈夫よ」



レナスは皆から離れ、少し歩いた先にある海岸線にやってきた



波の音がとても心地がよく、程いい風がレナスの長い髪をなびかせながら歩いていた時だ



小さな声が聞こえてくる



その声は聞き覚えがあるものでレナスは耳を澄ませる



「…う…ゲホッ…。私…どうしちゃったの…」



「………⋯⋯」



その声の主が気になり、物影からその声の方を見てみれば、コレットが地面に座り込み、辛そうに嘔吐している姿がそこにあった



「コレット？」



「!?」



突然後ろから現れたレナスに驚き、コレットはハッとした様子で言葉を詰まらせている



「あ……あぅ…その」



「どうしたの？大丈夫⋯？」



そんな普通の言葉を投げかける



本当はどうしてかなんて知っているくせに



なんて白々しいんだろう



そんな事を心の奥底で思いながら声をかけた



「⋯⋯⋯⋯わ、分かんない⋯。ジーニアスの作るご飯はすごく美味しいのに⋯私⋯食べられなくて⋯」



「もしかして⋯天使化のせい⋯？」



「⋯⋯⋯⋯⋯多分⋯そうかも。封印を解く前、宿で食べた朝食は美味しく食べられたのに⋯」



「⋯⋯⋯ロイド達には⋯」



「⋯⋯⋯正直、今はまだ⋯心配をかけたくない」



「⋯⋯⋯⋯じゃあ、2人だけの秘密ね。今はあたしもコレットの共犯になってあげる」



「うん……。ありがとレナス」



「じゃあ、共犯ついでに少しここでお喋りしていかない？少し暇なのよね」



「うん！もちろんだよ！」



そこからは、ずっとコレットとくだらない話をしたりして、時間はあっという間に過ぎていった



「ね、コレット。そろそろ寝たら?あたしはクラトスと見張りしてるから」



「そうだね。もう戻らなきゃ、みんな心配するよね。あっ!レナスありがと。やっぱりレナスってお姉さんみたいだね！じゃあ、また明日！おやすみなさい」



「うん。おやすみ………………」



コレットが戻ってから、少ししてレナスもみんなの元へ戻る途中



クラトスの元へ行こうとしたが、ロイドの姿が見え、2人の邪魔になるかと思い、レナスは方向を変えようと身を翻す



「レナス！」



「！？」



身を翻すと背後から声をかけられて、声のした方向へと振り向く



そこには先程までロイドと話していたクラトスの姿があった



「クラトス、もうロイドとはいいの？」



「あぁ。話し終えたばかりだ。今までどこに行っていたんだ？」



「ちょっとだけ散歩よ。今日はあたしも見張りするから」



「寝なくていいのか?」



「まだ眠くない、何となくそういう気分じゃないの」



「……………そうか、なら一緒に頼む」



そう言うとクラトスは優しく笑い、レナスの頭をクシャリと撫でた



「んもう…すぐ子供扱いする…」



頬を膨らませ拗ねたように言うが、その表情はまた真面目なものに戻る



「ねぇ⋯クラトス⋯。あの子は…あと何日眠ることが出来るかしら」



「……少なくとも次の封印場所まで後4日…4日間は眠れるだろう…」



第２の封印は



水の封印………



コレット……次にあなたが失うのは…



睡眠………



人間として必要な機能が



また１つ



失っていくのね…